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河川局

審議会等の情報
河川審議会について


はじめに

 水は、水の惑星である地球の表面の海・大気・陸の三圏を太陽エネルギーと重力により 循環している。陸にふった降水は、流域を流れる地表水や地中へ浸透して地下水となり最 終的には海へ流れ込む。河川は地表水が流れる最も基本的な経路であり、生物の一員たる 人間にとっても河川とその流れは何ものにも代え難い存在であり、現代文明に疲れた人間 が新鮮な気分を回復する心の癒しの場でもある。

 人と川との関わりは古来より人の生活そのものともいえ、河川は畏怖すべき自然である と同時に清らかな水が流れ豊かな生物が育まれる地域の共有財産であり、流れる水は日本 の風土と文化の源泉でもあった。人々は、氾濫し葦原が広がる広大な沼沢地を生活と生産 の場として利用するために堤防を築き、水路を開くことで水を順次排除し、あるいは新田 開発のために溜め池や水路を設ける等治水・利水の営みを営々と続け、今日の国土基盤を 形成してきた。豊かで恵み多く、また厳しい自然の姿を見せつける川と人との関わりは今 日まで時代とともに変化してきた。

 近代に至り治水の進捗が図られたものの、今日においても依然として深刻な洪水と渇水 が発生している状況にあり、また、近年の氾濫域への人口と資産の集中と増大は著しく、 潜在的な危険度はむしろ高まっている状況にある。さらに、経済・社会の発展のために、 それぞれの時代の都合に合わせて河川とその流域に手を加えてきた結果として、近年、水 を巡る様々な問題が顕在化してきている。すなわち、都市化の進展による洪水量の増大、 水辺空間の減少、普段の河川水の減少、湧き水の枯渇、地下水の過剰採取による地盤沈下 等の問題である。また、河川水や地下水の水質が悪化し、生態系への影響や飲み水に対す る安全性への懸念が増大している。

 明治以降、100 年以上にわたり続けられてきた近代治水によって国土基盤の形成に著し く貢献した河川行政は、環境問題や価値観の変化など新しい課題に直面し、新たな展開が 求められている。このような認識のもと、河川審議会は、21世紀の社会を展望し、新し い河川像のもと国民の理解と協力を得て河川整備を推進し、健康で豊かな生活環境と美し い自然が調和した安全で個性を育む活力ある社会を実現するため、「21世紀の社会を展 望した今後の河川整備の基本的方向について」審議を行った。この要旨は以下のとおりで ある。

 水循環は、流域で展開される様々な人間の諸活動によって直接、間接に影響を受ける。 都市化の進展、管理の不十分な森林の増加、農地の減少等によって、水循環の変化が懸念 されるのもこのためである。また、河川は水循環経路の一部であり、そこを流れる河川水 は地下水とも、水路を流れる水とも連続してつながっている。このため、河川で生ずる様々 な問題を河川という限られた空間の中だけで、あるいは河川行政という限られた行政の枠 内だけで解決することは困難であり、流域全体の中で、また水循環系全体の中でとらえる べきである。
 また、社会の近代化と治水の進展の過程において希薄化してきた人と川との関わりを再 構築することにより、これらの問題を住民が自らに関わる課題として認識できるようにな り、行政と住民が連携し解決を図ることが可能となる。さらに、人と川との関わりを再構 築することにより、人々にリフレッシュできる場を与え、また、豊かな生態系や地域の風 土を育む等河川の持つ優れた価値を享受することが可能となる。このため、人と川との関 わりを良いものとするためには、流域の中を循環する水という広い視野のもと、河川が恐 ろしい洪水となって害を与え、一方で飲み水を与え、豊かな生物を育むなど多くの恵みを 人に与える等様々な側面を有することを理解することが重要であり、まずその第一歩とし て、身近で穏やかな平常時の河川との関わりを深めることから始める必要がある。

 このような観点に立って、今後、河川整備のとるべき基本的方向を次に示す。

 第一に、阪神・淡路大震災や近年における欧米諸国などを襲った大洪水にみるように、 しばしば予想を上回る自然現象が発生する。これまでのように一定規模の洪水や渇水を想 定した対応だけで安全性が確保できると考えることは、大洪水や異常渇水が高密度な経 済・社会や地域住民の生活に与える影響を考慮すれば決して十分とは言いがたい。堤防な どの治水施設の限界も見据えた上で、堤防の質的強化など施設の質的能力を高めることや、 流域における適切な情報の提供等ソフトの対応を強化することにより、信頼性ひいては安 全性の向上を図るとともに、壊滅的な被害を回避する新たな治水方式が必要である。

 第二に、人口の増加、産業の発展等、社会や流域の変化と度重なる洪水や渇水の発生に 対し、治水事業や水資源開発を緊急かつ効率的に推進した結果、環境への配慮が不足した 面があることは否めない。今後、流域の環境とりわけ健全な水循環系や生態系のあり方を 踏まえ、治水・利水と環境をともに目指した河川整備を一層進める必要がある。
 都市や農地として稠密に利用された我が国の平地部にあって、山と海を結ぶ貴重な水と 緑のネットワークの核として河川を位置付け、河川や水路を回復・再生し、地域やまちの 中に水辺を取り戻す、いわば、川を取り込んだうるおいのある地域づくりやまちづくりが 必要である。

 第三に、我が国は21世紀に向けて、高齢社会の到来、国際化の進展、高度情報化の本 格的な到来、地球環境問題の進行等の変化とともに、これまでの成長社会から成熟社会へ 急速に転換しつつある。今後の河川整備にあたっては、このような社会的な変化、国民の ニーズやライフスタイルの変化等を的確に捉え、地域と河川との役割分担を明確にしつつ、 地域の意向を反映し、地域の個性を十分に発揮できる新たな施策の展開が必要である





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