事務次官会見

春田事務次官会見要旨

2009年2月19日(木) 14:01 ~ 14:27
国土交通省会見室
春田 謙 事務次官

閣議・閣僚懇

 事務次官等会議の関係で特にご報告申し上げる案件はありません。

質疑応答

(問)新宿区でのエレベータ事故の件ですが、事故対策委員会が初めて立入調査に入った訳ですが、現在の調査状況は如何ですか。併せて、警察が捜査をする中での調査ということで有効に機能するかどうかという点はどうお考えでしょうか。
(答)今週月曜日の12時頃、信濃町の帝都典礼ビルのエレベータにおいて事故が発生し、大変痛ましい事故でした。誠に遺憾なことであり、亡くなられた塚田敏雄さんのご冥福をお祈りをし、また遺族の方々には心からお悔やみを申し上げたいと思います。事故の原因については現在調査中でありますが、当日の午後3時から警察の協力の下で、特定行政庁である新宿区が現場の立入調査を致しました。同時に国土交通省及び昇降機等事故対策委員会、これは社会資本整備審議会に設置された委員会でありますが、その委員2名が立ち会って現場で調査を実施致しました。国土交通省としてはこの調査結果を踏まえ、先程申しましたように、社会資本整備審議会の昇降機等事故対策委員会において発生原因に係る調査を行った上で、再発防止対策の調査検討ということで再発防止に繋げていきたいと考えています。今、特に現場調査ということに関しては、正に当日の事故発生直後に警察の協力を得まして、新しく発足させました対策委員会の委員が立ち会うというようなことが出来ましたので、その意味では警察との協力体制の下に事故原因の究明ということで取り組むことが出来たというところだと思っています。

(問)日本航空が日本政策投資銀行から2千億円規模の危機対応の融資を受けることを検討していて、国交省とも調整をしているという報道がありましたが事実関係は如何でしょうか。
(答)日本航空は2月6日に決算を発表しておりますが、全体的に航空企業の経営が厳しいという中で日本航空自身、足下の経営環境については今の状況を踏まえた先々のことも当然考えているのだろうと思います。資金繰り等について具体的に問題が生じているという話は聞いていません。また、緊急融資ということが新聞でも出ていましたが、緊急融資について具体的なご相談があるという訳ではありません。ただ、現下の経営環境もすぐに好転するとかそういう兆しが見えるということでもありませんので、やはり企業の経営環境の変化に対する対応ということは注意深く見ていかなければならないと思っています。特に、航空は航空サービスの確保という点、また将来的に渉っても非常に大きな役割を果たす産業分野でもあります。そういった観点から注意深く状況を見守りながら必要に応じて対応を図って行きたいと。関連して、先般2月4日に定期航空協会から要請があったということを受けて、施策パッケージをまとめていくと、年度中、3月末までにまとめていきたいということで今鋭意検討しているところです。

(問)エレベーターの件ですが、今後事故対策委員会が独自に調べた調査結果というか、捜査機関から証拠や捜査共有庁という形で提供を求められた場合は何か特に定めがあるのでしょうか。
(答)警察の協力の下で、先程申したように現場で実際に調査をさせて頂いたということですが、当然のことながら警察も現場の関係は当然現況把握されているということだと思っています。そういった意味で、警察の行っている捜査を一部肩代わりするということにはならないと思います。勿論、警察に協力して頂き非常に早い段階で現場を見させて頂いたということもあり、私共として気の付くようなことはまた警察の方にも必要に応じてご連絡すべきはしていかなければならないという点はあるかもしれません。また逆に、警察側から新たな事実関係が分かったというようなことがあれば、教えて頂けるものについては教えて頂くということが必要になるだろうと思います。私共としては、あくまでも事故原因究明を再発防止に繋げるということですので、責任問題や刑事的な事案の処理といった警察の役割とは自ずと違いますが、事実関係でお互い協力し合えるものについては協力していくということだと思っています。

