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記者発表

新潟豪雨災害で起きた刈谷田川(かりやたがわ)沿川の
被害発生の仕組みをコンピューターで詳細に再現


〜堤防決壊時の洪水氾濫の一連の現象をコンピューターで忠実に再現。
家屋流出や歩行不可能域の拡大など高精度な計算に初めて成功。
住民の方々の効果的な避難対策確立への大きな一歩。〜

平成16年12月24日
河川局 河川計画課


国土交通省は、今年7月13日の信濃川水系刈谷田川(かりやたがわ)流域に起こった豪雨災害について,一連の現象を計算で忠実に再現し,河川の上下流で実際に起きた洪水氾濫の様子を様々な角度からわかりやすく把握することに成功し動画集として取りまとめました.
住居地域に流れ込む氾濫流を家屋一軒一軒のレベルまで考慮できるようにするため, FDS法(*)とレーザープロファイラー技術(*)を活用し,氾濫流による家屋倒壊や道路を川のように流れる水流、歩行不可能範囲(避難の困難な範囲)の拡大状況を明らかにし、どのような速さで浸水が広がるか、どのような地域でいつ避難ができるか、平地といえども堤防に近い場所では堤防決壊が人命を脅かす可能性があるなど,氾濫流の詳細な現象を計算であらかじめ知ることへの道を開きました.
この新技術は,堤防決壊による市街地の氾濫を具体的にイメージできることから、今後、防災関係者等への研修や住民の方々への説明等に積極的に活用するほか、主要な河川での同様なシミュレーションを実施し災害への備えとします。
FDS(Flux Difference Splitting )法について
 FDS法は、通常の手法と異なり、水深や流速が急激に変化する『波』を扱う手法であるため、大量に流れる河道の洪水が破堤後一気に堤内地に氾濫するような激しい流れを精度良く再現することが可能となる。

レーザープロファイラー技術
航空機からレーザーを照射し地表面を測量する技術。広範囲の測量を精度良く短時間に行い、電子データとして処理できる。高さ方向の誤差は一般に15cm程度と言われている。
資料1:堤防の決壊地点近傍で氾濫水が流れ家屋が倒壊する様子(詳細計算結果の3次元表示)(PDFファイル 782KB)
  • 手前の青色は刈谷田川を、茶色は家屋と地面を示す。家屋の分布,土地の標高は、レーザープロファイラーにより得られた3次元データより作成。
  • 0.05秒間隔で氾濫流の流れを計算。
  • 計算の格子間隔は2m。
  • 堤防の決壊地点から溢れた氾濫流が数分で200m〜300mの範囲に拡がり、地域を濁流に飲み込んでいる。
  • 堤防の決壊地点近傍では水深は3m以上となる。また数百m離れた地点でも約1時間後には1m近い水深になっている。
  • 今回のシミュレーションでは16棟の家屋倒壊が約50分で生じている。
資料2:氾濫水の拡大による浸水深の時間変化(2次元での広範囲の計算)(PDFファイル 695KB)
  • 通常の地図に国土地理院が発行している50mメッシュの高さデータを組み込み、地形を作成。
  • 堤防の決壊地点から溢れた氾濫流が、北陸自動車道により阻害されている。
  • 氾濫流は約8kmも流下し、10時間経過しても浸水域は大きく拡がったままである。
資料3:氾濫水の拡大による歩行不可能な範囲の時間変化(PDFファイル 1.37MB)
  • 浸水地域のうち、歩行可能範囲を青色で、歩行不可能範囲を赤色で示す。
  • 浸水地域のおよそ半分は赤色で、堤防決壊後10時間経過しても、その状況は改善されない。
資料4:刈谷田川の水位の時間変化(PDFファイル 113KB)
  • 刈谷田川の左岸側の堤防の高さと水面の高さの時間的変化を示す。
  • 同時刻の1時間雨量と上流のダムへの流入量と放流量を同一画面に示す。
シミュレーション結果の留意点
今回のシミュレーションに取り込んだ破堤幅拡大の条件は今年9月末での目撃証言をもとにしています。計算による氾濫流の結果と時間の関係、家屋に作用する力は、今後の破堤幅拡大状況の分析などが進むと変わる可能性があります。


新潟・福島豪雨災害の状況についてのシミュレーション動画等資料

問い合わせ先
国土交通省 河川局
河川計画課光成 政和 (内線35-362) 直通03-5253-8446
河川計画課森川 幹夫 (内線35-382) 直通03-5253-8446
代表03-5253-8111
国土技術政策総合研究所
河川環境研究室課藤田 光一 (内線3321) 直通029-864-2246
河川研究室末次 忠司 (内線3527) 直通029-864-4860
代表029-864-2211



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