鉄道

貨物鉄道輸送の特性と国内貨物輸送における鉄道の役割

 我が国の貨物鉄道輸送の主な特性として、(1)長距離輸送、(2)大量輸送、(3)低環境負荷 が挙げられます。

(1)長距離輸送
 我が国の貨物鉄道輸送の大部分は日本貨物鉄道株式会社(JR貨物)が担っていますが、同社におけるコンテナの平均輸送距離は900kmを超えており、中長距離帯における輸送を得意としています。

(2)大量輸送
 我が国の貨物鉄道輸送においては、首都圏~福岡間(東海道・山陽線など)における輸送が輸送需要が最も大きくなっていますが、同区間では、現在、コンテナ車を最大で26両連結した列車が運転されています。この列車には、標準タイプのコンテナ(5トン積み)130個を積載することができ、1編成あたり650トンの荷物を一度に輸送することが可能です。
 また、臨海部と内陸との間の石油類の輸送では、1列車で1000キロリットルを超える大量の石油類を一挙に輸送することが可能です。
 このように、貨物鉄道では、一度に大量の物資を輸送することを得意としています。

(3)低環境負荷
 こちらからご覧下さい。


 以下では、これらの特性も踏まえた上で、我が国の国内貨物輸送における貨物鉄道輸送の役割についてご説明します。

貨物鉄道輸送のシェア

貨物鉄道輸送は、かつては国内貨物輸送の主要部分を担っていましたが、道路網整備に伴う自動車(トラック)輸送の著しい伸びとともに、昭和40年代以降、鉄道のシェアは大きく減少することとなりました。近年の国内貨物輸送量における各輸送機関のシェアをみると、輸送重量(トンベース)では、自動車が約9割と圧倒的なシェアを占めるのに対し、鉄道は約1%に過ぎません。

ただし、国内貨物輸送の7割以上は100km未満の短距離輸送であるとされることから、輸送実態を正確に把握するためには、輸送距離をもあわせて考慮する必要があります。輸送距離も勘案した輸送量を「トンキロ」と呼んでいますが、このトンキロベースで見た場合には、自動車が約6割、内航海運が約3割であるのに対し、鉄道も約4%のシェアを維持しています。

また、陸上貨物輸送の距離帯別に自動車と鉄道のシェアを見ると、長距離帯になるほどに鉄道貨物輸送のシェアが高くなっており、長距離輸送の分野においては鉄道も一定の役割を果たしています。

貨物鉄道が運んでいるもの

日本貨物鉄道(JR貨物)の2011年度のコンテナ輸送実績(1,961万トン)の内訳をみると、食料工業品(304万トン)、紙パルプ(263万トン)、宅配便等(204万トン)、農産品・青果物(183万トン)などのように、私達の生活に密着した様々な物資を輸送していることが分かります。

また、車扱の輸送実績(1,022万トン)の約7割は石油類が占めています。特に、臨海部から内陸への石油類の輸送には鉄道が多く使われており、各県における石油類の消費量に対する鉄道の輸送シェアでは、長野県・群馬県では約80%、栃木県でも約70%に達するなど、石油類の安定供給に欠かすことのできない存在となっています。

石油輸送列車画像

石油輸送列車

東日本大震災における石油類の緊急輸送

 こちらでは東日本大震災発生時の貨物鉄道による石油類の緊急輸送についてご紹介いたします。

 東日本大震災発生前、東北地方では東北線を経由して、盛岡・郡山に向けて石油類の輸送が行われていました。しかし、震災の影響により仙台の製油所が操業を停止したことに加え、東北線も不通になったことから、それらの輸送が不可能となる事態が生じることとなりました。

 この事態に際し、関係者の尽力により、不通となった東北線に代えて、通常では貨物列車が運転されていない線区も活用の上で、日本海側を経由した石油類の緊急輸送が行われました。この緊急輸送は、平成23年3月中旬から開始され、東北線が全線で運転を再開する同年4月中旬にかけての約1ヶ月にわたって続けられ、盛岡に向けては1日あたり1,200~1,400キロリットル、郡山に向けては1日あたり1,200キロリットル、期間中の合計では約5万7千キロリットル(20キロリットル積みタンクローリー約2,850台分)の石油類が被災地に向けて輸送され、鉄道の大量輸送特性を発揮することとなりました。

・盛岡行き
 運 転 日:平成23年3月19日~4月20日(盛岡到着日基準)
 輸送実績:36,849キロリットル

・郡山行き
 運 転 日:平成23年3月26日~4月16日(郡山到着日基準)
 輸送実績:19,892キロリットル

・合計
 56,741キロリットル

石油緊急輸送(郡山行き)

郡山に向けた石油類の緊急輸送

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