サステナブルな旅アワード
最終更新日:2025年1月27日
サステナブルな旅アワード概要
持続可能な観光を浸透させる目的として創設されたアワードです。海外ではサステナブル志向が高まっており、特に欧州においては持続可能な観光の取組を行っているかどうかが旅行者のプラン選択の基準になるほどです。
日本でも「サステナブルな旅アワード」をきっかけに持続可能な旅行商品が増加し、旅行者にとって魅力的な旅行の選択肢が広がることを目指します。
2024年に実施の「第2回サステナブルな旅アワード」については、以下特設ページよりご覧ください。
日本でも「サステナブルな旅アワード」をきっかけに持続可能な旅行商品が増加し、旅行者にとって魅力的な旅行の選択肢が広がることを目指します。
2024年に実施の「第2回サステナブルな旅アワード」については、以下特設ページよりご覧ください。
2023年表彰式レポート
2023年10月27日に大阪で行われた「ツーリズムEXPOジャパン2023(大阪・関西)」にて大賞・準大賞・特別賞を受賞した旅行業者の表彰式を開催しました。
2023年受賞者発表
日本国内の旅行業者から寄せられたサステナブルな旅行商品について、持続可能な観光に対して様々な視点からの知見を持つ有識者が審査を行い、優秀な商品を選定しました。 大賞1点、準大賞2点、特別賞4点を紹介します。
大賞
特別な許可を得て草原体験!
噴煙を上げる阿蘇中岳火口と「千年の草原」E-MTBライド
~「三方良し」の循環モデルの創出~
事業者名:阿蘇温泉観光旅館協同組合
阿蘇カルデラに広がる日本一の広さを誇る草原は、千年以上の年月をかけて地元の方々が守り抜いてきたことから「千年の草原」と呼ばれており、普段は立ち入ることができません。そんな特別な場所を、クリーンなE-MTB(電動自転車)でサイクリング。阿蘇を知り尽くしたベテランガイド集団「あそbe隊」が特別な許可を得て、「千年の草原」の絶景ポイントをご案内します。阿蘇に何度も来られたことのある方も、当ツアーに参加すると『こんな阿蘇の絶景は初めて!』と驚きの声が上がります。
【審査委員長による「大賞」への講評】
「大賞」を獲得した阿蘇温泉観光旅館協同組合の「特別な許可を得て草原体験! 噴煙を上げる阿蘇中岳火口と『千年の草原』E-MTBライド」が特に優れている点は、ツアー実施のための仕組みが地域社会のなかに組み込まれていることです。牧野(草原)は阿蘇の大きな魅力ですが、一般人の立入は禁止です。人口減や産業構造の変化等から牧野は減少を続けています。そこで、牧野を観光的に活用することで社会課題を解決しようというのがこの企画です。特別に立ち入りが許される牧野ガイド認定の仕組み、活動ガイドラインの策定、牧野保全料をツアー価格に組み込むことでの安定した資金還流の仕組み等が次々と実現しています。旅行者は人数制限された牧野をゆっくりと楽しみ、地元は新しい収入源の確保につながり、牧野の環境も保全されるという「三方良し」の循環モデルの創出です。
北海道大学 観光学高等研究センター 客員教授
審査委員長 小林 英俊
準大賞
Connecting to Yatsugatake
~旅行者と地域をつなぐサステナブルな意識~
事業者名:Tricolage株式会社
八ヶ岳では、太古より自然環境と人間社会が共栄共存してきました。この土地へ訪れることは、その生命の循環の一部となること。あなたと八ヶ岳が生み出すシナジーこそ、サステナブルステイの真髄であることを体感できます。また、乗馬体験や循環型農業体験などの特別なアクティビティも充実しています。
【審査委員長による「準大賞」への講評】
サステナブルツーリズム分野において日本で初めて国際認証を取得した旅行会社がサステナブルな意識を軸に旅行者と地域をつなぐ企画です。旅行スタート時に旅行者には「責任ある旅行者ガイドライン」誓約書へのサイン(任意)をお願いし、終了時に宿泊費の一部を3つの寄付先候補(選択肢)から選んでもらいます。宿泊も国際認証を受けた宿泊施設で、趣旨に賛同する地域住民が体験プログラムに参画しています。
北海道大学 観光学高等研究センター 客員教授
審査委員長 小林 英俊
準大賞
漁村集落の小さなお宿交流と漁民が守りつなぐ海山体験
