小泉八雲熊本旧居
ギリシャ系アイルランド人を先祖に持つ英国人作家ラフカディオ・ハーン(1850-1904)は、熊本大学の前身である第五高等中学校での英語教師1年目であった1891年、この家に住んでいました。島根県の松江で来日後の15カ月間を過ごしたハーンにとって、熊本は日本で生活する2つ目の城下町となりました。
第五高等中学校には職員用の宿舎がありましたが、ハーンは畳の部屋がないことを知り、それを拒否しました。彼はこの家を月11円で借りていましたが、この金額は月給200円という贅沢な給料のごく一部に過ぎませんでした(これに1万を掛けた数字が現在の通貨での大まかな金額です)。
大きな畳の間が7部屋あるこの家は、下級武士の赤星晋作が所有していました。中には、ハーンが家主を説得して作ってもらった神棚があります。ハーンは毎朝ここでお祈りをしていました。彼の著書『Glimpses of Unfamiliar Japan(知られぬ日本の面影)(1894) 』には、「The Household Shrine(家庭の祭壇)」という章があります。奥の部屋にはハーンが仕事に使っていたとされる机があります。ハーンはここに住んでいる間は著作活動をしていませんでしたが、『Out of the East:Reveries and Studies in new Japan(東の国から)(1895)』と『Kokoro: Hints and Echoes of Japanese Inner Life(心)(1896)』は、熊本がテーマとなっています。
ハーンは生前、日本文化の解説者として海外で知られていましたが、日本で有名になったのは、1920年代に怪談集が日本語に翻訳されてからのことです。