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第2回高級事務レベル会合~概要

1.「第2回アジア太平洋地域インフラ担当大臣会合」の議題に関する草案

 「第1回アジア太平洋地域インフラ担当大臣会合」に参加した閣僚は、閣僚レベルの会議を引き続き行うことに合意したのに加え、インフラ整備や住宅供給・都市開発にかかわる問題について国際的な協力を進めるために、高級レベル会合を行うことも決定した。
   以下の点を考慮のうえ第1回高級事務レベル会合で討議された結果、今後の大臣会合では主に以下の議題について討議することが提案された。

   1) インフラ整備に向けた官民パートナーシップの推進
   2) インフラ整備資金の確保
   3) インフラ整備と環境とのバランスの維持
   4) 地球的及び地域的環境問題への取り組み
   5) 水不足問題への全体的あるいは部分的な対策の決定
   6) 低費用の下水処理システム
   7) 低費用の公共住宅の供給
   8) 交通渋滞問題対策の実施
   9) 自然災害に対する防災の強化(都市地域における地震対策、大規模災害の際の地域的あるいは国際的協力など)
  10)交通機関の標準化の推進(資源の有効利用、国際的なインフラ整備)
  11)インフラ整備に関する国際データベースの作成
  12)建設業界における相互協力の推進
  13)研究プロジェクトや人材面での交流の促進

 以上の点に基づき、また今回の高級事務レベル会合の準備段階で各国の代表者から出された提案も考慮のうえ、事務局は以下の事項について「第2回アジア太平洋地域インフラ担当大臣会合」で討議することを今回の会合で提案している。


2.会合では事務局の提案した以上の議題に関して討議が行われ、以下の結論が出された。

2.1 インフラ整備のための官民のパートナーシップ

 全ての出席者が、この問題を最優先事項として支援・強化することが必要である点で合意した。この点に留意し、技術面及び財政面から民間部門はどのようなインフラ・プロジェクトを実施できるのかを確認し、民間部門にインフラ整備に関してより大きな役割を与えられるような機構を築かねばならない。
 その他にもインフラ・プロジェクトの環境的な持続可能性、リスク削減のための機構の構築、多国間の投資組織による貢献などの事項を検討し、関係各国の現行の法的枠組みに関して経験や情報の交換を進めることが是非とも必要である。
 最終的に会合の出席者は、以下の点について閣僚に検討するよう提案することで合意した。

  • 公共インフラ・プロジェクトへの民間部門の参加を促進する政策を決定する。
  • 現在及び将来のインフラ・プロジェクト、及びアジア太平洋地域諸国の法的枠組みに関するデータベースを継続的に更新する。地域のインフラ建設業者に関する情報も含めたデータベースを創設する。
  • 安全を強化しインフラ・プロジェクトに関わるリスクの管理、削減するための機構に関して、民間の参加を支援するために研究を進める。
2.2 交通管理

 会合出席者は、交通問題の解決に必要とされる管理手段は既に確認されているという点で合意した。しかしながら、交通インフラには適切なレベルの投資が必要であり、管理手段の適用方法についての研究を進めなければならない。
 そのためにはまず、各国の状況に応じて必要とされるシステムを定義しなければならない。交通インフラへの投資は、各国の現行法規、国民の交通機関の利用状況や慣習、及び必要とされる交通手段の実行可能性に即して行うべきである。
 交通インフラの有効活用には、以下の2つが基本的に必要とされる。すなわち、各国による法的手段の適用と、これを支える技術力の活用である。
 そこで出席者は、以下の点について閣僚に検討するよう提案することで合意した。
  • 都市交通管理に関するセミナーへの加盟国の参加を奨励し、具体的なテーマに関する会合を行う。
  • 都市交通インフラの管理や整備に関わる問題を解決することを目的として、情報及び経験の交換促進のための機構を整備する。
  • インフラの利用に関わる管理手段や、利用者へのサービスレベルを改善するために現在何が必要であるかについて、分析を行う。
  • 各都市の交通管理当局が相互に参加できるような組織的機構について分析する。
  • アジア太平洋地域各国の経験を活用することを目的として、政府職員のための奨学制度を創設する。
2.3 住宅供給と都市開発

 会合の参加者は、主に検討すべき事項は都市開発問題など、住宅不足に関わる問題であるという点で合意した。それと同時に、利用可能な土地が不足していること、及びそれが社会や経済に影響を及ぼしている点が特に強調された。従って、各国の状況を考慮しつつ、土地計画に特別な配慮をすることが必要である。更に住宅建設に関する規制について熟知することによって、これらの規制を標準化する必要がある点も指摘された。
 そこで出席者は、以下の点について閣僚に検討するよう提案することを決定した。
  • 都市及び土地の管理において重要であることから、都市計画及び地域計画を促進・強化する。
  • 住宅供給や都市開発に関わる問題(特に公共住宅の供給問題)を解決するためには、経験と情報の交換が必要である点を強調する。
  • アジア太平洋地域メンバー諸国の建設会社に関する情報、及び建築規制の標準化に関する情報の交換を参加国が協力しやすい環境づくりを目的として進める。
2.4 国際インフラネットワークと環境

