(1)総合的な土砂管理に向けて
山地・山麓部、扇状地、平野部、河口・海岸部等の領域で起こっている土砂に関する問題は、個別の領域の問題として対策を行うだけでは十分ではない場合があり、その場合は影響が及ぶ流砂系の問題として解決を図るべきである。
その際、流砂系の土砂の実態把握を前提として、前項で述べた基本理念に基づき、総合的な土砂管理計画を策定し、的確な対策を実施することによって、土砂の量と質のバランスのとれた安全で自然豊かな親しめる河川・海岸の実現を目指すべきである。
そのため、当面、ダム貯水池の堆砂、砂利採取による河床低下、海岸部の侵食等の問題が顕在化している流砂系において、土砂移動の量と質についての予知・予測が必ずしも精度よく行えない現状を踏まえ、モデル的に流砂系の土砂の実態把握を行い、効果や影響を見ながら土砂を供給するなどの対策を実施するべきである。
また、土砂管理上問題のある流砂系をもつ河川等において、これまでの土砂移動状況について既存のデータを活用して分析を行い、総合的な土砂管理計画の策定を目指して土砂の量と質に関するモニタリングを行うとともに、予知・予測手法の向上を図るための研究を推進することが必要である。
具体的な施策としては、次のようなことを行うべきである。
(2)総合的な土砂管理のために推進する施策