副大臣・大臣政務官会見

奥田副大臣就任会見要旨

2011年9月21日(水) 13:07 ~ 13:43
国土交通省会見室
奥田 建 副大臣 

質疑応答

皆様初めまして。
この度、国土交通副大臣を拝命いたしました奥田建と申します。
自己紹介となりますが、石川県の衆議院石川1区、金沢市の出身であります。
私自身、社会人になって建設業の世界で仕事をさせていただいて、そして、政治の世界に入ってきて今に至っております。
建設産業自身が縮小という中で、あるいは、運輸産業が過当競争という中で大変厳しい環境にあるわけでございますが、そのような産業を支えていただいている方が誇りを持って仕事に取り組める環境作りに貢献することが出来ればと思っております。
担務でございますが、松原副大臣に続いて職務代行の第二順位を与えていただきました。
津川、津島、室井政務官共々に前田大臣をしっかりと支えて行政と政治との意思疎通、議会との意思疎通にも汗を流させていただきたいと思います。
担務の話の続きになりますが、以前のように建設・運輸という中で、すぱっと割っていないので一言でお伝えするのは難しいのですが、災害担当、そして土地・建設業関係、社会資本整備の中では水管理・国土保全局関係、住宅局、鉄道局、自動車局といったところを担当いたします。
観光も担当いたしますし、環境政策という部分も大臣を補佐して、国土交通政策の中にも環境政策をしっかりと反映させて行くという仕事も行わせていただくことになりました。
幅広い所掌をもった国土交通行政でございますが、所管以外も松原副大臣、そして政務官の皆様と手を携えてしっかりと取り組ませていただきたいと思っております。
大臣もそうですが、東日本大震災の対応に加えて、台風12号の最中に着任するということになりました。
先日、紀伊半島の台風被害地域にも警戒態勢の中でございましたが、入らせていただきまして、現地も少しばかりではありますが、見させていただきました。
ほんの半年足らずの間に、何百年に一度という災害が重なって、そしてまた、今なお15号台風という中で全国で大きな被害と警戒態勢が進行中であるということではございますが、しっかりと国土の保全とともに国民の皆様の、そして、地域に根ざす皆様の生活の安全をしっかりと確保していく、その国土交通、国土保全の仕事にしっかりと汗を流させていただきたいと思っております。
まだまだ至らぬ所がございますが、どうぞ記者会の皆様もよろしくお願いしたいと思います。

(問)台風により各地で大きな被害が発生しております。
土砂ダムが出来たりと問題が起きているわけですが、今後災害対策についてどのように取り組んで行かれるおつもりかお願いいたします。
(答)土砂ダムの方は土砂災害防止法が改正されてから初めて、国からの緊急調査出動という対応をとらせていただきました。
そして、今も緊急性の高い、警戒性の高い、五つの土砂ダムについて国交省の近畿地方整備局を中心にして警戒態勢、監視体制を引かせていただいております。
ご承知のとおり、二つの土砂ダムについては直轄事業としてその対応を行っている中で、今、国交省の技術陣にその土砂ダムの危険性を排除していく対応について検討していただいているところです。
いくつかの案が出て、最優先となっているダムについては水路を造って水を逃がすという方法が一番良いのではないかという報告は受けておりますが、現時点では現地に近づけない、ヘリで飛んでも現地の状況が良く分からない、あるいは飛ぶのにも危険があるという状況であったり、警戒区域としている中に深く入っていくことが不可能な状況でございますので、テレビカメラという形で遠隔監視を続けているところございます。
一日も早い復旧を望むことは十分承知しておりますけれども、こういった大規模な土砂災害について国土交通省、あるいは現地の方々の対応も、安全確保のために月単位の時間が必要だということもどうかご了承いただければと思います。

(問)東京メトロ株式は、震災復興財源としての売却が検討されておりますが、このメトロ株の売却について、副大臣の御所見をお願いいたします。
(答)東日本大震災の復興財源を考える民主党としての検討の中で、そのような意見が複数出ていたわけでもあります。
メトロ株については大臣のお言葉をお借りすれば「金の卵を産む鶏」ということで、大変価値がある国民の財産ということでございますから、その価値を毀損することなく対応していきたいと考えております。
国と東京都が53%と47%という保有率になっておりますが、東京都にも要望というものがございますのでそういった話し合いをしっかりと持った中で、先ほど申し上げましたとおり、大変優良なメトロ株の価値を毀損することのない方法を考えていかなければならないと思います。
制度論で言えば、然るべき時に、民営化のために、国も東京都も株を市場に出していくという規定はございますが、そのことも大切にしながら、しかし、そのことに捕らわれることなく最良の方法というものを模索していかなければならないと思います。