(問)新幹線の件で改めてお伺いしたいのですが、まず当初、新潟県知事が支払いについて難色を示した事実としては、説明不足をあげていた訳ですが、これについて福岡県知事は説明が十分だったら払えるというものではないと。払う能力が無くなってきたというように議論をシフトしてきた感じがしますが、先程国会でもそれに近いやりとりがありました。これについてどのように感じられているのでしょうか。
(答)今、現下の情勢では地方公共団体も非常に財政的には厳しい状況にあると思っています。そういった中で、新幹線の整備費が増嵩するという事態をどのように対応していったらよいかということですので、当然のことながら、こういう事態になったということの詳細、事実関係を含めてよく話をして、その上で具体的に前にも話しましたが、新幹線の工事は段取りでそれぞれ区間の工事を正に一本のレールとして繋がって整備をするという内容ですので、そういった段取りをどのようにとってやっていくかということが正に年度の事業としてよく県ともご相談した上で進めていかなければならないと思います。そこで、どのようにご理解を頂きながら、しかも工事については目標の所謂開業目標等こういったものについてそれを予定通り進めていけるように努力しなければならないので、その辺の理解を得るという点について福岡県の場合についてもよく相談していかなければならないと思っています。財政的に厳しいという状況は沿線の自治体にも共通的にあるし、特に福岡県の場合は強く仰っているということだと思います。どこも全体的にそういう事情は大なり小なりあるだろうと思っています。その中で先程の工事の段取りのような中でどのように答えを出していくかということだと思いますので、よく相談していかなければならないと思っています。

(問)今回の件、こういう既着工区間のスキームについて議論が起きることで、去年の年末に与党PTでの合意を受けて、新年度に未着工区間の着工を目指すというよりハードルが高くなった感がありますが、そこは如何ですか。
(答)未着工区間の問題は、勿論、財源を確保することというのが一番大きな課題ですから、その財源については貸付料の問題を中心になお検討を積み上げてメドを付けていくことが必要になると思います。それを今年の年末までの間に作業していかなければならないと思っています。今の状況がそういうものと無関係かどうかということについては、こういう経済状況の中で、それぞれの自治体の歳入が落ちていることが財源の点でも影響しないことはないと思いますけれども、私は今の議論がそのまま財源の話と直ぐに結びつくかということでもないのかなと思います。ただ全般的に、経済情勢との関係で起こっている事柄は財源問題との関係で勿論無関係ではないと思います。

(問)先程の日本航空の話の中で、具体的な相談があるということではないということでしたけれども、具体的というのは2千億円とかそういったところまでの話はないということで宜しいでしょうか。
(答)そうですね。2千億円とか。資金の関係ではどういう関連の資金だとか、どういうところで生じるかとか、色々なことがあるでしょうから、第一義的には企業の側で経営責任を色々と果たしていく中でどういうことになるか見通しを立てられるのだと思います。仰られるように、規模等を含めて仮にご相談があれば、私共が具体的な相談に応じていくことは可能性としてはあるかもしれません。そういう具体的なことをやっているということではないです。

(問)エレベーターの関係なのですが、原因がよく分かっていないということなのですが、同型のタイプのものがどのくらいあるのかとか、それについての報告を受けられているのかということと、原因について可能性として高いものについて国土交通省としての見解がありましたらお願いします。
(答)このエレベーターは三精輸送機株式会社のエレベーターなんですが、もう45年経っているということでございまして、現時点において同型のエレベーターの設置が確認されている建物は、当該建物だけなんだそうです。ですから、今度事故があったのと同じエレベーターは少なくともこの会社の関係では無いようです。これを受けてどういう対応が出来るかを至急考えていかなければならないのですが、現場の調査もさせて頂いたということで、例えば点検をするとか、あるいは事故原因をある程度絞り込んでそれに対する再発防止としてどういうことが出来るかといったことは未だ掴んでいない状況ですから、これから原因調査を急いでやっていかなければいけないと思います。まだ明確にどうしてあのようなことが起こったのか、かごがその階の位置に無い場合に、何故外からかごの戸を開けることが出来てしまったのか等の原因を調査して、ある程度原因究明しないと再発防止の関係はなかなか的を絞れないかなという感じがしております。ただその辺が焦点であると思いますので、その辺を調査していくということだと思っております。

