16,971ヘクタールの面積を持つ世界自然遺産白神山地には、東アジア最大のブナの原生林が残っている。世界自然遺産白神山地は、1993年にユネスコによって登録された、秋田県と青森県にまたがる130,000ヘクタールの白神山地の原生地域の一部である。
ユネスコ世界遺産地域のうち、秋田県は4,300ヘクタール以上を占めている。
世界自然遺産は、保護されている核心地域と、緩衝地域の2つのゾーンに分かれている。核心地域は8,000年以上にわたって人の手がほとんど加えられておらず、立ち入りが厳しく制限されている。緩衝地帯は核心地域を取り囲むように設けられており、ビジターは核心地域と同じような森林地帯を体験することができる。
ブナは、白神山地の豊かな生態系の中心的存在である。ブナは動物や低木の生命を維持することに加えて、この地域の水量を調整することに役立っている。つまり、干ばつを緩和し、洪水や地滑りを軽減しているのである。ブナは30メートル以上の高さに成長し、何世紀にもわたって生き続ける。この地域には、約100種の樹木とその他数百種の植物も見られる。
白神山地の森には、哺乳類35種、鳥類90種、両生類13種、爬虫類9種が生息している。その中には、ツキノワグマ、ニホンザル、ニホンカモシカ(ウシ科に分類され、「カモシカ」と呼ばれることもある毛むくじゃらの生き物)がいる。
山の急斜面の間にできた谷を川や滝が突っ切っている。白神山地の中で、秋田県側で最も高い山は、藤里駒ヶ岳(標高1,158 m)、二ツ森(標高1,086m)、小岳(標高1,042 m)である。標高180メートルに満たない留山は、この地域で最も低い山の1つであるが、300年以上前に伐採が禁止された重要な山である。