大臣会見

大畠大臣会見要旨

2011年4月22日(金) 10:17 ~ 10:47
国土交通省会見室
大畠章宏 大臣

閣議・閣僚懇

それでは、今日の閣議後の記者会見を始めさせていただきます。
今日の冒頭の御報告は、平成23年度の補正予算、港湾における放射線の対策、この2つを東日本大震災の関連で申し上げたいと思います。
それから、本日の閣議において、国土交通省関連では、都市再生特別措置法の一部を改正する法律につきまして、公布日が4月27日の水曜日ということになりました。
それから予算関連ではありませんが、法律案が2つございます。
東日本大震災による被害を受けた公共土木施設の災害復旧事業等に係る工事の国等による代行に関する法律案、これは市町村のすべきものを県とか国が受ける、あるいは県が行うべきものを国が行うということもできるようにしようという法律案が1つ、それからもう1つは、東日本大震災により甚大な被害を受けた市街地における建築制限の特例に関する法律案、これは通常、災害が発生した日から2ヶ月間、建築制限という形になっておりますが、これをさらに6ヶ月間延ばすという法律案でございます。
次に、平成23年度の補正予算についてでございますが、皆さんも既に御存知のとおりとは思いますが、政府全体では約4兆円の歳出予算を計上いたしました。
このうち国土交通省関連では、国費が総額1兆1,489億円。
中身は3点ございまして、1つは、河川、道路、港湾、空港、下水道等の災害復旧等の事業、各種施設の復旧、海上保安庁の活動経費等の災害復旧に係る経費として約9,662億円。
それから2点目には、被災者向け住宅の供給として約1,676億円、これは災害公営住宅の1万戸分が主なものでございます。
それから3点目には、復旧・復興に関する調査として約151億円を計上させていただきました。
またこの他には、独立行政法人住宅金融支援機構に対する財政投融資として、約1,800億円を計上させていただきました。
国土交通省関連の補正予算は、おおよそ、そのようなことでございます。
それから、港湾における放射線対策でございますが、横浜や東京等でも輸出コンテナ等々の課題がございまして、これを私共でも計測をして、その安全性というものを明らかにした形で輸出を出来るようにしようということでございます。
そういうことから、本日は配付資料があると聞いておりますけれども、輸出コンテナ、外航船舶、港湾内の大気、港湾内の海水、の4分野について、放射線に関する情報提供をしていくということでございます。
このうち、輸出コンテナ及び外航船舶については、放射線の測定方法等を定めたガイドラインというものを今回策定いたしまして、放射線測定に対する証明を行うということといたしました。
ガイドラインでは、日本で行うコンテナ及び船舶の放射線測定の信頼性を確保するため、次のような内容を規定いたしました。
4点ございます。
1つは、使用する測定機器、コンテナの測定箇所等の放射線の測定方法、これも非常に大事な点でございます。
2点目には、検査日時、コンテナ番号、測定結果等のコンテナの放射線量についての証明書の内容及びその発行方法について決めるということ。
3点目には、国際機関の基準値に準拠する放射線量の安全性に関する基準値というものを定める。
4点目には、基準値を超えたコンテナ及び船舶を検出した場合の対応方法について、の4点を定めたガイドラインというものを規定をしたところでございます。
それから、港湾の近傍における大気の放射線測定値を国土交通省のホームページにおいて情報提供をしてまいりましたけれども、港湾管理者等の準備が整い次第、港湾内の大気及び海水に関する放射線測定値についても情報提供をしていくことにいたします。
ただ今申し上げた対策を関係者が一丸となって取り組み、海外における日本発のコンテナ及び船舶に対する信頼を確保してまいりたいと存じます。
以上申し上げましたことについては、外務省、官邸を通じて在京大使館や外国プレスの方々に周知していくとともに、私共日本の在外公館を通じて、海外の政府、港湾当局、船会社等に周知が図られるように、外務省にも要請をしていく予定でございます。
詳細については、後ほど事務方にお聞きいただければと思います。
以上です。

質疑応答

(問)補正予算に盛り込まれた内容について、大臣の御所見をお聞かせください。
それから、2次補正に向けた課題、あるいは検討状況はどうなっているのでしょうか。
(答)今回の補正予算でございますが、先ほど申し上げましたとおり、支出の使い方については、今回の震災を受けて復旧工事等が中心でございます。
同時に、そのお金を捻出するために、高速道路料金無料化社会実験の一時凍結というもので1,000億円、それから高速道路料金割引利便増進事業の見直し、これは土日1,000円、平日2,000円ということを私どもも考えておりましたが、全てこれは導入するということはもうしないということで、それにかかる2,500億円を財源として提出するということにしたわけであります。
これら第1次補正予算案は当面、今考えられるところでありまして、これから更にいろいろとやるべきことが出てくると思いますが、これについては第2次補正の方で、提出をさせていただきたいと考えているところであります。
いずれにしても、皆様方もご存じのとおり、今、大変な状況の中で、避難所生活をされている方が多くおられるわけですから、厚生労働省とも連携をしながら進めているところでありますが、1日も早く早期に仮設住宅の必要な戸数を完成させたい、そして、その仮設住宅に入っていただいて、これからのことをしっかりと考えていただくような環境を整えたいと考えております。
なお今日の閣議のときにも、総理の方から、被災者の方々の立場に立って、私たちは行動していこうというお話もございました。
正にそのとおりだと思いますので、一所懸命に仮設住宅の建設が進むように、努力をしているところでございます。

