ホーム >> 政策・仕事  >> 河川トップ  >> 審議会等  >> 過去情報

河川局


4.具体的方策の提案

 3.において、流域における洪水対策の基本的な考え方を示したが、ここでは実効ある対策とするための具体的方策について提案するものとする。なお、ここであげる提案は、これまでの審議で方向性が示されたものであり、流域対策を進める上で、さらに必要な方策については、今後検討を進めるべきである。

 (1)河川事業による輪中堤や宅地嵩上げの実施

 従来、輪中堤や宅地嵩上げ等の対策は、河川管理者ではなく地方公共団体により実施されてきたが、先に示した安全度を高くする必要のある地域においては、生活基盤確保等の観点から、これらの対策を河川管理者が河川事業として実施すべきである。

 この場合、効率的な対策の推進の観点から、これらの河川事業と連携して、災害危険区域を指定するとともに、既存住宅の移転について、がけ地近接等危険住宅移転事業による支援を推進すべきである。

 (2)洪水の氾濫域における土地利用方策

 洪水の氾濫域では、地域の安全度の向上を図るため、適切に土地利用方策を講じることが、より効果的な場合がある。 洪水の氾濫域のうち、「河川としての機能を求められない場合での方策」や、「極めて大きな実績洪水が発生した河川での対策」の対象となる地域では、河川としての機能は求めないが、住居の用に供する部分が浸水することがないよう措置することなど安全な土地利用を確保するための方策が必要である。

 このため、河川管理者が浸水区域や浸水深などに関する情報を地域の防災対策の基礎情報として積極的に公表を図ることにより、土地利用者による安全確保のための浸水深を考慮した盛土などの自助努力を促進することが必要である。

 また、公表された浸水区域において、必要な場合には、河川管理者と関係機関が連携することにより、建築基準法に基づく災害危険区域の指定を行うなど、これらの情報を土地利用に関する計画・規制措置に反映することが必要である。

 このような観点から、以下のような方策について検討することが必要である。

現行の河川区域における規制の内容を踏まえ、所定の耐水性が確保されていれば、住居の用に供しない工作物の新築や盛土等の許可を不要とする等、現行の河川区域に比べて緩やかな規制を設定する新たな概念の河川区域に関する制度について、検討を進めるべきである。
土地利用者の安全を確保する観点から設けられた既存の制度として、
建築基準法に基づき、地方公共団体が条例で出水等の災害による危険の著しい区域として災害危険区域を指定し、建築物の建築を制限することができる制度
土砂災害警戒区域等における土砂災害防止対策の推進に関する法律に基づき、土砂災害の危険性のある区域として土砂災害警戒区域及び土砂災害特別警戒区域を指定し、開発行為の制限や移転勧告等を行うことができる制度
があり、今後これらを参考として、関係機関と協力して、水害の危険性のある区域において、土地利用の規制や移転の促進等を図る方策について、その実行性を含め検討を進めるべきである。

 (3)河川と下水道が連携した総合的な都市水害防御計画の策定

 都市水害の防御域においては、外水と内水の双方の影響等を勘案の上、計画、事業、運用の各段階において適切な安全度バランスを確保するため、河川と下水道とが連携して総合的な都市水害防御計画を策定すべきである。

 (4)水害に強い地域づくりのための情報提供

 水害の危険性の高い地域においては、その事実を認知した上で土地利用や建築物・地下施設の設置等が行われることが必要であり、河川管理者と地方公共団体が協力して、現在及び将来計画を含めた治水安全度等を公表し、水害に対する意識の高揚に努めることが必要である。

 また、河川管理者からの情報提供に関しては、過去の浸水実績、現在及び将来の浸水予想区域、浸水深、治水安全度及び河川の改修計画等について、流域の市町村の協力を得つつ、関係市町村、住民等への情報提供を推進することが必要である。これらの方法としては、河川管理者と下水道管理者が浸水実績図の作成、氾濫シミュレーション等を実施し、市町村がこれを基にハザードマップ等を作成し、情報を地域住民や土地利用計画部局に対して広く適切に提供すべきである。この場合、地域に合わせたきめ細かな情報が必要であり、中小河川の洪水や内水による浸水も考慮したハザードマップの実用化に向けた検討を行うべきである。


次のページへ   前のページへ   目次へ


Copyright© 2007 MLIT Japan. All Rights Reserved.

国土交通省 〒100-8918 東京都千代田区霞が関2-1-3

アクセス・地図(代表電話)03-5253-8111