ホーム >> 政策・仕事  >> 河川トップ  >> 審議会等  >> 過去情報

河川局

審議会等の情報
河川審議会について


2.水循環・国土管理を取り巻く現下の情勢


2−1.新たな水循環・国土管理に関する課題

 (1)水循環に関する様々な弊害の露呈

     高度成長期を通して、都市への人口の集中と産業活動の増大、土地利用の変化に伴う農業形態の近代化等が進み、国民の生活も高度化が進んできた。この過程で降雨の流出及び水利用の形態の変化、廃棄物の不法投棄による水質汚染、環境ホルモン等の新たな汚染物質の顕在化、生態系の変化、水文化の喪失等、水循環に関する様々な看過できない弊害が露呈してきた。

 (2)土砂に関する問題の多様化・複雑化

     流砂系における土砂に関する問題は、豪雨等による大量の土砂流出が深刻な災害をもたらしている一方で、ダム等の築造に伴う下流河川への土砂供給の低減、過度の砂利採取などにより、河床低下、海岸侵食等の安全・利用上の問題に加えて、砂浜の喪失等の環境上の問題も顕在化しており、多様化かつ複雑化している。

 (3)川と人とのかかわりの希薄化

    資源の枯渇、汚染の増大、生物種の減少などの地球環境問題に表されるように、物質的基盤に支えられた現文明が行き詰まりを見せている。川も様々な問題を内包するに至り、生態系豊かな河川が人間にもたらしてきた価値の喪失等により、人を川から心理的・物理的に遠ざけてしまった。

     川本来の価値は、人との深いかかわりの中でこそ発揮されるものであるが、川と人とのかかわりが希薄化したことにより、人々は川が本来有する多面的な価値を活用できていないばかりか、河川固有の豊かな生態系など川が本来有する価値そのものが失われるという危惧の念が抱かれるに至っている。

 (4)川と川沿いの地域との関係の希薄化

     都市内の中小河川は、都市における身近な自然空間、貴重なオープンスペースの1つであるにも関わらず、洪水処理機能を中心とした整備が行われ、まちづくりに活かされることは少なかった。その結果都市内の河川と川沿いの地域との関係が希薄化している。

 (5)立ち遅れている危機管理対策

     昨年8月から9月にかけての東日本や高知県における集中豪雨のように、想定を遥かに超える降雨により、激甚な被害が頻発したり、地下街での浸水被害が発生している。このように、我が国の治水の整備水準はいまだ低く、また、整備済みの箇所であっても計画で想定している規模を超える豪雨等により、大規模な水災害・土砂災害が発生する可能性が常に内在している状況にあり、災害と共存せざるを得ないのが現実である。

     しかしながら、我が国では大規模災害の発生を前提とした危機管理体制の整備が不十分な状況にある。

2−2.考慮すべき地域の要請

 (1)地域の主体的取組みの要請

     近年、地域が主体となってその特性を生かしつつ個性的で魅力的な地域づくりを進める気運が高まっている。このため、地域は行政に依存し、保護されてきた体制を改め、権限と責任を持ち自立した地域が主体的判断に基づいて活動すること重視し、その活力を引き出していくことが重要となってきている。また、地域の自立のために、自己の責任に裏打ちされた判断・行動により地域等の課題を解決していこうとする考えが重要となってきている。このため、地域が国土づくりのための計画や管理等の国土マネジメントに参画するシステムが必要となっている。

 (2)多様な選択肢を持つ社会システムへの転換の要請

     量的側面での生活水準が向上したことにより、質を重視する傾向が強くなってきている。このため、国の統一的な基準による画一的な合理性を追求する考え方を改め、多様な選択肢を持つ社会システムに転換することが必要となっている。






河川審議会答申目次へ

Copyright© 2007 MLIT Japan. All Rights Reserved.

国土交通省 〒100-8918 東京都千代田区霞が関2-1-3

アクセス・地図(代表電話)03-5253-8111