(問)今回の補正予算で、高速道路の無料化実験や料金割引の財源が当てられていますが、このことが今後の高速道路のあり方の検討等にどういった影響を与えるかについて、大臣の御見解をお願いします。
(答)元々、休日土日1,000円というのは、自公政権時代、リーマンショックを受けて日本経済が非常に混乱した時期に、その経済を活性化させようということで導入したと理解しております。
この課題は課題として、更にこれからの高速道路のあり方については、現在、有識者の方々にお集まりいただいて、今後のあり方を検討していただいておりますから、今回の大震災という状況に遭遇したわけでありますが、この問題等も含めて、例えば、道路のあり方、要するに国道と高速道路の利用方法ですとか、今回もマスコミの皆様からいろいろ御指摘いただきましたが、道路というもの、交通手段というのは複数あるべきであって、片方が遮断されたときには片方の道を使って、救援等々を行っていくというのは非常に重要だということを私たちも体験上、理解いたしましたので、そのようなことも含めて、高速道路のあり方という委員会の中で検討していただいて、一つの方向性を見出していきたいと考えております。

(問)高速道路に関連してですが、与党や野党の一部からは、東北や北関東の高速道路を無料化にすべきとのアイデアも出ていますけれども、大臣、もしくは国土交通省としては、この件についてはどのように対応していくおつもりでしょうか。
(答)東北地方は、今回の大震災を受けて、まさに街が大打撃を受けておりますし、経済的にも大打撃を受けておりますので、この点については、単に復旧だけでなく復興へと、こういう御指摘をいただいております。
私個人的にも、経済的な復興という意味からも大変大事な指摘だと思っておりまして、この点についても、与野党間でいろいろと御意見が出ておりますから、そういうことも踏まえて、私どもも検討していきたいと考えているところであります。

(問)今回予算計上されていた無料化予算を凍結して、1次補正の財源にまわして、その後で改めて、東北の高速を無料化する場合は財源の措置をしなければならなくなるわけですけれども、その辺りはどのようにお考えですか。
(答)これは1つの考え方ですから。
利便増進事業の予算というものもありますから、これは補正とは切り離して考えることができると思いますので、そういう意味では、1つの結論が出れば、与野党の御意見を伺いながら対応することができるのではないかと、そう考えております。

(問)昨日、羽田空港の国際化から半年が経ちましたが、欧米の航空大手の一時運休が相次いでいます。
以前、大臣はインターナショナルエアライングループのウォルシュ会長と会談されて、ウォルシュ会長が日本の安全性を確認できたと語っておりました。
弊社も3月末にウォルシュ会長にインタビューをした際、会長は、できるだけ早く正常化させたいと話しておりましたが、実際には、ブリディッシュ・エアウェイズはロンドン線を5月末まで運休することを決めております。
これは、英国航空だけの話ではありませんが、欧米の航空大手の運休が続いていることについて、大臣の御所見を伺えますか。
また原発の問題もありなかなか難しいとは思うのですが、外資のこうした運休が相次いでいることに対して、国土交通省として、何か対策をお考えであれば教えてください。
(答)御指摘の点については、事実関係が十分に諸外国に伝わっていないということから、そのような形になっていると思いますが、観光庁を中心として、今、日本における原子力の発電所事故によって、どのような状況にあるのかという、実測値の線量の情報等も発信しているわけであります。
更に、国土交通省の関係者が、海外に行って国際会議等に出席する場合には、現在、こういう状況にありますと、こういうことをできるだけ発信していこうという努力をしているところであります。
そういう正しい情報を正確に発信することによって、イギリス航空と同じように、徐々に理解が広まると思います。
風評被害というのは地道に努力していく以外に、なかなか即効性のある手段というのは難しいと思いますので、地道な努力を続けて、是非理解を得て、成田、羽田に国際線の直行便が飛ぶような形になるよう努力をしていきたいと考えているところであります。

(問)高速道路の利便増進事業の見直しで、2,500億円を捻出するということですが、平日2,000円と休日1,000円を止めた場合に、元々3年間でだいたい計画されていたと思うのですが、2,500億円以上の財源が本来出てくると思いますが、残りの2,000億円弱くらいの財源というのは、東北の無料化等に充てるおつもりでしょうか。
(答)平日2,000円、それから休日1,000円というものを廃止することによって、3年間で約4,000億円の予算が出てまいります。
2,500億円になるのはどういうことかということでありますが、平成24年度以降2年間、マイレージ割引は継続するということを考えておりまして、これによって、1,500億円がそこで使われますので、差し引き2,500億円ということになるということであります。

