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河川局

審議会等の情報
河川審議会について


2.今後の都市と河川のあり方

 「河川」は、本来自然が形づくったものである。「都市」は道路や下水道、建物などの人工的施設と、河川や丘陵等の自然物との総体として位置づけられる。従って、河川を本来の「自然物」として「都市」がどのように受け入れるかが重要であり、まちづくりには、「河川をつくる」のではなく、「如何に河川を活かすか」という視点が求められている。

 世界的にも「河川」は都市の顔として、その地域の「風土」「文化」の象徴である。したがって、「河川整備」がまちづくりに重要であることを認識する必要がある。


2.1 求められる視点

 都市化社会から都市型社会への移行に伴い、今後は都市の個性を尊重しつつ、都市の再構築を図っていくことが望まれている。このような背景を踏まえ、今後、都市内の河川の整備を行っていく際には、以下に示す視点が求められている。

1)
河川の特性を活かす

 河川は、上流の山間部から下流の河口部まで連続的な空間を形成している。河川は、都市における広大な公共空間として都市の骨格を形成するものである。  また、河川はそれぞれの都市のランドマークとなるとともに、四季折々の風景の変化の中で、人々にうるおいを与えている。そして、多様な動植物の生息・生育環境が成立するために必要な場でもある。さらに、河川の成り立ちや人との関わりは様々であり、そのため特有の風土、文化を形成する要因となっている。

 河川は自然公物であり、それぞれにその形状(川幅、深さ、勾配等)や流れ(流量、流速、水質等)も異なっており、従ってそこに存在する生態系も多様である。

 「都市の環境管理」という視点からも、都市内の河川の整備にあたっては、以上のような河川の特性を十分に考慮しなければならない。

2)
流域・水循環の視点

 河川は、水循環系の骨格を形成している。多発する水害、河川水質の悪化等の水循環系の変化による問題が顕在化している都市域においては、河川のみならず流域全体を視野に入れた健全な水循環の視点が重要である。

 特に、都市における治水対策を進めるためには、水系一貫という考え方のみならず、流域の持つ保水・遊水機能を保全しつつ、将来の開発計画や土地利用を考慮する。併せて、流域における適正な役割分担を行い、まちづくりと一体となった貯留・浸透機能の確保等流域全体で総合治水対策を積極的に推進する。

3)
まちづくりとの連携

 今後は、まちづくりの主体である市町村と河川管理者が一体となって、河川及び川沿いのまちづくりを考える。

 市町村は、河川を「都市の重要な構成要素」として位置づけ、河川の多様な機能を活かしつつ、まちづくりを行う。その際には、自然の地形を活かし、河川と沿川地域の空間としての連続性(地形、構造、機能、景観等)を確保する。一方、河川整備においては、治水機能の確保に併せ、「河川環境の整備と保全」、「河川の適正な利用」が河川管理の本来目的であることを踏まえ、環境機能の向上、適正な河川利用を推進する。

 都市内には、公園、緑地、街路等の多様な都市施設が存在する。河川についても、都市施設としてこれらの施設と計画の整合性を図る。さらに、沿川地域においては、河川と他の都市施設を一体的に設計することにより、都市空間の連続性を確保する。

 なお、河川及びまちづくりの構想、計画の策定段階から、地域住民の参画を推進することが大切である。

2.2 都市内河川の果たすべき役割

 今後の都市の再構築のなかで、都市内の河川はしっかりとした公共空間として整備・保全する。すなわち、治水機能を確保する空間であることはもちろん、都市の防災機能を確保する空間、身近な環境空間、都市活動を支える空間としての役割が期待されている。

1)
防災機能の確保

 河川は、道路と並んで都市の骨格を形成しており、戦前の東京緑地計画においても、防災の観点も含めて川沿いの緑地が位置づけられていた。今後、都市内河川について、河川や川沿いの空間を災害時の延焼遮断帯として位置づけるとともに、避難地、避難路、舟運等による緊急輸送路として利用できるようにする。また、阪神・淡路大震災では、通常の消防水利が役に立たず、身近な河川、プール,防火水槽が役に立ったことも踏まえ、都市内の中小河川を緊急時の消火用水・生活用水の水源として活用できるようにする。

2)
身近な環境空間の保全と創出

 都市内の河川は、スポーツ・レクリエーションが可能な身近な空間であり、動植物の生息・生育が可能な限られた空間でもあることから、都市に居住する住民にとって身近に自然とふれあうことのできる貴重な空間である。

 また、地域の歴史、文化を感じさせ、水と緑のある河川は、うるおいと安らぎを感じることのできる水辺空間としても、その役割を果たすべきである。

 特に、人工的に形成された都市内において、自然空間としての河川に対しては「美しさ」、「歴史性」、「文化性」などが求められている。

3)
都市活動を支える空間

 河川及び沿川地域においては、自然環境の保全とのバランスを図りつつ、多様な都市活動が可能となるような適正な河川空間の利用を促進する。

 都市における二酸化炭素などの環境負荷を低減させるため、現在利用されていない河川水熱を有効利用する。また、舟運の効果的な利用と併せて、鉄道などの陸上交通機関との結節施設として、船着き場の整備等について検討する。

 また、河川の連続した空間の地下を活かし、上下水道、電気等の都市のライフラインの収容を可能とする。さらに、まちの魅力を高め、地域の活性化を図るため、河川空間の特性を踏まえた河川の整備、利用方策を検討する。





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