 国際的に交通インフラの必要性が高まっている中で会合の出席者は、アジア太平洋地域の乗客及び貨物の輸送のためのインフラネットワークの整備を進めることが必要である点で合意した。
 そこで出席者は、以下の点について検討するよう閣僚に提案することを決定した。
  • 各国の港湾・空港と国際道路のネットワークのインフラの特性や現状について、地域的なアクセス、ターミナル拠点や地域の運輸ネットワークも含めて確認する。
  • 各インフラ施設の特徴、地理的立地、収容能力、成果、サービスレベル、アクセス面などを含めたデータベースを創設する。
  • 乗客及び貨物の輸送に関わる要件を満たすアジア太平洋地域インフラを整備するため、船舶・航空機輸送需要の現状を確認する。
  • 自然災害の防止・対策システム、被害を最小限度に押さえる事に関する国際情報データベースをアジア太平洋地域における既存団体と統合し構築する。
  • 経験や技術を交換するために、参加各国間で協力協定を締結する。
2.5 情報・協力のためのシステム

 会合の出席者は、加盟国/地区におけるインフラ整備プロジェクトの成功例について経験や知識を交換できることが最も重要であると結論づけた。更に、開発の遅れている諸国や地区のニーズ(協力ニーズ)に関する情報を交換し、開発の進んだ諸国がその経験や資源を提供(協力のオファー)するための、協力ネットワーク創設の可能性についても討議された。
 しかしながら、協力ネットワーク創設に関する問題は、検討事項として閣僚に提案する前に協力ネットワークの構築の可能性や実行の詳細をもっと細かく分析する必要がある。またアジア太平洋地域に関するその他の会議や催しで取り扱われた問題を重複して扱うことは避けねばならず、閣僚がアジア太平洋地域インフラ担当大臣会合で討議する事項は、補足的性質を持つ内容としなければならない。
 それでも出席者は、日本が作成した加盟諸国/地区に関するインフラ・データベースの支持を決定した。また以下の情報を付加することによってこのデータベースの範囲を拡大してはどうかとの意見も出された。
  • 港湾及び空港
  • 都市及び都市圏
  • 各国の技術協力ニーズ
  • 各国の研究機関のリスト
  • 各国の最重要プロジェクトのリスト
  • 民間部門向けの法的枠組み
  • 自然災害に対する防災及び対策システム
最終的に、以下の点について次回は検討するよう閣僚に提案することが決定された。
  • 可能であれば、既存のデータベースを利用して上述の項目を付加する。
  • 加盟諸国/地区の技術協力ニーズを含めて、データベース拡大を行うために必要とされる情報の収集・伝達の調整は、チリが行う。
  • このデータベースは、日本がインターネットを介して全ての加盟国/地区に配信する。加盟諸国/地区は、このデータベースに含める必要のある情報をそれぞれに用意し、提出する。
  • 加盟諸国/地区は、こうした情報の定期的更新を行う。

3.「第3回アジア太平洋地域インフラ担当大臣会合」の開催

 6月に行われる「第2回アジア太平洋地域インフラ担当大臣会合」の準備に向けた今回の高級事務レベル会合の出席者は、当大臣会合の議題を上記2の内容に加え、上記のサマリーの第一セクション提出された三つの全般的な項目とすることで合意している。
 これに関連して事務局では、議題に関して提供したい情報があれば提供するよう各出席者に求めた。また会議の最終プログラムの作成を進めるために、できるだけ早くこのような情報を提供できるよう要請した。


4.公開セミナー:アジア太平洋/南アメリカの地域統合

 これら2地域のインフラの現状とそれが相互の地域的統合に及ぼす影響について検討するために開催国は、南アメリカとアジア太平洋地域のインフラ担当閣僚に対し、公開セミナーへの参加を招請している。


5.今後に向けて検討すべき内容
  • 加盟諸国/地区の共通の関心事についての討議とインフラ開発に関する解決法を、今後行われる公式なフォーラムの会議において、より積極的に展開する。
  • アジア太平洋地域インフラ担当大臣会合は、その専門性や範囲から、類似の問題を扱う地域のその他の会議や催しの存在を認識し、リード、統合、補足するためにある。出席者は、この点も閣僚の検討事項として提案することで合意した。
  • 経験や情報を交換できるよう、インフラ整備に向けた協力ルートを築く必要がある。

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