【背景】
建設業については、東日本大震災に係る復興事業や防災・減災、老朽化対策、耐震化、インフラの維持管理などの担い手として、その果たすべき役割はますます増大しています。一方で、建設投資の急激な減少や競争の激化により建設業の経営を取り巻く環境が悪化し、ダンピング受注等による建設企業の疲弊や下請企業へのしわ寄せを招き、結果として現場の技能労働者の高齢化や若年入職者の減少といった構造的な問題が生じています。こうした問題を看過すれば、中長期的には、建設工事の担い手が不足することが懸念されています。また、維持管理・更新に関する工事の増加に伴い、これらの工事の適正な施工の確保を徹底する必要性も高まっています。
これらの課題に対応し、現在及び将来にわたる建設工事の適正な施工及び品質の確保と、その担い手の確保を目的として、以下のとおり法律改正が行われました。
インフラ等の品質確保とその担い手確保を実現するため、公共工事の基本となる「品確法」を中心に、密接に関連する 「入契法 」、「建設業法」も一体として改正 |
品確法(公共工事の品質確保の促進に関する法律)の改正 |
<目的> 公共工事の品質確保の促進
→そのための基本理念や発注者・受注者の責務を明確化し、品質確保の促進策を規定 ■基本理念の追加:将来にわたる公共工事の品質確保とその中長期的な担い手の確保、ダンピング防止 等 ■発注者の責務(基本理念に配慮して発注関係事務を実施)を明確化 (例)予定価格の適正な設定、低入札価格調査基準等の適切な設定、計画的な発注、円滑な設計変更 ■事業の特性等に応じて選択できる多様な入札契約方式の導入・活用を位置づけ、それにより行き過ぎた価格 競争を是正 |
品確法の基本理念を実現するため必要となる基本的・具体的措置を規定 <建設業法等の一部を改正する法律> |
建設業法の改正 | |
<目的> 公共工事の入札契約の適正化 →公共工事の発注者・受注者が入札契約適正化の ために講ずべき基本的・具体的な措置を規定 ■ダンピング対策の強化 ・ダンピング防止を入札契約の適正化の柱として追加 ・入札の際の入札金額の内訳の提出、発注者による確認 ■契約の適正な履行(=公共工事の適正な施工)を確保 ・施工体制台帳の作成・提出義務を拡大 |
<目的> 建設工事の適正な施工確保と建設業の健全な発達
→建設業の許可や欠格要件、建設業者としての責務を規定 ■建設工事の担い手の育成・確保 ・建設業者、建設業者団体、 国土交通大臣による担い手の育成・確保の責務 ■適正な施工体制確保の徹底 ・業種区分を見直し、解体工事業を新設 ・建設業の許可等について暴力団排除条項を整備 |