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河川局

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記者発表
川内川・高梁川・土器川・淀川水系に係る
河川整備基本方針の策定について


【同時発表記者クラブ】
国土交通省九州記者会、九州建設専門記者クラブ、川内記者クラブ、えびの市政記者クラブ、中国地方建設記者クラブ、合同庁舎記者クラブ、岡山県政記者クラブ、広島県政記者クラブ、近畿建設記者クラブ、大手前記者クラブ、滋賀県政記者クラブ、京都府政記者室、兵庫県政記者クラブ、奈良県政記者クラブ、名張市政記者クラブ、伊賀記者会
平成19年8月16日
国土交通省河川局

  標記の4水系の河川整備基本方針の策定につきましては、河川法第16条第3項に基づき、国土交通大臣から社会資本整備審議会会長へ意見を求め、同審議会から河川分科会に付託されました。その後、社会資本整備審議会河川分科会河川整備基本方針検討小委員会において審議を行ったのち、社会資本整備審議会河川分科会の審議を経て平成19年8月16日付けで、河川整備基本方針を策定し、同日付で官報に公表されることとなりました。



<川内川・高梁川・土器川・淀川の河川整備基本方針の概要 >

 平成9年に河川法が改正され、豊かでうるおいのある質の高い国民生活や良好な環境を求める国民のニーズに的確に応えるため、制度を見直し、それまでの工事実施基本計画に代え、新たに、河川整備の基本となるべき方針に関する事項『河川整備基本方針』と具体的な河川整備に関する事項『河川整備計画』に区分されました。
 河川整備基本方針は、各水系における治水、利水、環境等に関する河川管理の長期的な方針を、総合的に定めるものであり、河川整備の基本となるべき事項等を定めます。
 今回策定した4水系についても、各水系の地形、降雨、環境等の特性を踏まえた治水・利水・環境に関する整備の方向性を示しています。

【河川整備基本方針・河川整備計画について】
https://www.mlit.go.jp/river/basic_info/jigyo_keikaku/gaiyou/seibi/index.html
【社会資本整備審議会河川分科会について】
https://www.mlit.go.jp/river/shinngikai_blog/shaseishin/kasenbunkakai/bunkakai/index.html

今回策定する4水系の河川整備基本方針の主な特徴的内容は次のとおりです。


●川内川水系 (流域面積1,600km2、幹川流路延長 137km)

