1)河川の特性を活かす
河川は、上流の山間部から下流の河口部まで連続的な空間を形成している。河川は、都市における広大な公共空間として都市の骨格を形成するものである。 また、河川はそれぞれの都市のランドマークとなるとともに、四季折々の風景の変化の中で、人々にうるおいを与えている。そして、多様な動植物の生息・生育環境が成立するために必要な場でもある。さらに、河川の成り立ちや人との関わりは様々であり、そのため特有の風土、文化を形成する要因となっている。
河川は自然公物であり、それぞれにその形状(川幅、深さ、勾配等)や流れ(流量、流速、水質等)も異なっており、従ってそこに存在する生態系も多様である。
「都市の環境管理」という視点からも、都市内の河川の整備にあたっては、以上のような河川の特性を十分に考慮しなければならない。
2)流域・水循環の視点
河川は、水循環系の骨格を形成している。多発する水害、河川水質の悪化等の水循環系の変化による問題が顕在化している都市域においては、河川のみならず流域全体を視野に入れた健全な水循環の視点が重要である。
特に、都市における治水対策を進めるためには、水系一貫という考え方のみならず、流域の持つ保水・遊水機能を保全しつつ、将来の開発計画や土地利用を考慮する。併せて、流域における適正な役割分担を行い、まちづくりと一体となった貯留・浸透機能の確保等流域全体で総合治水対策を積極的に推進する。
3)まちづくりとの連携
今後は、まちづくりの主体である市町村と河川管理者が一体となって、河川及び川沿いのまちづくりを考える。
市町村は、河川を「都市の重要な構成要素」として位置づけ、河川の多様な機能を活かしつつ、まちづくりを行う。その際には、自然の地形を活かし、河川と沿川地域の空間としての連続性(地形、構造、機能、景観等)を確保する。一方、河川整備においては、治水機能の確保に併せ、「河川環境の整備と保全」、「河川の適正な利用」が河川管理の本来目的であることを踏まえ、環境機能の向上、適正な河川利用を推進する。
都市内には、公園、緑地、街路等の多様な都市施設が存在する。河川についても、都市施設としてこれらの施設と計画の整合性を図る。さらに、沿川地域においては、河川と他の都市施設を一体的に設計することにより、都市空間の連続性を確保する。
なお、河川及びまちづくりの構想、計画の策定段階から、地域住民の参画を推進することが大切である。