(問)今のお話に関連して、メトロの株を東京都が買いたいと言っています。
統合を狙っているわけです。
国交省はあまり同意をしていないようなのですが、その辺についての御見解はいかがでしょうか。
(答)今言いましたように、メトロ株だけの市場価値で考えたときと、東京都が主張している都営の会社一体化といったことまで話が進んでいくと、市場価値の評価が変わってくるということもあると思いますので、そういう点で、都も国も国民もメトロもウィンウィンの関係と言いますか、お互いが納得もできて、またその価値もしっかりと保っていく方向というものを模索していかなければいけないということを申し上げたつもりです。

(問)観光関係の御担当ということですが、担務ではない航空と密接に関係する分野であります。
どのように松原副大臣と協力して、観光による外国人の呼び込みを図っていくのかお聞かせください。
(答)先日、観光の5か年の基本計画を協議する会議がもたれましたけれども、今年の時点で言えば、震災被害、そしてそれに伴う放射能の拡散という中で、産業もそうですけれども、観光も大きなダメージを受けているということです。
喫緊の目標として、1千万人の渡航者受入という目標を挙げておりまして、その目標に順調に近づく形で、確か前年では860万人を越える観光客、渡航者の方に来ていただいていたわけですが、観光関係、あるいは日本への渡航関係の中で、その前のSARS被害のときをもしかしたら下回るかもしれないという大きなダメージを受けて、計画、目標を立て直さなければならないという中にあります。
一番は、海外に対して、日本の現状というものを正確に発信していくということ、それは観光庁としてもメディアやあるいは著名人の方々を通じて、日本の実情を知っていただくという発信に力を入れておりますし、国際会議も震災直後はたくさんキャンセルがありましたが、是非、国際会議、あるいはイベントといったものを日本で開催していただきたいということで、直接、主催者の方々にお願いに行ったり、あるいは日本の今を自分の目で確かめていただいたりという活動にも力を入れているところであります。
ただ、やはり数字として、現状大変厳しい中にありますので、いろいろな地域への支援策、あるいは個々の観光業、旅館やホテルに携わっている方の震災や放射能関係の補償というところにも国交省としての意見をしっかりと表明して、応援をさせていただきたいと思います。

(問)副大臣は民主党で「建設業法等を考える民主党議員連盟」の会長をされていたとお聞きしております。
議連の中では、業種区分の見直し、建設業法の改正の必要性を訴えられていて、また、建設技能労働者の賃金支払いの透明化の法案を議員立法で出すというようなお話もされていたと思うのですが、建設産業を所管する国土交通省の副大臣になられて、改めてそうした問題意識をどのようにして政策に反映されていくおつもりなのかお考えをお願いします。
(答)業法全体というと、欲張りな話になって、幅広い問題になってきますが、今おっしゃったような、実際に建設業の現場で働く技能者の方々の境遇というものが、産業構造の中で大変厳しい状況の中にあるということも事実です。
そのことは関係省庁や、あるいは公契約という中でしっかりと守っていくところは守っていきたいし、そういった職人さんと言いますか、技能者の方々の年齢層と言いますか、やはり若い人たちが新しく参入して、働きがい、やりがいのある産業でなければ、やはり衰退の道しかないというところを変えていきたいですし、業法の中でもいろいろな指定業種の見直しということも、私たちも、そして省の方でも取り組んでいる進行形の課題でもあります。
あるいは入札制度のあり方、談合問題はもちろんですけれども、それ以上にダンピングといった問題が建設業の疲弊に拍車をかけてしまっているという問題にも、民間契約にまであまり口出しすることはできませんけれども、少なくとも公契約の中で健全性を保っていく契約方法、入札方法というものはどういうものなのかということを真剣に考えていきたいと思います。

