水管理・国土保全

  

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猪名川の自然環境

猪名川の自然環境


猪名川は、銀橋下流の狭窄部に代表されるように上流部は渓谷のような景観が見られますが、中下流部は川幅が比較的広く、河道内の所々に瀬や淵があります。

植物は、中流部ではツルヨシ、下流部ではヨシが代表的で、オギ、セイタカヨシも広く見られますが、近年ではアレチウリなどの外来植物が繁茂しています。

鳥類では、水辺や中州ではサギ類・チドリ類・セキレイ類などが多く見られ、冬にはカモ類やユリカモメが浮かんでいるのが見られます。

魚類では、これまでに70を超える種類が確認され、瀬ではオイカワなど、淵やワンドではギンブナなどが多く見られます。カマツカやカワヨシノボリといった川底にすむ種類も広い範囲で見られます。

昆虫では、河川敷でバッタ類が多く見られ、両生類、爬虫類、哺乳類では、トノサマガエル、イシガメ、アオダイショウ、カヤネズミ等が比較的多く見られます。

猪名川の水質は、上中流部では環境基準を満たした水質を保っており、下流部でも近年は一部を除き環境基準を満たしています。

下流部から水源近くまで開発が進行し、典型的な都市河川となった猪名川の河川環境は、市街地の中で自然の残る貴重な空間として地域のみなさんに親しまれています。


猪名川の生き物


上流渓谷部



猪名川の水質


昭和40年代、下流部流域では市街化が急激に進み、その水質は劣悪な状況となっていました。

しかしその後、周辺地域での下水道整備や工場排水の法規制等によって水質は大幅に改善されてきました。

上流や中流では、従前より環境基準を満たした水質を保っており、近年は下流部でも一部を除き環境基準を満たした水質となっています。

また、猪名川では「神崎川水質汚濁対策連絡協議会」の下部組織として、平成22年に「神崎川水質汚濁対策連絡協議会 猪名川分科会」を設立し、流域住民、関係機関、河川管理者等が連携・協働して猪名川の水質管理を推進するための、情報の発信や共有、意識啓発活動、各種対策を進めています。


猪名川流域の水質状況(H27)


猪名川本川のBODの推移(S40~H28)



礫河原の再生

河川敷における陸域と水域の境界で、水位の変動によって水中に沈んだり陸になったりする水陸移行帯は、水の深さや土に含まれる水分がすこしずつ変化するため、様々な植物や生物の生息・生育環境として重要な場所となるものです。

かつての猪名川は、洪水によって常に澪筋が変動を繰り返すことにより、水陸移行帯も常に形成されている状況にありました。

しかしながら近年は、河川改修や高水敷の造成といった要因によって水陸移行帯が減少するとともに、かつてあった広い礫河原が消失してきました。

そのため、現在陸域として固定化してしまった砂州を切り下げて裸地環境や水陸移行帯を再生し、洪水によって水に浸かる頻度を増やすことによって、本来の自然の持つ力を活用して良好な河川環境の維持を図る礫河原再生事業を進めています。


礫河原再生事業:整備前


礫河原再生事業:整備後



河川縦断方向の連続性回復(魚道の整備)


猪名川(直轄管理区間)には8基の井堰・床固が設置され、その中で、大井井堰(藻川)、三ヶ井井堰、高木井堰、久代北台井堰、池田床固には魚道が設置されておらず、支川余野川との合流点にある落差の大きい落差工とともに、回遊性の魚類やカニ等底生生物にとっての移動の障害となっていました。

水質の改善により多くの魚類が生息できる環境になった猪名川では、魚類等の遡上・降下が容易にできるよう、既設の井堰や床固に魚道(簡易魚道を含む)を平成20年度より施工してきました。

平成26年度の池田床固の改修をもって、計画されていた魚道(簡易魚道を含む)の整備は完了しています。


魚道の整備(池田床固):整備前


魚道の整備(池田床固):整備後



外来種対策

猪名川では、1980年頃から、オオクチバスやブルーギル等の外来種(魚類)が確認されはじめ、ウシガエル、アカミミガメ(両生類)、カワラバト(鳥類)等の増加傾向も顕著です。

植物では、セイタカアワダチソウ、セイバンモロコシ、アレチウリ等の外来種が非常に多く、特に侵略的外来種であるアレチウリの繁茂は驚異となっています。

現状のままでは外来種の優占により多くの在来種が駆逐されることが懸念されていることから、礫河原再生事業の事業箇所を中心として、地域住民のみなさんにも参画して頂きながら外来種対策を実施しています。

この活動により、外来植物の繁茂が抑制され、本来あるべき猪名川の河原環境の維持に寄与しています。

今後も、こういった活動のさらなる拡大のために、活動指針となる「猪名川の外来植物対策マニュアル」を活用し、正しい知識を身につけた活動の拡大、及び指導者の育成や学校活動としての参加を促進することとしています。


住民による外来植物対策


アレチウリ(外来種)の繁茂状況



一庫ダムの水辺環境の保全

知明湖(一庫ダム湖)周辺は今でも原生林が多く、野生の桜(エドヒガン)も実生するなど自然豊かな環境です。

一庫ダムでは、治水・利水の利用だけではなく、知明湖水面と周辺の自然が織り成す景観や環境の保全も重要なダム管理と位置づけ、流域住民の協力を得ながら、さまざまな環境保全に取り組んでいます。


一庫ダム エドヒガン





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