~サステナビリティをテーマに漁村の震災復興~
事業者名:株式会社かまいしDMC
町内住民が協力して収穫する新鮮な海の幸と地元の郷土料理で地産地消をかなえ、サステナブルかつ高質なおもてなしと、あたたかな交流を実現。自然や文化の「活用と保全」を両立させる観光体験コンテンツをお楽しみいただく1泊2日の内容です。
【審査委員長による「準大賞」への講評】
サステナビリティをテーマに地域が一体感を持って震災からの新しい魅力づくりに取り組んでいます。元保育所をリノベーションして地域の皆が見守る地域型民宿としてスタートさせ、ここを拠点に地元民が地域の自然・文化をガイドする体験プログラムを開発しています。漁村のサステナブルかつ高質なおもてなしが滞在者とのあたたかな交流を生み出し、アクセスの不便さを凌ぐ魅力となっています。
北海道大学 観光学高等研究センター 客員教授
審査委員長 小林 英俊
特別賞

台東区の歴史・文化・魅力を再発見!
“江戸の匠・職人”を撮る ~第 3 弾~
~旅行業者のノウハウが生む匠の新たな輝き~
事業者名:クラブツーリズム株式会社
台東区の伝統文化や職人の技に触れられる「職人の技を撮影」するツアーは、2021年度からスタートし、現在3作目を開催中。普通では入れない工房で「職人」の技を撮ることができるという、他に類を見ないツアーは、特別な体験ができるとして評判。職人の方々との交流はもとより、歴史・文化・芸能・暮らしにおいて江戸の面影を色濃く残す台東区の「多彩な魅力」を楽しむことができます。
【審査委員長による「特別賞」への講評】
地域に密着し自社の持つノウハウや強みを活用して地域に残る魅力的な匠・職人の文化を再編集しています。多くの旅行者から注目されることで自信や誇りが生まれ、後継者探しにもつながると期待されています。旅行会社の新しい役割を考える好事例です。
北海道大学 観光学高等研究センター 客員教授
審査委員長 小林 英俊
特別賞

日本遺産・箱根八里で古の旅路の追体験
~地元民の語りが深める箱根の歴史と文化~
事業者名:株式会社やまぼうし
箱根八里の歴史を紐解きながら、多くの旅人たちが疲れを癒したこの地の魅力を再発見することができます。単なる歴史探訪ツアーではなく、深い知識とネットワークを持つ地元ガイドの案内で箱根のキーパーソンを訪ねながら、伝統工芸品に触れる体験をする他、宿場町である箱根が長い年月にわたり大切に培ってきた地域の歴史・文化・自然を通じて箱根の原点を感じることができる内容です。
【審査委員長による「特別賞」への講評】
自社の人的ネットワークを活用して現地の人との交流を図り、サステナビリティの観点から箱根の歴史・文化を深く理解する企画です。この会社はガイド研修を手伝うなど箱根観光全体のサステナビリティレベルを上げるためにも貢献しています。
北海道大学 観光学高等研究センター 客員教授
審査委員長 小林 英俊
特別賞

2泊3日十日町棚田トレッキング
~棚田がつなぐ雪国里山の暮らし~
事業者名:株式会社 HOME HOME NIIGATA
ブナ林トレッキング・古民家宿泊・伝統料理作りなどが体験できるツアーです。ツアー開催を通して棚田の耕作者の収入増加・地域内の雇用創出・里山の環境保全、地域コミュニティの維持と持続可能な観光の実現を目指しており、ツアー収益の一部は地域の棚田基金や集落へ寄付しています。
【審査委員長による「特別賞」への講評】
棚田の文化的背景を丁寧に伝えることでインバウンド客にもその価値理解を促しています。棚田をアイコンに雪国の里山の暮しを歩いて理解してもらうことで、地域コミュニティの維持と持続可能な観光の実現を目指しています。
北海道大学 観光学高等研究センター 客員教授
審査委員長 小林 英俊
特別賞

気ままなバス旅「レールマウンテンバイクGattan Go!!」プラン
~地域の足を守る新たな需要発掘~
事業者名:濃飛乗合自動車株式会社
2006年11月末に廃線となった旧神岡鉄道の線路の上をマウンテンバイクで走る新感覚の乗り物です。ガッタンゴットン、まるで列車に乗っているようなレールの継ぎ目と振動を感じながら奥飛騨の景観をお楽しみください。路線バスとタクシーを組合せたプランが人気です!