(問)エレベーター関係の事故対策委員会ですが、旧事故調、今の運輸安全委員会の報告書は刑事裁判では利用されない取り決めになっていて、それというのは刑事裁判で責任を問うために使われてしまうと事故原因の究明に支障が出る、ということがあると思うのですが、同じような形で今回の事故対策委員会の報告書が利用されるというか、その虞があるとかそこまでの議論はなされているのでしょうか。
(答)運輸安全委員会の場合でもそういったところをどう考えていくかが議論としてあると思いますけど、あくまでも再発防止のための調査ですから、そういう意味で先程申しましたけれども警察の目的と違う訳ですね。ただその時に具体的にこちらで原因究明するということと、それが刑事責任の究明との関係でどういう風に扱われるかは非常に微妙な問題であることは確かです。そこを繋げてしまうと、はっきり言って原因究明と再発防止というところも非常に対応しづらくなるということもありますので、そこは考え方としては別のものだということで、それがそのまま捜査の資料にはならないという前提の下に調査も進めているというのが我々の基本的な考え方です。ただ先程も申しましたように、原因究明等の問題ではなく、事実関係等でということは色々警察からのお話もあり得るだろうと思うし、可能性の問題としては色々あるかもしれません。ただ資料が刑事訴追の材料にそのまま使われるということは、出来るだけ色々な問題の再発防止に上手く結びつけていく機能を高めていこうというのが趣旨ですから、まず第一義的にはそういう役割を貫く形で取り組まなければいけないなと思っています。現実に議論としては色々な観点があるだろうと思いますけれども。

(問)もうすぐ年度末ですが、道路特定財源の支出の関連法人の改革の初年度が終わると思うんですが、今現在の状況は如何ですか。
(答)昨年4月にとりまとめた改革本部の報告書に基づいて、改革を着実に実施しなければならないということで取り組んでいるところです。今、年度の終わりに近づいているということでご指摘がありましたが、私共も道路関係の公益法人に対する契約方式の適正化ということでは、特命随意契約を企画競争方式等競争性の高い方式に切り替えるという点については、昨年12月分までですが、従来平成18年度が94.2%(特命随意契約)だったものが、平成20年4月~12月までで集計している金額ベースでは4%まで落ちているというようなことがあります。また、公益法人関係では、例えば道路関係公益法人の受託業務につきまして、外部の専門家による業務監査の仕組みを導入することに関して、受託業務の外部チェックの仕組みに係るガイドラインを既に作成したということがあります。それから、役員・総人件費の抑制ということについては、来年度に理事会や総会の手続きを経ないといけないものもありますが、平成20年度で具体的に処理が出来たものについては、例えば、役員報酬に関する規程を20年度中に策定して公表を終了しています。役員の兼職の解消については対象となるところについては既に解消しております。定年制の導入、給与水準の抑制、役員数の抑制等については来年度に取り組む事柄になると思います。私共も着実に実施をしていこうということで、このように取り組みをしてきております。他の項目では、公益法人としての必要性が低下したものの解散・廃止に関しては3法人を対象としておりますが、何れもそれぞれの解散・廃止といった方針は、平成20年度中に決定しています。機関決定等の具体的な手続きは来年度に入ってからになろうかと思います。最終的に具体的な手続きまで含めると、平成22年度まで掛かるようなものもあります。具体的に細部まで全部触れることは出来ませんが、大体出来るものは早めに取り組んでいくということで、公益法人にも指導を行い着実に対応していきたいと思っています。

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