水管理・国土保全

  

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斐伊川の自然環境

斐伊川・神戸川の自然環境
斐伊川本川
 斐伊川本川上流部には、タカハヤやゴギ、サンショウウオ類等が生息・繁殖しています。また、横田盆地を抜けた渓谷部では、急流となって谷あいを蛇行して流れ、河床には大きな礫がみられ、ヤマメ等の清流を好む魚類も生息しています。

 中流部にはメダケ、ヤナギ類、水際にはツルヨシ等が連続的に生育し、砂地を好むスナヤツメやカワムツ、オイカワ等が生息・繁殖しています。伊萱(いがや)床止上流の湛水域や中州は、コハクチョウの休息場になっています。

 下流部の低水路内は平坦な砂河床であり、流路は幾筋にもわかれて安定せず、網目状の砂州を形成しています。このような斐伊川本川下流部では、中上流部に比べて魚類の種類、生息数とも少なく、オイカワ等がわずかに見られる程度です。河川敷にはヨシが、水際にはヤナギ類が連続的に繁茂し、水際にはカイツブリ等が生息し、ヨシ原にはオオヨシキリ等が生息・繁殖しています。


オオサンショウウオ


オイカワ

斐伊川本川河口部~宍道湖~大橋川~中海
 宍道湖及び中海をあわせた地域は、西日本有数の渡り鳥の渡来地となっており、平成17年11月には、国際的に重要な湿地としてラムサール条約登録湿地に認定されています。

 宍道湖は、平均すると海水の1/10程度の塩分濃度で水深が比較的浅く、生物生産量が高い湖です。全国一の漁獲量を誇るヤマトシジミ、宍道湖の名を冠する貴重なシンジコハゼ、宍道湖を南限とするワカサギ等が生息・繁殖し、淡水と海水が混ざる汽水湖です。

 特に斐伊川本川河口部付近は、150種以上の野鳥が確認できる良好な環境であり、コハクチョウや国の天然記念物のマガン等の渡来も確認されています。

 宍道湖と中海という異なる汽水環境を有する2つの湖を連結する大橋川は、中海の水位が高い場合は中海から宍道湖へ、宍道湖の水位が高い場合は宍道湖から中海へ流れます。河道にはコアマモの大規模群落が存在しているほか、中海側の河口付近には汽水性の希少種であるオオクグの群落も存在しています。また、サッパ、コノシロ、スズキ、マハゼ等の魚類が移動経路として利用し、塩分濃度の経時的な変化に応じてヤマトシジミ、ホトトギスガイ等の分布が変動しています。

 海水の1/2程度の塩分濃度の中海は、年間を通じて塩分躍層が形成されており、上層と下層の混合が起こりにくい環境にあります。そのため、春から秋を中心に下層では貧酸素水塊が生じています。また、境水道を通じて外海の影響を受けやすい環境であることから、スズキ、マハゼ、サッパ等海水・汽水魚が豊富に生息しています。広大な水面にはホシハジロやスズガモに代表される多様なカモ類が飛来し、ホトトギスガイ等を餌としています。米子水鳥公園付近等はコハクチョウやマガン等水鳥の西日本有数の渡来地となっています。



シンジコハゼ


マガンの群れ(島根県出雲市)

神戸川
 神戸川の上流部は、「島根県自然環境保全条例」に基づく「島根県自然環境保全地域」に指定された女亀山や赤名(あかな)湿地等、すぐれた自然が多く残る地域となっており、清い流れにはヤマメ等が生息・繁殖しています。

 出雲平野を流れて日本海に注ぐまでの下流部の水際にはヨシやマコモ等の抽水植物が繁茂し、一部にタコノアシの自生が確認されています。河道内の瀬にはアユやオイカワ、淵等の止水域にはコイ、フナ、ナマズ等が生息し、ウナギやモクズガニが重要な漁業資源となっています。汽水域ではヤマトシジミが生息し、サクラマスやサケの遡上も確認されています。


タコノアシ


アユ



生態系ネットワーク形成の取組
大型水鳥類と共に生きる流域づくり
斐伊川水系は、ラムサール条約登録湿地の宍道湖・中海に代表される、豊かな自然環境を有しており、冬の渡り鳥をはじめとして、四季折々に多くの鳥たちが生息する地域です。
この、豊な自然環境を『守り』『育て』『未来へ繋ぐ』ことにより、地域の隠れた魅力を再発見し地域振興が図られることを期待し、平成27年に『斐伊川水系生態系ネットワークによる大型水鳥類と共に生きる流域づくり検討協議会』を設立しました。
この協議会では、国内に生息する希少な大型水鳥類5種(①ハクチョウ類②ガン類③ツル類④コウノトリ⑤トキ)を「シンボル」として、これら5種全てが安定的に生息可能となる潜在性を持つ国内唯一の地域であることを活かし、さまざまな活動を進めています。

斐伊川水系生態系ネットワーク(出雲河川事務所ウェブサイト)

大型水鳥類と共に生きる流域づくり


希少大型水鳥5種




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