海事

技術開発への支援

 海事局では、内航事業者、造船・舶用事業者等に対して技術開発等に向けた取組を支援しております。
 現在実施している事業を含め、これまでに実施してきた主な技術開発支援事業(2016年度~)についてご紹介いたします。

先進安全船舶技術研究開発支援事業(i-Shipping補助金:2016年度~2020年度)

 海事業界において、海上ブロードバンド通信の進展を背景に、船舶・舶用機器のインターネット化(IoT)やビッグデータを活用した、「安全性の高い船舶」「省エネルギー船舶」「経済的な船舶」等の期待が高まり、世界的な開発競争が行われています。
 日本の海事産業として、いち早く船舶・舶用機器のIoT化の実現をし、省エネ技術力に続く国際競争における差別化の軸として確立することが必要不可欠です。
 国土交通省では、2016年度より船陸間又は船船間通信を活用した船舶、船舶用機関及び船舶用品(これらに係るソフトウェアを含む。)等の開発(実証による検討のデータ取得も含む。)に取り組む事業者に対し、経費の一部を補助(※)することにより、研究開発に海運の安全性向上に資する研究開発を促進し、我が国の海事産業の活性化及び国際的な競争力の強化を目指しています。
 ※ 本事業は2020年度にて終了いたしました。

海洋資源開発関連技術高度化研究開発事業(j-Ocean補助金:2018年度~2022年度)

 海事生産性革命(j-Ocean)の深化に向け、海洋資源開発分野の船舶向けのパッケージ化製品(※1)や低コスト化製品の実現を目指す研究開発事業を支援(※2)いたしました。
 支援した事業は、いずれもエンジニアリング等の付加価値の高いビジネスにつながる技術の獲得を目指すものであり、海洋開発市場への進出のみならず、付加価値向上による新たなビジネスモデルの確立につながることが期待されます。
 (※1)複数の機器をまとめることにより、省スペース化やコスト低減が図られた製品
 (※2)本事業は2022年度にて終了いたしました。

海事産業集約連携促進技術開発支援事業(トップランナー補助金:2021年度~2023年度)

 近年、欧州では、造船業はクルーズ船や特殊船等の高付加価値型造船業として生き残り、一部は世界的に存在感を有している一方、システムインテグレータと呼ばれる複雑化、高度化する船舶システム全体をインテグレーション(システムが所要の機能を発揮するように全体を設計し、設備・機器等を統合すること)する企業が、企業買収を重ねる中で台頭しつつあります。
 今後、船舶の付加価値がそのようなシステムインテグレータに集中していく可能性も想定されており、個々の技術、機器では強い競争力を有する我が国海事産業としては、このような産業構造の変化や、ソフトウェア、データ解析技術等が重要性を増す技術潮流に適確に対応して自己変革し、新たな付加価値を取り込んでいくことが、今後のさらなる成長のために急務の課題となります。
 こうした背景において、新型コロナウイルス感染症対策及びアフターコロナ時代を見据え、デジタルトランスフォーメーション(DX)や2050年カーボンニュートラルの実現といった海事分野における喫緊の課題を解決するためには、船舶の安全性向上、船員の労働負担軽減、船内労働環境の密の低減、温暖化ガス(GHG)排出削減等の効果が期待される自動運航船、ゼロエミッション船等の次世代技術の開発を支援することで、世界でも強い競争力を有する日本版システムインテグレータを育成する必要があると考えております。
 本支援事業は、上記のような技術開発案件について、技術開発に要する経費を補助(※)することにより、当該技術開発の促進及び技術のトップランナーを中核としたシステムインテグレータの育成を図り、もって造船・舶用等の集約・連携を加速することで、我が国海事産業の構造転換を進め、技術力の強化と船舶輸送能力の確保を図ることを目的としています。
 ※ 本事業は2023年度にて終了いたしました。

内航変革促進技術開発支援事業(NX補助金:2024年度~)

 内航海運は、国内貨物輸送全体の約4割、産業基礎物資輸送の約8割を担う、我が国の国民生活や経済活動を支える基幹輸送インフラであり、他の輸送モードと比べても優れた経済性や環境性を有しています。
 また、陸上では物流の停滞が懸念される2024年問題に直面しており、内航海運においては物流GXや物流DXの推進による物流の効率化への貢献が期待されています。加えて、再生可能エネルギーの分野では、浮体式洋上風力発電の導入拡大に向けて必要となる作業船等への参画が期待されています。
 一方で、内航海運事業者の99.7%は中小企業で事業基盤が脆弱であることや船員の高齢化といった内航の諸課題が山積しています。
 こうした背景を踏まえ、国土交通省では内航事業者が造船・舶用事業者等と連携し、内航の諸課題を解決し、且つ新たな社会ニーズに貢献するための技術開発・実証事業を支援しています(内航変革促進技術開発支援事業(NX補助金(※)))。
 また、本事業によって開発・実証された新技術を広く内航分野に横展開することにより、内航海運の生産性向上や船員の働き方改革等の推進を図るとともに、今後の社会変容に対応できる強い内航への変革を促進します。
 (※)NX補助金:NXとは、内航変革を表しており、内航の「N」、変革を表すTransformationの頭文字である「X」で構成する造語です。

お問い合わせ先

国土交通省海事局海洋・環境政策課技術企画室
電話 :03-5253-8111(内線43951、43953)
直通 :03-5253-8614

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