【審査委員長による「特別賞」への講評】
廃線を利用したレールマウンテンバイクは景色の良い山間部を楽しめて人気ですが、自家用車利用以外には足の便が無い。路線バスとタクシーを組合せた個人向け商品が新たな需要を掘り起こし、バス路線の維持や宿泊客増にも貢献しています。
北海道大学 観光学高等研究センター 客員教授
審査委員長 小林 英俊
スペシャルインタビュー
旅の経験豊富な文筆家・塩谷 舞さんとフードエッセイスト・平野紗季子さんにご自身の体験を踏まえた“新しい旅のカタチ”について伺いました。持続可能な観光の実現につながるヒントがありそうです!
審査委員
審査委員長
北海道大学 観光学高等研究センター 客員教授
審査委員
名城大学外国語学部 名誉教授
GSTC公認トレーナー
審査委員
一般社団法人JARTA 代表理事
審査委員
日本コンベンションサービス株式会社
営業・マーケティング戦略部 グローバル・ゴール推進リーダー
審査委員
NPO法人大雪山自然学校 代表理事
審査委員
株式会社楽帆 代表取締役
審査委員
「地球の歩き方」編集長
北海道大学 観光学高等研究センター 客員教授
小林 英俊
審査委員
名城大学外国語学部 名誉教授
GSTC公認トレーナー
二神 真美
審査委員
一般社団法人JARTA 代表理事
高山 傑
審査委員
日本コンベンションサービス株式会社
営業・マーケティング戦略部 グローバル・ゴール推進リーダー
松原 努
審査委員
NPO法人大雪山自然学校 代表理事
荒井 一洋
審査委員
株式会社楽帆 代表取締役
北村 尚武
審査委員
「地球の歩き方」編集長
宮田 崇
審査委員総評
多様な地域貢献
応募案件のほぼ全てが「地域」との関わりを重視しています。内容的には多くが収益の一部を地域の自然・文化の保全に使うというものですが、伝統工芸の職人にフォーカスして関心を集め後継者発掘につなげようというもの、旅行者の利用増を図り公共交通を守ろうというものなど多岐に亘っています。観光の力を借りて地域の役に立ちたいという強い意志が伝わってきます。地域の観光的素材をただ組み合わせるのではなく、旅行会社のノウハウを活かして素材を再編集し伝えたいストーリーを表現することが重要です。
阿蘇の循環モデル
大賞を獲得した阿蘇温泉観光旅館協同組合の「特別な許可を得て草原体験! 噴煙を上げる阿蘇中岳火口と『千年の草原』E-MTBライド」が特に優れている点は、ツアー実施のための仕組みが地域社会のなかに組み込まれていることです。収益が出れば保全のために寄付をするといった企業のCSR的活動ではなく、サステナブルな社会のために何ができるかを考えた取組みです。旅行者、地域コミュニティ、牧野環境の「三方良し」の循環モデルを創出しています。
ゴールデンルート外への誘客
受賞ツアーへの参加者の大半が海外からの旅行者です。国籍も10か国以上と広く、強い訴求力も持っています。特別賞の「十日町棚田トレッキング」も不便な場所にも関わらず既に20%が海外旅行者です。ゴールデンルート以外への誘客は重要な観光政策ですが、これらの旅行商品をみると地域独自の魅力を活かしたサステナブルな観光がその有効な手段になることは明らかです。
例え小さな取組でもサステナブルな旅として束ねて共同で発信すれば大きな力になります。インバウンドの新しい流れにもなるのです。「サステナブルな旅AWARD」への応募旅行商品が新しい観光創造の芽吹きを感じさせます。
北海道大学 観光学高等研究センター 客員教授
審査委員長 小林 英俊