 川内(せんだい)川は、その源を熊本県球磨(くま)郡あさぎり町の白髪岳(しらがたけ)(標高1,417m)に発し、羽月(はつき)川、隈之城(くまのじょう)川等の支川を合わせ川内平野を貫流し薩摩灘(さつまなだ)へ注いでいる。
 その流域は、東西に長く帯状を呈し、熊本県、宮崎県、鹿児島県の3県、6市5町にまたがり、流域内の拠点都市である上流部の宮崎県えびの市では、九州自動車道、宮崎自動車道等、下流部の鹿児島県薩摩川内市では、JR九州新幹線、国道3号等基幹交通施設に加え、南九州西回り自動車道が整備中であり交通の要衝となっている。西諸県(にしもろかた)盆地に位置するえびの市は、クルソン峡や京町(きょうまち)温泉等の豊かな観光資源や史跡、神社・仏閣等の歴史的資源にも恵まれ、中上流部の湧水町、大口市、さつま町では、稲作等の農業や温泉等による観光産業が盛んである。また、下流部の薩摩川内市では、製紙業、電子部品製造業等の第二次産業の集積が見られるなど、この地域における社会・経済・文化の基盤をなし、さらに、霧島(きりしま)屋久(やく)国立公園、川内川流域県立自然公園等の豊かな自然環境に恵まれている。
 川内川流域は多雨地帯であること、また、全川を通じて狭窄部を挟んで複数の盆地がひょうたん型に直列に繋がる地形で、盆地・平地に人口が集中していることなどから、近年においても平成5年、9年、17年の洪水をはじめ、平成18年7月には観測史上最大の洪水が発生するなど、度々甚大な被害が発生している。
 このような状況を踏まえ、水系全体としてバランスよく治水安全度を向上させることが川内川水系の治水の基本であるとの考えのもと、流域の豊かな自然環境や地域の風土・歴史等に配慮しながら、堤防の新設、拡築、河道の掘削等を行い、河積を増大させ、計画規模の洪水を安全に流下させる。山間狭窄部、支派川の分合流部等については、洪水の安全な流下、河床の安定を図るため、洪水時の水位の縦断変化等について継続的な調査観測を実施し、その結果を反映した河川整備や適切な維持管理を実施する。また、河道で処理できない流量については、既設洪水調節施設の治水機能の向上を図るとともに、洪水調節施設を整備する。
 川内川の上流部においては、遊水機能を活かした洪水調節施設等によって河道への負担を低減するとともに、堤防の新設、拡築、河道掘削及び分水路の整備による河積の拡大等を行い、計画規模の洪水を安全に流下させる。また、治水対策を早期かつ効果的に進めるため、河道や沿川の状況等を踏まえ、住民との合意形成を図りつつ、連続した堤防による洪水防御だけでなく輪中堤や宅地の嵩上げ等の対策を実施する。
 川内川の中流部においては、既設洪水調節施設の治水機能の向上や新たな洪水調節施設によって河道への負担を低減するとともに、堤防の新設、拡築、河道掘削及び分水路の整備による河積の拡大等を行い、計画規模の洪水を安全に流下させる。また、治水対策を早期かつ効果的に進めるため、河道や沿川の状況等を踏まえ、住民との合意形成を図りつつ、連続した堤防による洪水防御だけでなく輪中堤や宅地の嵩上げ等の対策を実施する。
 川内川の下流部においては、引堤、堤防の新設、拡築及び河道掘削による河積の拡大等を行い、計画規模の洪水を安全に流下させる。 河川環境の整備と保全に関しては、川内川と流域の人々との歴史的・文化的なつながりを踏まえ、川内川の流れが織りなす良好な河川景観や、多様な動植物が生息・生育する自然環境を保全及び創出し、次世代に引き継ぐよう努める。
 動植物の生息地・生育地の保全については、貴重種を含む多様な動植物を育む瀬・淵やワンド、河岸、河畔林、河口干潟等の定期的なモニタリングを行いながら、生物の生活史を支える環境を確保できるよう良好な自然環境の保全に努める。

(基本高水のピーク流量及び計画高水流量)
 川内川の基本高水のピーク流量は、既定の工事実施基本計画と同様に基準地点川内で9,000m3/sとし、このうち流域内の洪水調節施設により2,000m3/s調節し、河道への配分流量を7,000m3/sとする。

●高梁川(たかはしがわ)水系 (流域面積:2,670km2、幹線流路延長:111km)

 高梁川は、その源を岡山・鳥取県境の花見山(はなみやま)(標高1,188m)に発し、新見(にいみ)市において熊谷(くまたに)川、西(にし)川、小阪部(おさかべ)川、高梁市において成羽(なりわ)川などの支流を集めて流下し、倉敷(くらしき)市において小田(おだ)川を合わせ、倉敷・玉島(たましま)平野を南下して瀬戸内海の水島(みずしま)灘に注いでいる。
 その流域は岡山・広島県にまたがり、下流部には岡山県第2の都市である倉敷市が存在し、水島コンビナートも形成され資産が集積している。中上流部では比婆(ひば)道後(どうご)帝釈(たいしゃく)国定公園、高梁川上流県立自然公園等が指定されており、帝釈峡、井倉(いくら)峡、山野(やまの)峡等の景勝地、国指定天然記念物の鯉ヶ窪(こいがくぼ)湿原などの豊かな自然境に恵まれている。
 高梁川では、明治、大正期に国の第1期改修工事を行ったが、その後も破堤や浸水被害が発生している。また、高梁川の河口域は地盤高が低く、ゼロメートル地帯が広範囲に存在し、高潮に対して脆弱で、平成16年台風16号による高潮では、観測史上最高の潮位を記録し、家屋浸水、護岸崩壊等の被害を受けた。支川小田川については、洪水時に本川水位の影響を受けて高い水位が長時間継続するため、昭和47年7月洪水、昭和51年9月洪水など内水被害が頻発している。
 このような状況を踏まえ、沿川地域を洪水から防御するため、高梁川の豊かな自然環境に配慮しながら、堤防の拡築及び河道掘削、固定堰の改築等により河積を増大させ、計画規模の洪水を安全に流下させるとともに、河口域の高潮対策も実施する。支川小田川は、高梁川への合流点位置を下流に付け替えることにより小田川水位の低下と高梁川狭窄区間の酒津(さかづ)周辺の負担軽減を図る。また、洪水等による被害を極力抑えるため、関係機関や地域住民等と連携して、総合的な被害軽減対策を推進する。
流域の人々と高梁川の関わりを考慮しつつ、高梁川の流れが生み出す良好な河川景観を保全するとともに、多様な動植物の生息・生育する豊かな自然環境を次世代に引き継ぐように努める。

