審議会等の情報
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河川審議会について
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5.総合的水行政への課題
ここまでの4章においては、従来の河川行政では対応しきれない課題に対しても、流
域の視点に立った関係者との連携強化等による解決の方策を検討してきた。
(1)総合的な水管理に向けて 水利用の増大と上水道や下水道の普及が相まって河川水など自然系循環の水量が減少
し、上水道や下水道など河川と分離された人工系循環の水量が増加している。また、下
水道の普及が進み自然系循環の水質は改善されつつあるものの、特に、都市及びその周
辺地域での水環境は依然として良好な状態にない。
今後は、自然と人の持続的共存の実現に向けて、流域において、普段の水から洪水、
渇水へと時間的に変化する河川水・地下水・下水処理水・雨水等様々な形の水が総合的
に管理され、自然系及び人工系の大小様々な水循環が健全に機能することが求められる。
(2)流域を基本単位とした行政の展開 流域毎に、その流域における自然と人間の諸活動との持続的な均衡を維持するために
は、土地利用や人口・産業の配置にあたって、人間が、自然の資源を利用する上で守る
べき量が考慮される必要がある。
(3)水利用に関する課題 1)効率的水利用のための施策の展開 人間の諸活動によって、資源が大量に消費され、大量の廃棄物が排出されてきた。 その結果、水環境の悪化や地球規模の二酸化炭素の排出量の増大による温暖化等の問 題が生じており、省資源・省エネルギーの効果的施策の展開が求められている。人の 生存にとって不可欠な水資源の利用においても、水を大切にする気持ちを取り戻し、 節水意識を高める努力をするとともに、有効な施策の一つとして、政策的料金制度の 強化について検討すべきである。 2)河川水利用システムの再構築 現行の河川水利用システムは、近年の渇水の頻発や水利用の高度化の中で、種々の
問題が指摘され、問題解決への対応が求められている。すなわち、河川水利用の基本
となる河川維持流量の適切な設定を前提とした、余剰化した農業用水や遊休化した工
業用水の有効利用の促進、さらに渇水時における水の合理的融通等である。
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