住宅

既存建築ストックの長寿命化に向けた規定の合理化

最終更新日:令和5年3月16日

建築物基準法改正(【令和4年6月17日公布】)に伴う、既存建築ストックの長寿命化に向けた規定の合理化について説明しています。

住宅の採光規定の見直し

施行日:公布の日から1年以内
 現行では、住宅における採光に有効な部分の面積は、その居室の床面積の1/7以上にしなければならないこととされていますが、採光規定が適用されない事務所やホテルなどから住宅に用途変更するニーズがある一方、必要な採光面積を確保するための工事が負担となり、断念するケースが発生しています。
 そこで、住宅の居室に必要な採光に有効な開口部面積を合理化し、原則1/7以上としつつ、一定条件の基で1/10以上まで必要な開口部の大きさを緩和することを可能とします。
 一定条件については現在検討を進めていますが、一定の照明設備を設置することを要件とする方向です。
 
 
住宅の採光規定の見直しについて、現行と改正後を整理した図です。
住宅の採光規定の見直しにおける、合理化のイメージ図です。

一団地の総合的設計制度等の対象行為の拡充

施行日:公布の日から1年以内
 特定行政庁が安全上、防火上及び衛生上支障がないと認める場合に、一団の土地の区域を一の敷地とみなして集団規定等を適用する「一団地の総合的設計制度・連担建築物設計制度」は、一又は二以上の建築物の建築(新築、増築、改築、移転)が対象ですが、現行制度では、大規模修繕等は対象外です。
 このため、無接道の敷地を含む一団の土地において、既存建築物の修繕等により省エネ性能の向上を図ろうとしても、制度を利用できません。
 そこで、一団地の総合的設計制度・連担建築物設計制度における対象行為を拡充し、現行の建築(新築、増築、改築、移転)に加えて、大規模の修繕・大規模の模様替を追加することとしました。
一団地の総合的設計制度等の対象行為の拡充 について、現行と改正後を整理した図です。
大規模修繕等において安全上・防火上または衛生上支障がない例を整理した図です。

既存不適格建築物における増築時等における現行基準の遡及適用の合理化

施行日:公布の日から2年以内
 現行では、既存不適格建築物について、増改築、大規模の修繕・大規模の模様替、用途変更を行う場合は、原則として建築物全体を現行基準に適合させることが必要です(遡及適用)。
 この場合、増改築等部分とは空間的・性能的に関係のない部分を含めて防火・避難規定、集団規定への適合を求められ、建築物の所有者等にとって時間的・費用的な負担が大きいとの指摘があるため、今般の改正により、既存不適格建築物について、安全性の確保等を前提として、増改築時等における防火・避難規定、集団規定(接道義務、道路内建築制限)の遡及適用の合理化を図ることとします。
 下記4点が具体的な改正内容です。
 ・防火規定、防火区画規定等について、建築物の長寿命化・省エネ化等に伴う一定の改修工事を遡及適用対象外とします。
 ・接道義務、道路内建築制限について、建築物の長寿命化・省エネ化等に伴う一定の改修工事を遡及適用対象外とします。
 ・防火規定、防火区画規定について、分棟的に区画された建築物の一の分棟のみに増築等する場合は、当該分棟部分に限って遡及適用します。
 ・廊下等の避難関係規定、内装制限、建築材料品質規定について、増築等をする部分に限って遡及適用します。
 
既存不適格建築物における増築時等における現行基準の遡及適用の合理化 について、現行と改正後を整理した図です。

一定範囲内の増築等において遡及適用しない規定・範囲の追加

施行日:公布の日から2年以内
 現行では、集団規定のうち、建築物の高さ制限等の形態規制については、大規模修繕等を伴う省エネ改修を行う場合に、当該工事の内容によらず、既存不適格となっている規定が遡及適用されません。
 一方、接道義務や道路内建築制限の既存不適格となっている建築物については、大規模修繕等を伴う省エネ改修を行う場合であっても現行規定が適用されてしまうため、省エネ改修自体を断念せざるを得ません。
 そこで、今般の改正により、既存不適格建築物について、安全性等の確保を前提に接道義務・道路内建築制限の遡及適用を合理化し、「市街地環境への影響が増大しないと認められる大規模の修繕・大規模の模様替を行う場合」※は、現行基準を適用しません。※政令で規定予定
接道義務・道路内建築制限の遡及適用の合理化について、現行と改正後を整理した図です。
大規模修繕等に際して接道義務等の既存不適格が認められる例をあらわした図です。

お問い合わせ先建築

国土交通省住宅局参事官付(建築企画担当)・建築指導課・市街地建築課・住宅金融室 電話 :03-5253-8111(内線【省エネ関係】39-437、【4号特例関係】39-545、【構造関係】39-537、【防火関係】39-546、39-529、【建築士法関係】39-539、【集団規定関係】39-634、39-635、【住宅金融支援機構関係】39-713)

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