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河川局

パートナーシップによる河川管理に関する提言




2.基本的な考え方―パートナーシップ推進の視点


(1)各主体の多様なかかわりを再認識する

 市民にとっては、水路や池も川と同じ水辺であるように、市民は川のとらえ方やかかわり方が行政と違っている場合が多い。また、行政においても、河川担当部局とまちづくり担当部局とでは川のとらえ方が違う場合がある。さらに、農業従事者と漁業従事者、川の近くに住む人と遠くに住む人では川のかかわり方やとらえ方が違うように、市民は多様な川とのかかわりがあり様々な考えを持っている。このように、各主体と川とのかかわりは多様であることをまず認識することが必要である。

 こうした多様な価値観を持つ様々な主体が、河川管理にかかわることを市民、河川管理者がともに認識し、これまでの市民と行政の関係を見直し、互いに価値観を理解し尊重し信頼し合える関係を回復、再構築する姿勢が重要である。


(2)情報を共有しお互いを理解する

 河川管理者、市民は、異なる問題認識、様々な川の将来像を持っている場合が多い。河川事業を行う際に、互いの情報が十分相手に伝わっていないためにそれぞれの立場や考え方が理解されず、対立しているケースもある。こうした対立をできるだけ回避し、市民と行政とがよりよい関係をつくっていくためには、互いの情報を十分交換し共通の情報として共有し、さらに、互いのビジョンを交換し、お互いの立場や考え方を尊重した上で議論することが必要である。その結果、共同で取り組もうとする活動の目標や手順、スケジュール、役割分担などが設定しやすくなり、互いに納得のいく成果を得られることにつながる。パートナーシップによる取り組みは、このように関係者が情報を共有しお互いを理解し合うことから始めることが重要である。


(3)多様なパートナーシップで取り組む

 川と地域のかかわりは、地域の中で育まれてきた川と人々とのかかわりの歴史であり、その川、地域固有の文化でもある。したがって、市民の川へのかかわり方によって様々なパートナーシップの段階が考えられる。さらに、実施する内容や目的によって、パートナーや役割分担が異なってくる。すなわち、パートナーシップによる河川管理は、全国一律に考えるべきでなく、地域の実情に沿って、それぞれ独自の方法で段階を踏まえて行うことが望ましい。


(4)パートナーシップによる取り組みはプロセスが重要である

 パートナーシップによる取り組みは、様々な価値観があることを前提として、現状の認識作業から双方が納得する方法で、ともに理解を得ながら一歩一歩着実に進めることが不可欠である。したがって、目標の達成度のみならず、手順を踏んで議論し実践するプロセス自体がきわめて重要である。行政と市民とがこのようなプロセスを経て、合意を形成していくことになる。

 また、行政、市民はともにこのような実践を通じて、お互いの考え方や役割を学習し、自らの役割を自覚し能力を高めていくことで自立した主体を形成することができる。パートナーシップによる河川管理では、こうした学習を通じて互いに影響し合い、力を高めあっていくプロセスを大切にすることが求められる。さらに、当初の意見や考えが学習を通じて変わっていく場合もあることを双方ともに認めることが重要である。

 本来は、こうしたプロセスを踏まえて合意が形成され、意思決定に至ることが理想であり、各主体は合意に向けて最大限努力することが大切である。このとき重要なことは、関係者に合意形成のプロセスを明らかにし、意思決定が誰によってどこでどのようになされるかをきちんと情報を公開することである。そのためには、合意形成のための様々な場や機会が用意されることが必要であり、その運営のルールも必要となる。

 一方、一緒に取り組んで合意に至らなかったときにも、そのプロセスを重要視し、記録を残し、次への取り組みの課題とする姿勢が必要である。



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