(基本高水のピーク流量及び計画高水流量)
 高梁川の基本高水のピーク流量は、既定の工事実施基本計画と同様に基準地点船穂で、13,700m3/sとし、河道と洪水調節施設への配分については、工事実施基本計画ではそれぞれ12,200m3/s、1,500m3/sとしていたが、河道計画を見直し、それぞれ13,400m3/s、300m3/sとする。

●土器川(どきがわ)水系(流域面積127km2、幹川流路延長33km)

 土器川(どきがわ)は、その源を香川県仲多度(なかたど)郡まんのう町勝浦(かつうら)の讃岐山脈(さぬきさんみゃく)に発し、明神川(みょうじんがわ)を合わせ北流して、備中地川(びちゅうじがわ)、大谷川(おおたにがわ)等を合わせ、まんのう町常包(つねかね)にて讃岐平野に入り、大柞川(おおくにがわ)、古子川(ふるこがわ)、清水川(しみずがわ)等を合わせ、丸亀市(まるがめし)において瀬戸内海に注いでいる。
 その流域は、南北に長く帯状を呈し、香川県の丸亀市、まんのう町の1市1町からなり、流域内の拠点都市である丸亀市では、高松自動車道、JR予讃線(よさんせん)、JR土讃線(どさんせん)、高松琴平電鉄琴平線(たかまつことひらでんてつことひらせん)、国道11号、32号等の基幹交通施設に加え、土器川河口右岸の宇多津町(うたづちょう)では、本州四国連絡橋の一つである瀬戸大橋が開通するなど、交通の要衝となっている。また、扇状地を形成する讃岐平野には、水稲や畑作を中心とする田園地帯が広がり、臨海部では第二次産業の集積が見られる。さらに、瀬戸内海国立公園、大滝大川(おおたきだいせん)県立公園等の豊かな自然環境に恵まれている。
 このような状況を踏まえ、沿川地域を洪水から防御するため、それぞれの地域特性に適した治水対策を講じ、市街地の土地利用や豊かな河川環境の保全にも十分に配慮しながら、堤防の新設・拡築及び河道の掘削等を行い、河積を増大させるとともに堤防強化を図り、計画規模の洪水を安全に流下させる。流下阻害の一因となっている堰、橋梁等の横断工作物の改築については、関係機関と調整・連携を図りながら適切に実施し、急流河川特有の流水の強大なエネルギーにより引き起こされる洗掘や侵食から洪水氾濫を防ぐため、高水敷幅を確保するとともに護岸の整備等の対策を行う。河口部では、高潮対策を実施する。
 河川の適正な利用及び流水の正常な機能の維持に関しては、古くより日常的に瀬切れが発生する区間が存在するなど、水利用や動植物の生息、生育環境としては厳しい状況である。水利用については、ほとんどが慣行水利であり、このため関係機関の協力を得ながら、その実態把握に努めるとともに、今後とも関係機関と連携しながら水資源の合理的な利用促進を図り、流水の適正な管理等に努めるものとする。

(基本高水のピーク流量及び計画高水流量)
 基本高水のピーク流量は、既定の工事実施基本計画と同様に基準地点祓川(はらいがわ)橋(ばし)で1,700m3/sとし、1,700m3/s全量を河道に配分、河口においては1,750m3/sとする。

