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河川局

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記者発表

1−3 自然環境保全の現状と課題



 21世紀を間近に控え、地球的規模で自然環境の保全が叫ばれている。水源地の整備においても例外ではなく、自然環境の保全を前提として実施することが求められている。

 このような状況を踏まえ、平成9年の河川法の改正では、河川管理の目的として利水と治水に加え、河川環境の整備と保全を位置づけている。これにより、ダム水源地においても、様々な自然環境を配慮した施策の実施が必要になっている。また、平成11年度から環境影響評価法が施行されており、生態系の保全・整備に関する事業の充実、ミティゲーション手法の確立などが必要になっている。

     ダム水源地では自然環境の整備のため、様々な事業が実施されている。これまで自然環境への影響を緩和するため実施してきた、貴重種等の生息環境の保全対策や緑化対策に加えて、近年では (1)ミティゲーション、ビオトープなどの自然環境の復元、(2) 浮島による新たな環境の創出、などの施策が展開され始めている。ここでは、ダムにおける水源地の自然環境整備事業に関する事例を以下に掲げる。

    (1) ビオトープなど自然復元施策の実施

     1) 現 状

       ダム事業により失われる環境を復元する観点から、代償的な考え方に基づき、代替措置も含めて失われる環境と同等の環境を整備することが求められている。

       建設省関東地方建設局が建設している宮ケ瀬ダムでは、ダム湖により水没する環境の一部を復元するため、渓流、湿地及び樹木の移植による森林の復元など、生物の多様な生息空間の整備を実施している。

     2) 効 果

       ビオトープをつくることによる効果としては以下の点が挙げられる。

      • 貴重な野生生物の生息場所を確保することにより、生物種の多様性の保全に貢献できること。
      • 人々に自然と触れ合える安らぎの場を与え、自然の仕組み、大切さを学ぶ環境教育の場として利用できること。
      • 流域内の他のビオトープとのネットワーク化により大きな効果を挙げることができること。

     3) 課 題

       また、課題としては、以下の点が上げられる。

      • 周辺地域を含めて、気候、地形、植生、動植物相などを十分に調査し、地域が本来有している自然に適合するとともに、ビオトープ創出後の利用、維持管理等も考慮したビオトープ計画を策定することが必要である。
      • 多様な生物が生息できるよう、できるだけ多様な環境を整えること必要である。
      • 周辺の自然の生態系を乱すことがないように十分配慮することが必要である。
      • ビオトープは事業が終わった段階が出発点であり、ビオトープの変化を継続的に調査し、目標のビオトープが創出されるよう適切な維持管理が必要である。


    東沢ビオトープ(宮ヶ瀬ダム)


    (2) 環境影響評価法の施行(平成11年6月12日)

     いわゆる閣議アセスから法アセスへと制度の充実が図られたことにより、対象事業が11から14に拡大されるとともに、よりきめ細かい対応が必要になると考えられる。

     法アセスでは、個別の事業や地域の違いを踏まえ、環境影響評価の実施の必要性を個別に判定する仕組み(スクリーニング)の導入、調査・予測などの項目・方法について意見を求める(スコーピングの実施)、事業者はアセスの「方法書」を作成し、公告・縦覧するとともに、関係地域の都道府県知事・市町村長に送付し、知事・市町村長、国民から意見書の提出を受けるほか、環境庁長官は評価書の修正等意見を述べることができるようになるなど役割が強化されている。

     今後は、環境影響評価を踏まえたミティゲーション等の環境保全対策の充実が必要である。


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