(問)エコポイントについてはいろいろ話が出ておりますが、新たな住宅取得の支援策を考えられているかどうかについてお尋ねします。
(答)エコポイントについては、大臣が会見で、期限が切れるものも意欲的に継続していく方向性と、また被災地の復興に資する方向性を持たせたいということを表明しておりますけれども、住宅取得の金利施策と言いますか、それもしっかりと継続していくという方向で政務の私たちと国交省住宅局を中心とする部署の方で、政府の方に投げかけと言いますか、それは行っているところであります。
ただ、今までと同じものになるかというと、少し対応する範囲というものは絞り込まれたりすることはあるかもしれませんが、今のフラット35からマイナス1%の金利低減という、その根拠となる予算財源確保というところを今取り組ませていただいているところであります。
是非エコポイントを皆さんに利用していただきたいし、数字の上でもその効果というものはまだまだ低い住宅の着工件数、リフォーム件数でありますけれども、それを何とか支える、そして延ばしていく施策の一つとして大切にしていきたいと思っています。

(問)整備新幹線の未着工3区間という課題がありますが、今回の大震災を受けて、多重交通網の必要性について大畠前大臣もおっしゃっていましたが、ずっと検討が続いていて、なかなか回答が出てこないということも一面であると思うのですが、副大臣はどのように取り組まれて、めどみたいなものがもしあればお願いします。
(答)一議員とすれば、すぐにでも決断を頂きたいということは一人の議員としての思いではありますが、今、省庁またがった整備新幹線の調整会議、そしてその結論を待っての検討会議というものもありますので、国交省鉄道局としてのしっかりとした判断、あるいは今言った調整会議、検討会議での結論というものをもって、党と、そして政府全体の結論にしていかなければいけないというところであります。
大畠前大臣や三井前副大臣などとも個人的にお話をさせていただく中では、やはりしっかりと推進をしていきたいし、地域に良いお答えをお返ししたいという思いで取り組んでおられたわけですが、次の前田大臣体制に引き継がれた大切な課題だというふうに思っておりますので、どうか皆様からの応援も、地域からの応援も、また記者クラブさんからの応援も頂ければと思います。

(問)今、副大臣がおっしゃった省庁またがった調整会議や三役の検討会議は昨年以来開かれているという形跡は無いように思うのですが、今後どれくらいの頻度で開いて、いつくらいまでに結論を出していこうというお考えでしょうか。
(答)新幹線については、基本原則の5原則ということを皆様御承知だと思いますけれども、その5原則に対して地域やJRも含めて、どういう答えと準備が整理されているかというところが一番のハードルになってくるかと思います。
厳密な物言いで言えば、まだクリアできていない部分があることも現実です。
しかしその中で地域ごとに新幹線事業を取り巻く状況というものも変化してきておりますので、そういった状況もしっかりと政治判断、政治決断をする要素として、私たちの部署と立場からは訴えさせていただきたいと思います。

(問)トラック事業についてお伺いしたいのですが、議員立法で、トラック業界などへの交付金を法制化する運輸事業助成法が今月30日から施行されます。
それと、適正運賃など規制緩和以後の弊害の見直しについて、トラック産業の将来ビジョン検討会ということで、近々に何らかの結論を出すというふうになっており、いろいろと問題があるのですが、副大臣としての御所見を頂けますでしょうか。
(答)助成金については御承知の通り、通常国会の終盤に、駆け込み足でしたけれども、法案の成立ということにこぎ着けることができました。
総務省の通達という形で、助成金の配布が計算上決められていたわけですが、そのことを、法の担保によって、しっかりと安全や、あるいは産業に従事する方々の職場環境を改善していくという資金として、また届くように、法で担保させていただいたところであります。
今は政令でどのような事業に使えるのかということを、総務省と国土交通省が共管して、その確認をさせていただいたところで、最後に柔軟性を持ったルールも1項目付け加えさせていただいたかと思います。
トラック産業について言えば、確かに私達も、暫定税率の話や高速道路の話で、大きな期待を持って政権を預からせていただいたわけですけども、大きな財源不足という中で実現化には至っておりません。
しかし、やはり最初に申しました、大変な過当競争の中にあっての運賃交渉が厳しいということもありまして、是非、料金個々の話というよりも物流というものが皆さんの生活の利便性やいろいろな産業を支えていっている大事な足腰の部分なのだという認識の下で、制度としての応援ということができればと思っています。
何を言っているのかと言えば、物を動かしていろいろな製品が皆さんのもとに届くのですが、だいたい5%が物流費だと言われている、この物流費をいろいろな所で、運輸業者の方々も経費として負担している部分で、少しずつであってもそういった負担軽減が規制緩和という中で応援することができればと思っております。
あとは建設業でも運輸業でも言えますが、こういった厳しい環境の時には悪貨が良貨を駆逐するという状況がないように、ルールを守って業界に参加していただいている方をしっかりと守るというか、許し難い悪貨の部分を駆除していくという厳しさも監督官庁としては必要なのかなというふうに思います。

