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河川局

審議会等の情報
河川審議会について


4.21世紀に向けた河川整備


 4.3 施策の推進方法

河川整備の基本施策を推進するにあたって以下の事項に努めるべきである。

(1)河川整備に関する計画の充実

1)わかりやすい計画と指標・目標の作成

 全国の河川に関する治水・利水・環境にわたる総合的かつ長期的な視野に立った河 川管理の基本的な考え方を新たに定める。治水事業の今後の見通しや効果を明確にす るため、河川管理に関する総合的な計画において、段階目標を明示した計画期間20〜 30年間程度の段階的計画を作成したうえで、費用と効果のバランスを考慮に入れ、重 点的・効率的な整備を図る。また、その策定及び改定にあたっては、そのプロセスに おいて透明性を確保しつつ、地域住民等の意向を反映できるよう制度を工夫する。
 また、河川水のみならず多様な水源を経済的・定量的に評価して、総合的な水供給 計画を策定するとともに、各々の水源の役割を明確にして、関係機関の連携のもと効 果的な水供給を目指す。
 わかりやすい多様な指標・目標を作成し、治水安全度、水需給のバランス、利水安 全度等の現状及び今後の動向等を説明する。

2)河川環境等に関する計画の充実

 河川管理の基本的な考え方として、河川整備や管理の目的に良好な河川環境の保全 と創造を明確に位置づける。河川環境の保全と創造に関する基本的事項を定めた河川 環境管理基本計画において、生物の多様な生息・生育環境の確保、健全な水循環系の 確保等の観点から、その内容を充実する。
 また、自然環境に配慮し多様な形状を持つ河道の形成を図るため、新たな河道計画、 渓流環境整備計画を策定する。

(2)地域住民・地方公共団体・関係機関等との連携の強化及び体制の整備

 流域の視点を重視し、治水、水資源開発、水質保全、河川環境の保全・創出等を行う にあたっては、河川と流域の総合的な施策の推進が必要であり、河川管理者、地域住民、 地方公共団体、関係機関等が各々の役割分担を明確にして、責任のある行動をとるとと もに、相互の連携を強化することが必要である。
 このため、河川管理者、地域住民、地方公共団体、関係機関等からなる様々な協議会 を流域の観点から再編する。流域等の単位で協議会を設置し、さらにそのもとに、もし くはそれとの連携のもとに個別の目的毎の協議会を設置するなど体系化を図り、合理的 な運営を目指す。
 また、流域における地域住民等の水や川に関する様々な活動についても、それらの河 川に果たす役割を十分認識し、情報の提供や活動の充実に向けた協調・連携体制の確立 等適切な支援策を講じる。
 なお一層の広報活動等を通じて流域における様々な取り組みに幅広く人々が参加でき るような土壌づくりを進めるとともに、地域において主体的に活動をする人材の育成を 積極的に支援する。

(3)既存施設の有効利用、リサイクル及びローコスト化の推進

 21世紀には管理すべき施設数が増え、適切な維持管理が重要になるとともに維持管 理費の増大が懸念される。また、環境保全とコストの軽減の観点からも、リサイクルや 省エネルギー化の推進が必要である。
 このため、多大な費用と期間を要することが多い新たな施設の建設のみならず、適切 な維持管理と施設の改善により既存施設の有効利用を徹底的に実施し、効果の早期発現 や効率的な施設運用を図る。また、施設の建設に際しては、資材のリサイクル活用や省 エネルギー構造に配慮するとともに、建設、管理などあらゆる段階で総合的な視点から 効率化を図り、ローコスト化する。
 また、防災及び地域の交流に資する施設の設置など一つの施設に様々な機能を付加し、 施設の多目的化を図ることにより、施設の効率的な活用及び各機能の統合・総合化によ る効果の拡大を図る。

(4)調査研究・技術開発の推進

 21世紀に向けた河川整備における基本施策の実現及び一層の効果の発揮を図るため、 各分野において、専門的な調査研究・技術開発の推進はもとより、広範な専門分野の連 携や学際分野の充実を推進する。このため、河川管理者と関係機関、大学、民間の研究 機関等との共同研究、人事交流、情報の共有化等を行う。さらに、研修の充実を図ると ともに大学等の学校教育と連携し、人材の育成に努める。

 今後とも一層推進すべき主要な調査研究・技術開発の分野は、以下の通りである。

  ・堤防の質的強化     
  ・氾濫原対策
  ・耐水型の生活技術の開発
  ・水系一貫した総合的な土砂対策
  ・水源かん養に資する森林のあり方
  ・水循環系における適切な水量及び水質の確保
  ・節水型の生活用品の開発
  ・地下水の保全及び活用
  ・生態系の保全、ミティゲーション
  ・自然景観の保全・育成技術
  ・効率的・経済的な工法・施工技術
  ・メンテナンスフリー化
  ・高度情報の活用

(5)制度・基準面の対応

 21世紀の河川整備における基本施策の実現及び一層の効果の発揮のためには、人口、 資産、土地利用等の流域の変化や環境の重視をはじめとするライフスタイル、価値観等 の社会の変化、さらに近年めざましい技術の進歩に適切に対応した制度・基準面での対 応が必要である。
 すなわち、これまでの一貫した理念を考慮の上、長期的視点のもとに、こうした変化 に適切かつ柔軟に対応するため、良好な河川環境の整備・保全や地域住民の意向反映の ための制度についての検討を行うとともに、河川管理施設等構造令の見直しや河川砂防 技術基準の策定等の制度・基準の充実を図る。また、水利使用許可のあり方や氾濫原対 策のあり方については引き続き検討を進めるべきである。
 また、河川整備に係る費用便益の計測においては、治水・利水・環境の各分野におい て、生命・財産を水害から守る等の直接的な効果から水害の軽減により宅地が拡大する など間接的なものまで、より正確に計測できるよう計測手法の充実を図る。





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