天竜川の流域の自然環境は、水際から河岸段丘、森林までと多様性が保たれた自然豊かな流域です。環境の特徴としては、河川の土砂移動が多く環境のかく乱が激しいことが挙げられますが、近年は砂礫主体の河原が減少し、河道内の州に樹木が繁茂することにより州が固定化する状況も見られます。
地質は複雑で、フォッサマグナの西縁をなす糸魚川-静岡構造線、中央構造線を始め数々の構造線、断層が走っています。糸魚川-静岡構造線の北東側の諏訪地方では、グリーンタフ地帯、中央構造線より西は領家帯、それより東は秩父帯等種々の地質構造が見られます。特に多くの構造線が集まる伊那谷は、古生代から新生代にかけての各時代の堆積層や様々な火成岩、変成岩が分布する急峻な地形のために災害が多い反面、多様な生物を育んできました。
流域の自然環境は、水際から河岸段丘、森林まで多様性が保たれ、「河川水辺の国勢調査」における動植物の確認種数は、各分類のすべてが全国平均以上であり、多くの国立公園、国定公園、県立公園が存在する自然豊かな流域です。
水質面では、夏には諏訪湖で発生したアオコが天竜川を流下し、伊那市付近まで川の水を緑色に染めていたこともありましたが、近年では諏訪湖の水質とともに改善されてきています。