(問)ということになると、今後、東北の無料化に係る新たな財源を利便増進事業の財源から捻出するとなると、また料金制度をある程度組み直す必要が出てくると思いますが。
(答)私もこの利便増進事業というのがどういう仕組みになっているのか、国土交通大臣になってから、事務方から詳しく聞きましたが、先ほど申し上げましたように、土日1,000円という制度を導入するときに、3兆円分だけ枠を取って、その中から使うということになっております。
これまで使ったのがだいたい1兆円、それから今回2,500億円を計上するわけでありますから、おおよそまだ1兆5,000億円くらいの予算がありますので、この予算をどう使うかというのはまだ決めていないわけでありますから、この中で、捻出することはできるのではないかと私はそう感じております。

(問)高速道路のことなのですが、休日1,000円はいつ頃から廃止になるのかということと、与党の一部にマニフェスト違反になるのではないかという声があると思いますが、これについてはどう考えていらっしゃいますか。
(答)これは、自由民主党さんも元々3月31日までで、土日1,000円も景気対策の一環として導入されたという経緯がございます。
今回の大震災を受けて、マニフェストとの関係についていろいろな御意見がございますが、私は、今はこの東日本大震災を受けた地域、あるいは被災された方々の救援にその予算を使うということについては、おおかた理解を頂いているのではないかと受け止めております。
廃止時期については、制度を変えるときには、コンピュータのシステムを変えないといけませんので、おおよそゴーサインを出してから2か月後にシステムが切り替わるということですから、それを決めた後、おおよそ2か月後くらいから土日1,000円のシステムは無くなると受け止めていただきたいと思います。

(問)これから2次補正予算となった時に、もちろん東日本大震災の復旧が中心になると思いますが、西日本やその他の地域などの耐震や津波対策などを、今後の補正の中に入れていくというお考えはありますか。
(答)これまで、そのような発想はありませんでした。
私の頭の中は、東日本の避難所で生活されている方に、どのようにして、早く、自分自身の家族や将来を考えることができる場を提供することができるかということで精一杯だったわけであります。
地震対策や復興をどのように考えなければいけないのかということは、当然全体的に考えなければなりませんので、西日本についても、そのような視点で全体的に見直すことが必要だと思いますが、第2次補正でこれを実行しなければならないのかということについては、まだ検討しておりません。

(問)高速道路料金の見直しに関連して、土日の1,000円というのは、本州四国連絡高速道路の適用分も廃止するという考えでよろしいのでしょうか。
(答)出資者の方、関係者もおりますので、その方とよく話をして決めなければならないことでもあると受け止めております。
どのような方法で行うかについては、出資者の方ともよく相談して対応を決めたいと思います。

(問)止める方向で調整ということでしょうか。
(答)基本的には、そうなると思います。

(問)さきほど仮設住宅の建設を早期に進めていきたいということでしたが、建設用地の取得から竣工までの間どうしても時間がかかってしまって、全部ですと、まだ2ヶ月、3ヶ月避難所生活をする被災者の方がでてくるかと思います。
例えば、空いている公営住宅や旅館の空き室等に一時的に移っていただいて、仮設住宅が完成するまで、そこで過ごして頂くというような方法で、避難所生活をしている方の生活改善を図れるのではないかと思いますが、今、政府として避難所生活をしている被災者の生活改善について、どのような方法を検討されているのか、教えて頂けますでしょうか。
(答)御指摘のとおり私も考えています。
民間の賃貸住宅、あるいは温泉旅館などから、協力しますと言っていただいておりますので、できるだけ避難所の方々に一時的にそこに入っていただいて、仮設住宅が完成するまでの間、避難所でずっとお過ごしになるのではなく、そういう場所に一旦移転していただいて、心身共に安心して過ごせるようしていただきたいと思っておりますが、いろいろとお話を伺うと、まだ1万3千人行方不明の方がおられますので、そういった背景や、町に自宅などがある関係で、避難所から自宅に毎日行かなければならないというような御都合などもあるようです。
私としては可能であれば、民間の賃貸住宅やホテル、旅館などに一旦移っていただいて、そこに移ってしまうと仮設住宅に入ることが出来ないのではないかというお話をされる方がおりますが、そういうことはございませんので、是非、様々な心情があるとは思いますが、仮設住宅が完成するまでの間、一時的に移っていただくと有り難いと思っております。
この間、あまりお風呂に入ることも出来ていないという実情について、御指摘をされる方がおられますが、私としては観光庁長官へ、避難所でお過ごしの方全員平等に、1泊2日あるいは日帰りでも、家族連れで温泉に行きませんかという機会を提供して、希望された方にはバスで近隣等の温泉に行っていただいて、1日あるいは1泊2日で過ごしていただいて、お戻りいただくというような努力をするように話をしております。
被災者の方々は、日本の国民として一生懸命頑張ってこられましたし、憲法第25条にも健康的で文化的な生活を営む権利を有すると保障されておりますので、1か月間に1、2回程度しかお風呂に入れないということがないように、避難所の方々の環境をより良くするように、一所懸命努力しているところですが、冒頭の御質問については私もそのように思っておりますので、是非、実現するように進めたいと考えております。

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