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河川局

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記者発表

1−4 国土行政、河川行政の動向



    (1) 河川法の改正

     明治29年に制定された旧河川法では、「治水」に重点が置かれていたのに対して、昭和39年に制定された新河川法では、「治水・利水」両面にわたり、水系一貫の総合的・一元的な河川管理を行うことが定められた。新河川法制定後、時代の変化に応じて、いくたびか改正が行われたが、平成8年12月の河川審議会答申「社会経済の変化をふまえた今後の河川制度のあり方について(提言)」を受け、「治水、利水、環境」の総合的な河川制度の整備、地域の意見を反映した河川整備の計画、制度の導入などを目的に河川法が改正され、平成9年12月1日から施行された。


    (2) 流域圏という観点に立った全国総合開発計画

     平成10年3月31日に閣議決定された「21世紀の国土のグランドデザイン」では、都市的土地利用の進展、生活様式の変化等にともない、人間社会とのかかわりの中で流域の姿は大きく変貌し、あるべき健全な水循環系の姿が失われつつあるとともに、特に中山間地域等において、過疎化、高齢化が進展する中、森林・農用地の適正な管理が困難となってきているとの課題を掲げている。

     そこで、21世紀において、国土の持続的な利用と健全な水循環系の回復を可能とするため、流域及び関連する水利用地域や氾濫原を流域圏としてとらえ、その歴史的な風土性を認識し、河川、森林、農用地等の国土管理上各々の役割に留意しつつ、流域圏に着目した国土の総合的な整備のため総合的な施策を展開することが必要としている。

     この新しい全総計画では、流域圏を流域及び関連する水利用地域や氾濫原と規定しているが、これは、水共同体としての圏域を捉えるという考え方である。ある1つの河川の水系において、水にかかわる区域としては、(1)流域あるいは集水域(降水がその水系の河川に集まる範囲)、(2)氾濫原(洪水時にその水系の河川の氾濫で浸水する恐れのある範囲)、(3)水利用地域(その水系の河川から、水道用、農業用、工業用などの目的で水供給を受けている区域)の3つがある。この3つの区域は、それぞれ重なる部分はあるが、基本的にはそれぞれ独自の区域をもっている。ここでの流域圏とは、この3つの区域を総合した圏域である。


    図−6 流域圏の概念図


    (3) 国土管理のあり方

     平成11年3月25日の河川審議会答申「新たな水循環・国土管理に向けた総合行政のあり方について」では、新たな水循環・国土管理に向けた行政のあり方として、健全な水循環系を構築すべきとし、理想的な水循環系とは、水循環系を構成しているすべての場における一連の水の流れにおいて、環境面やエネルギー面の負荷が総計として少なく、安全で快適な生活と持続可能な発展を実現する水循環のシステムとしている。こうした考えにたって、今までの流域や社会構造の変化によって生じた弊害を克服し、水循環を健全化していかなければならないとし、このためには、以下に述べる3つの基本的考え方を徹底すべきとしている。

     1) 国土マネージメントに水循環の概念を取り入れることが重要

       健全な水循環系を実現していくうえで、国土マネージメントの視点に水循環の概念を取り入れることが重要である。

     2) 河川・流域・社会が一体となった取り組みが重要

       健全な水循環を実現していくためには、人々が水循環を大切にするという意識を持ち、社会全体として取り組んでいくことが必要である。そのためには、関係者が一体となった組織を作り、河川で取り組むべき施策や流域全体で取り組むべき施策を総合化し、行政関係機関の連携・協調を強化することはもとより、住民・事業者とのパートナーシップを大切にして社会全体で取り組んでいくという共同、協力の体制を整えていくことが必要不可欠である。このため、行政として必要な制度等を充実させるとともに、地域と協調して取り組んでいく施策等について責任分担を明確にして推進することが必要である。

     3) 水循環を共有する圏域ごとの課題を踏えた取り組みが重要

       水循環系を健全化するために、沿岸域や水系単位の大流域を見据えた視点が大切であるが、洪水対策、水利用、環境、防災面等における問題が共通化している中小流域をベースに、水循環系を共有する圏域単位での積み重ねを通じて改善していくことが効果的である。

       また、個々の圏域においては、総合的な検討により、関係者の行動計画を明らかにするとともに、課題の重要度をランク分けして、行動計画の施策のプライオリティを明確にすることが必要である。

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