この見事な植物の名所は、蒜山三座の三峰の麓に青々と広がる蒜山高原を見渡すことのできる丘の中腹に位置する。ここでは、入念に手入れされた景観によって、人と自然が織りなすことのできる美と創造性が表現されている。
庭園
伝統的なイギリス式庭園に倣って作られた、絵のように美しいハーブ園では、約200種類の植物を見ることができる。観光客は、巧みな技で美しく並べられたハーブを見て堪能するだけでなく、五感を総動員し、変化に富んだハーブの手触りや香りも楽しみながら、自由に園内を散策することができる。4月から10月までは常時、何らかの種が咲き誇る様子が見られるが、6月には、多彩な色と匂いを醸しながらバラが万華鏡のように咲き誇り、庭園は、最も美しい時期を迎える。このイギリス式庭園は、設計から構築まですべてオーナーが担当している。園内では、トレリスに葉が茂り、香りの良い花がベンチを囲み、日陰の休憩所として小さな石造りの小屋が設けられている。そして、これらのスポットの間を、きちんと整備、根覆いされた通路が通り抜けている。
ハーブ園の後ろ側では、南西の丘の中腹が10,000株のラベンダーで覆われ、西日本で最大のラベンダー畑となっている。ラベンダーの紫色の花は、ハービルがラベンダー収穫祭を開催する7月になると、辺り一面にその香りを漂わせる。ハービルでは、数種類のラベンダーを生育しているが、大半は、「ドリーム」と呼ばれるイギリスの種である。観光客は、自分用のラベンダーを切って家に持ち帰りできるほか、その保存方法を学ぶこともできる。ラベンダー畑に隣接するブルーベリー畑には、この地域の寒い冬に耐えることができる北部ハイブッシュ系のブルーベリーが植えられている。ベリーが実を結ぶ毎年7月には、観光客は、園内をぶらぶら歩きながら、有料で、ベリーを採って食べることができる。冬になると、この、同じ斜面において、そり遊びを満喫することができる。
きれいに並ぶ植物、愛情を込めて手入れされた花壇は、作物栽培の一つのモデルとなっている。それと同時に、これらの庭園は、自然に囲まれている。言い換えれば、多くの地元の野生生物にとって、魅力的なスポットとなっているのである。鋭い観光客であれば、餌を探し回る二ホンアナグマが残した穴の存在に気付くであろう。この動物には、アナグマ(=穴を掘る熊)という、ぴったりの名前が付いており、日本ではよく知られている。かんがい池の上の木では、森青蛙が、泡のような卵の塊を枝からぶら下げ、用心深い目で、獲物を探す縞蛇を見張っている。そしてもちろん、広大に広がる花の海を一口味わおうと、鳥とチョウの群れがやって来る。
レストラン
風通しが良い中央の建物の1階には、人気のカフェレストランがある。料理は地元の農産物から作られ、アクセントとして、現地で生育されたハーブや食用花が添えられている。地元のジャージー牛乳で作った自家製のスコーンやクロテッドクリームが振る舞われるアフタヌーンティーは、地元の評判となっている。また、ケーキや、いくつものカラフルな自家製ハーブティーを取り揃えている。これらの商品は、併設の売店で購入することができる。レモングラスやミントなどの定番の他に、家でレモンシロップを加えるとピンクに変色する鮮やかな青色のマローティなど、創造的なブレンド品もある。
食事をする際には、ガラス壁の食堂に座るか、ペット可のテラスに座るかを選ぶことができる。傘で日陰になったテラスのテーブルからは、蒜山盆地を横切り、まとめて蒜山三座(「蒜山の3つの峰」)として知られる山々に続く眺めを堪能することができる。山の斜面には、青々とした草原が広がり、蒜山の名高いジャージー牛のための豊かな放牧地となっている。また、背の高いオークとブナノキの森は、季節の移り変わりにおける見事な色合いを映している。高いところにあるテラスは、この地域の絶好の見晴らし台の一つになっている。
クラフトルーム
くつろげる2階のフロアには、スタジオがあり、ドライフラワーやプリザーブドフラワーのアレンジメントに参加できるワークショップが開催されている。上を見ると、むき出しの垂木には、ラベンダーとアジサイの束が、乾燥のためにつるされている。観光客は、事前に選ばれた材料の組み合わせを利用するか、現地で生育されたものを含む膨大な品揃えの中から、自身の好みで取り合わせることができる。