(問)タクシーについて、規制緩和で過剰となったタクシーの台数を減らしていく方策と事業の活性化に期待する分野についてお聞かせください。
(答)御存知の通り、タクシーについても10年ほど前の規制緩和による自由参入ということになってから、大変な競争の中にあるわけです。
私自身も観光地でのタクシーが過剰だと言われている10本指の中には入る地域の人間です。
今は業界としての自主規制という特措法が執行されているわけですけれども、まだまだ業界の方からは厳しいし、もっと強制力を持った制度に変えて欲しいとの要望を受けているのも事実ですけれども、この特措法が動いてからの数字をチェックしてまいりますと、その効果が現れていることも現実です。
この推移を見ながら、タクシー台数の制限と、あまりにかけ離れた料金の中で同様の仕事をしていくというところには、しっかりと監視の目を持って対応させていただきたいと思います。

(問)2020年までに住宅と建築物の省エネの義務化を目指していると思いますけれども、そのことについてのお考えと、何か実施するために決まっていることがあればお願いします。
(答)前田大臣としても、少し未来を先取りするというか、あるいは国交省の住宅政策も追いつけという意味も含めて、大変力の入っている部分だと思いますし、私も政府に入れさせていただく前には、前田大臣、当時は議連の会長でありましたけれども、その下で省エネ施策、そして住宅の省エネ政策について共に勉強をさせていただいてきた自負は持っているつもりであります。
ガラスや断熱ということだけに限らず、少々初期投資は高くなりますけれども、地下熱の利用だとか、あるいは自然エネルギーを住宅やオフィスの中に取り込んでいくこと、そのことによって今のエネルギー政策の一端を担うという産業の姿も出てくることと思います。
大臣の方はもっと大きな福祉のエコタウンといいますか、ゼロエミッションからゼロエネルギーへということも機会があるごとにお伝えをさせていただいていると思いますけれども、そういった施策の一つひとつが政府の手も入った施策として皆様の下に届けられるように頑張らせていただきたいと思います。
これから施策が繋がっていくと、スマートネットワークというようなところにも行くかと思いますので、是非、その実現に少しでも早く届くように貢献をさせていただければありがたいことだと思います。

(問)日本の都市の競争力向上については、何かお考えでしょうか。資本を呼び込むような魅力作りについては何かお考えでしょうか。
(答)産業の誘致ということも大事なことですし、円高の中で空洞化ということが国全体の大きな課題となっておりますので広く捉えなければならないと思いますけれども、まちづくりということで言えば、私は産業力ももちろんですけれども、住みやすさといいますか暮らしやすい住環境、住居も職も連携したものでありますけれども、そういうものを求める施策ということが私自身が魅力を感じる方向性であります。
産業の力はもちろん必要ですけれども、産業だけに特化することなく、子育ての環境であるとか、自然に触れ合う環境だとか、私自身がどちらかというと地方の出ですので、もっと住と職が近接した環境で、一日の時間をもう少し有意義に優雅に使うことができるのではないかと思います。
こういうことを言っていくと公共交通政策とかにも繋がっていくのですけれども、そういった住まいやすさ、そして一つひとつの都市も、まちの個性というものを大切にしていくまちづくりを推進していければいいなと思います。

(問)整備新幹線の件ですが、新規分については、来年度の概算要求に明記しないという方向だという報道もありますが、これについて副大臣はどのようにお考えでしょうか。
(答)その報道の根拠はよく分かりませんけれども、今は概算要求の中で、しっかりと新幹線関連の公共事業関連費を確保していくということが一番の目標であって、今既に行われている既着工の部分の竣工を待つということに対して、しっかりと欠けることなく、前年度並みだと言ったら消極的だと言われるかもしれませんけれども、政策的経費を一律10%削減した中での要求ということが総理からの課題として付け加えられている中での要求になりますので、財源が増えたから減ったから着工の判断がどうこうということではないと私は思っております。

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