報道・広報

OECD造船部会、健全な造船市場の構築に向け議論加速

平成27年11月17日

■平成27年11月9-10日、フランス(パリ)にて、第121回OECD造船部会が開催され、造船の過剰供給能力の適正化に向けた取り組み等について議論しました。
■造船の過剰供給能力の適正化に向け、「政府が積極的にとるべき施策」及び「過度な補助金など政府が実施すべきでない施策」等について次回会合において議論を行うことに合意しました。
■本年10月29日に韓国産業銀行(KDB)及び韓国輸出入銀行(KEXIM)が発表した大宇造船に対する支援策の妥当性が議論の焦点となり、次回会合において集中的に審議することに合意しました。

1.背景
(1)OECD造船部会は、造船市場における公正な競争条件の確立(不当な政府支援の排除等)を目的として活動しており、近年では、造船政策レビューの実施、政府支援施策一覧表の作成等、各国の造船政策の透明性の確保に努めてきました。
(2)世界の造船市場は、リーマンショック前の過大な設備投資及びリーマンショック後の発注の低迷により供給能力過剰となっており、供給能力の適正化を図ることが重要な課題となっています。OECD造船部会では、長期的な需給見通し、過剰供給能力の発生メカニズム等の分析を行うとともに、過剰供給能力の適正化に向けた取り組みについて議論しているところです。
 
2.議論のポイント
 今次会合では、造船市場の過剰供給能力の解消に向けた分析及び政策提言について議論されました。OECD事務局から、造船市場の需給分析に関するレポートの中間報告があり、供給能力については現在の世界の造船業の約1/3の供給能力が過剰であり、新造船需要については2035年頃に2011年の新造船需要の水準に達する見込みとの報告がなされました。我が国から、過剰供給能力の解消のために「政府が積極的にとるべき施策」及び「過度な補助金など政府が実施すべきでない施策」等について具体的に取りまとめるべきとの提案を行い合意されました。今後、造船部会では、過剰供給能力はマーケットにより調整され、それを阻害する政府支援は行うべきではないとの認識のもと検討を行うこととなりました。
 
(1)韓国政府系金融機関による造船所支援について
 本年10月29日に発表のあった大宇造船に対する韓国産業銀行(KDB)・韓国輸出入銀行(KEXIM)による金融支援(約4.2兆ウォン)について、報道情報をベースに、EU及び我が国から韓国政府に対して事実確認及び詳細説明を求めました。今次会合では情報不足により十分に審議できなかったことから、次回会合において韓国が当該支援の詳細を説明し、その上で改めて審議することに合意しました。
 我が国としては、OECD造船部会において当該支援に関する事実関係の把握、妥当性の検証及び造船市場に与える影響等について議論を進めていく予定です。
 
(2)中国との「グリーン成長と産業構造改革」に関する共同プロジェクトについて
 また、OECD事務局から、OECDと中国国務院発展研究センター(DRC)との間で「グリーン成長と産業構造改革」に関する共同プロジェクトを開始したこと、当該プロジェクトでは造船・鉄鋼の過剰供給能力問題を取り扱うこと、2017年又は2018年を目途にとりまとめる方針であることが報告されました。
 
(3)その他
 ドイツの造船政策レビュー、輸出信用ルール策定、低環境負荷船の普及促進等について議論が行われました。
 次回会合(第122回)は2016年6月6日(月)及び7日(火)に開催予定。
 
 
<第121回OECD造船部会 日時・場所・出席国>
日 時:平成27年11月9日ワークショップ、10日 造船部会、場 所:OECD事務局 会議塔
出席国:
(OECD造船部会 参加国)日本、韓国、ノルウェー、オランダ、ドイツ、ポーランド、フィンランド、トルコ、イタリア、ルーマニア、ポルトガル、デンマーク、クロアチア、EU (ギリシャ、スウェーデンは欠席)
(OECD造船部会 非参加国)フィリピン、マレーシア、台湾、ロシア、ブラジル

お問い合わせ先

国土交通省海事局船舶産業課 井田、伊藤
TEL:03-5253-8111 (内線43-653、43-634) 直通 03-5253-8634 FAX:03-5253-1644

Get ADOBE READER

別ウィンドウで開きます

PDF形式のファイルをご覧いただくためには、Adobe Acrobat Readerが必要です。
左のアイコンをクリックしてAdobe Acrobat Readerをダウンロードしてください(無償)。
Acrobat Readerをダウンロードしても、PDFファイルが正常に表示されない場合はこちらをご覧ください。

ページの先頭に戻る