●淀川水系 (流域面積8,240km2、幹川流路延長 75km)

 淀川(よどがわ)は、その源を滋賀県山間部に発する大小支川を琵琶湖に集め、大津市から河谷状となって南流し、桂(かつら)川と木津(きづ)川を合わせて大阪平野を西南に流れ、途中神崎(かんざき)川及び大(おお)川(旧淀川)を分派して大阪湾に注ぐ一級河川である。
 その流域は、三重、滋賀、京都、大阪、兵庫、奈良の2府4県にまたがり、下流部に大阪市、中流部に京都市その他数多くの衛星都市をかかえ、関西地方の社会、経済、文化の基盤をなしており、古くから我が国の政治経済の中心として栄え、人々の生活・文化を育んできた。また、琵琶湖国定公園をはじめとする6国定公園と10府県立自然公園があり、豊富で優れた自然環境を有している。
 流域を大別すると、本川上流の琵琶湖とその流入支川、瀬田(せた)川を経て宇治(うじ)川まで、左支川木津川、右支川桂川、三川合流後の淀川、神崎川及び猪名(いな)川に分けることができ、支川の中流部には木津川の岩倉(いわくら)峡や桂川の保津(ほづ)峡などの狭窄部がある。

 このような状況を踏まえ、沿川地域を洪水から防御するため、流域全体の安全度の向上を図ることが必要であるとの認識に立って、流域内の洪水調節施設による洪水調節の実施、堤防の新設、拡築、河道の掘削及び取水堰の改築による河積の増大とともに護岸整備、堤防強化等により計画規模の洪水を安全に流下させる。
 本川及び支川の整備にあたっては、河川整備の進捗を十分踏まえて、本支川及び上下流間バランス、自然条件や社会条件を考慮し、狭窄部などの整備手順を明確にした上で、水系一貫した河川整備を行う。
 流域全体の治水安全度の向上を図る観点から、所要の堤防等の整備や洪水調節施設の整備を行った後、下流に影響を及ぼさない範囲で、原則として瀬田川洗堰の全閉操作は行わないこととし、洪水時においても洗堰設置前と同程度の流量を流下させることとする。
 計画規模を上回る洪水や整備途上段階で施設能力以上の洪水が発生した場合においても、下流のより堤防の高い区間における過度な流量の集中を回避し、被害をできるだけ軽減させるため、河道や沿川の状態、氾濫形態等を踏まえ必要な対策を実施する。

 河川環境の整備と保全に関しては、琵琶湖や淀川等に生息・生育する固有種や天然記念物等、特徴ある種をはじめ、多様な生物を保全するため、ヨシ帯、ワンド・たまり、砂州河原や湖の砂浜、干潟等特徴ある生物の生息・生育空間の保全・再生に努めることとする。
 また、これまでの流域の人々と琵琶湖、淀川、木津川、桂川や猪名川との関わりを考慮しつつ、良好な河川環境を保全し、多様な生物の生息、生育する豊かな自然環境を次世代に引き継ぐため、地域住民や学識者、関係機関と連携しながら、地域づくりにも資する川づくりを推進する。

(基本高水のピーク流量及び計画高水流量)
 基本高水のピーク流量は、淀川の基準点枚方で17,500m3/sとし、このうち流域内の洪水調節施設により5,500m3/s調節して河道への配分流量を12,000m3/sとする。また、猪名川の基準点小戸で3,500m3/sとし、このうち流域内の洪水調節施設により1,200m3/s調節して河道への配分流量を2,300m3/sとする。

 


<河川整備基本方針の概要>


<河川整備基本方針>

 


問い合わせ先
【総括・川内川・土器川】
国土交通省河川局  河川計画課 河川計画調整室 課長補佐 矢崎 剛吉
    代表03(5253)8111 直通03(5253)8445 内線 35372
【高梁川】
国土交通省河川局  河川計画課 河川情報対策室 課長補佐 安原 達
    代表03(5253)8111 直通03(5253)8445 内線 35382
【淀川】
国土交通省河川局  河川計画課 河川情報対策室 課長補佐 笠井 雅広
    代表03(5253)8111 直通03(5253)8445 内線 35392


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