5.調査対象物質
5−1水質調査
(1)基本調査対象物質
基本となる調査対象物質は、内分泌攪乱作用が疑われている67物質(環境庁「環境ホルモン戦略計画 SPEED'98」<平成10年5月> )の中から、年間生産量と環境中での検出状況を勘案して選定した8物質に、人畜由来ホルモン(17β-エストラジオール)を加えた9物質とした。
なお、8物質のうち、スチレンについては、前期調査では2及び3量体の標準品が十分入手できなかったため、基本調査対象物質としてはモノマーを対象としたが、後期調査では、環境庁の67物質に挙げられているスチレン2及び3量体を対象とした。 基本調査対象物質を表5−1に示す。
表5−1 基本調査対象物質
分 類 |
No |
物 質 名 |
年間生産量
(千t) |
主 な 用 途 |
アルキルフェノール類 |
1 |
4-n-オクチルフェノール
4-t-オクチルフェノール |
10
(1994年) |
界面活性剤の原料/
分解生成物
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2 |
ノニルフェノール |
20
(1994年) |
フタル酸エステル類 |
3 |
フタル酸ジ−2−エチルヘキシル |
291
(1994年) |
プラスチックの可塑剤 |
4 |
フタル酸ブチルベンジル |
3
(1994年) |
5 |
フタル酸ジ-n-ブチル |
17
(1994年) |
アジピン酸類 |
6 |
アジピン酸ジ-2-エチルヘキシル |
25
(1986年) |
プラスチックの可塑剤 |
ビスフェノールA |
7 |
ビスフェノールA |
260
(1994年) |
樹脂の原料 |
ス チ レ ン |
8 |
(前期) スチレンモノマー
(後期)スチレン2及び3量体※ |
2,621
(1994年) |
樹脂の原料 |
人畜由来ホルモン |
9 |
17β−エストラジオール |
− |
− |
備考 |
(1) |
年間生産量は、環境庁「外因性内分泌攪乱化学物質問題に関する研究班中間報告書」
<平成9年7月>による。
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(2) |
スチレンの年間生産量は、2量体、3量体の値ではなく、"スチレン"の値である。
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※ |
1,3-ジフェニルプロパン(DPP)、2,4-ジフェニル-1-ブテン(DPB)、cis-1,2-ジフェ
ニルシクロブタン(cis-DPCB)、trans-1,2-ジフェニルシクロブタン(trans-DPCB)、
2,4,6-トリフェニル-1-ヘキセン(TPH)の5物質
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(2)追加調査対象物質
主要5河川(荒川、利根川、多摩川、淀川、筑後川)の代表地点においては、環境庁調査との整合を図る観点から、基本調査対象物質に加えて、表5−2に示す14物質を追加調査対象物質として調査した。
なお、スチレンの2及び3量体については、後期調査では基本調査対象物質とした。
表5−2 追加調査対象物質
No |
物 質 名 |
主 な 用 途 |
1 |
ポリ臭化ビフェニール類(PBBs) |
難燃剤 |
2 |
アルキルフェノール類(C4〜C7) |
界面活性剤の原料/分解生成物 |
3 |
フタル酸ジシクロヘキシル |
プラスチックの可塑剤 |
4 |
フタル酸ジエチル |
プラスチックの可塑剤 |
5 |
ベンゾ(a)ピレン |
(非意図的生成物) |
6 |
2,4-ジクロロフェノール |
染料中間体 |
7 |
ベンゾフェノン |
医療品合成原料、保香剤等 |
8 |
4-ニトロトルエン |
2,4-ジニトロトルエンなどの中間体 |
9 |
オクタクロロスチレン |
(有機塩素系化合物の副生成物) |
10 |
フタル酸ジペンチル |
(我が国では生産されていない) |
11 |
フタル酸ジヘキシル |
(我が国では生産されていない) |
12 |
フタル酸ジプロピル |
(我が国では生産されていない) |
13 |
n-ブチルベンゼン |
合成中間体、液晶製造用 |
14 |
スチレン2及び3量体 |
スチレン樹脂の未反応物 |
※後期調査では基本調査対象物質として測定
5−2底質調査
底質の調査対象物質は、水質調査における基本調査対象物質(9物質)とした。
ただし、主要5河川(荒川、利根川、多摩川、淀川、筑後川)の代表地点については、環境庁調査との整合を図る観点から、表5−2に示す追加調査対象物質、並びにポリ塩化ビフェニール類(PCBs)、トリブチルスズ及びトリフェニルスズも対象とした。
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