【都道府県地価調査の説明】
- 都道府県地価調査は、国土利用計画法施行令第9条に基づき、都道府県知事が毎年7月1日における調査地点の正常価格を不動産鑑定士の鑑定評価を求めた上で判定するもので、今回の調査地点数は22,701地点(宅地:22,129地点, 林地572地点)である。
- 都道府県地価調査は、都市計画区域内だけではなく都市計画区域外の土地も調査対象としていることから、調査時点及び対象区域において、毎年1月1日時点で主に都市計画区域内を調査対象とする地価公示と相互に補完関係にある。
【上昇・横ばい・下落の地点数】
今回の都道府県地価調査(平成22年7月1日時点)によると、景気が持ち直してきているものの失業率が高水準にあるなど1年間を通して厳しい状況にあった景気の下で、不動産市況も全体としては停滞が継続したことから、引き続き下落を示す地点が多かった。 なお、前回に比べると、上昇地点及び横ばい地点とも増加した。
【継続地点で見た地価上昇・横ばい・下落の地点数】
地価調査年
価格時点
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平成21年(前回)
H21.7.1
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平成22年(今回)
H22.7.1
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継続地点合計
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22,143
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21,786
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上昇地点
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3
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(0.01%)
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27
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(0.1%)
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横ばい地点
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257
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(1.1%)
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302
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(1.4%)
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下落地点
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21,883
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(98.8%)
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21,457
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(98.5%)
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( )内は、継続地点合計数に占める割合
【1年間の地価変動率】
1年間の平均の地価変動率は、各用途・各圏域で約3%~5%の下落となり、前回(約3%~8%)に比べ、全体的に下落率が縮小した。
特に、三大都市圏では、住宅地、商業地とも下落率が半減した。この理由としては、[1]前回の調査は世界的金融危機後で土地需要が大幅に減少した時点の調査であったが、今回の調査は景気が厳しい状況ながら持ち直しを見せている時点における調査であること、[2]住宅地においては、都市部で利便性、選好性(人気)が高く潜在的に需要の大きい地域で、マンションや戸建住宅地の値頃感の高まりや税制等の住宅関連施策の効果等から住宅地需要が回復した地域が現れたこと、[3]商業地においては、数年前に活発な不動産投資が行われた中心部において世界的金融危機以後オフィス空室率の上昇、賃料下落が続く厳しい市況に大きな変化は見られないものの、大都市の一部地域において金融環境の改善もあって収益用不動産の取得の動きが見られること等が挙げられる。
一方、地方圏では、人口減少や中心市街地の衰退といった構造的な要因もあり、住宅地、商業地とも前回とほぼ同じ下落率を示した。
【対前年平均変動率】
地価調査年
変動率期間
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平成21年(前回)
H20.7.1~H21.7.1
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平成22年(今回)
H21.7.1~H22.7.1
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住宅地
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全国
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△4.0%
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△3.4%
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三大都市圏
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△5.6%
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△2.9%
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地方圏
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△3.4%
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△3.6%
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商業地
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全国
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△5.9%
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△4.6%
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三大都市圏
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△8.2%
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△4.2%
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地方圏
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△4.9%
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△4.8%
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全用途平均
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全国
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△4.4%
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△3.7%
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三大都市圏
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△6.1%
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△3.2%
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地方圏
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△3.8%
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△3.9%
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【半年毎の地価変動率】
地価公示との共通調査地点で半年毎の地価動向を見ると、三大都市圏では、世界的金融危機の発生した時期を含む平成20年後期を底に下落率が縮小する傾向を示しており、特に住宅地では、平成22年前期の下落率が1%未満に縮小した。 一方、地方圏では、平成22年前期になってから下落率が縮小の動きを見せている。
※ 地価公示との共通調査地点は、価格牽連(関連)性があると認められる基準地(調査地点)について、住宅地では10~15地点に1地点、商業地では5~10地点に1地点設置されており、共通調査地点の1地点の地価動向は広い地域の地価の動向を示している。
【半年毎の地価変動率】
前期:各年1.1~7.1 後期:各年7.1~翌年1.1
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三大都市圏 |
地方圏 |
平成21年調査(前回) |
平成22年調査(今回) |
平成21年調査(前回) |
平成22年調査(今回) |
H20後期 |
H21前期 |
H21後期 |
H22前期 |
H20後期 |
H21前期 |
H21後期 |
H22前期 |
住宅地 |
△3.3% |
△2.9% |
△2.0% |
△0.9% |
△1.8% |
△1.9% |
△2.1% |
△1.7% |
商業地 |
△5.1% |
△4.4% |
△3.1% |
△1.6% |
△2.9% |
△2.9% |
△2.9% |
△2.4% |
平成20年、21年及び22年地価調査を基準として、その間の地価公示(毎年1.1時点)との共通地点で分析 (三大都市圏住宅地:21年調査649地点・22年調査640地点 / 三大都市圏商業地:21年調査242地点・22年調査245地点 / 地方圏住宅地:21年調査518地点・22年調査514地点 / 地方圏商業地:21年調査233地点・22年調査237地点)
【上昇又は横ばいを示した地点の例】
各種の事業の取り組みによる利便性や収益性の向上等を反映して上昇又は横ばいを示す特徴的な地点も複数見られた(例えば、名古屋市緑区〔地下鉄延伸予定、土地区画整理事業等(住宅地・商業地)〕、川崎市中原区〔再開発事業、横須賀線新駅開業等(商業地)〕、熊本市〔熊本駅周辺整備等(住宅地・商業地)〕
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