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河川局

審議会等の情報
河川審議会について


4.21世紀に向けた河川整備


 4.2 河川整備の基本施策

 「健康で豊かな生活環境と美しい自然環境の調和した安全で個性を育む活力ある社会 の実現」に向けて、河川整備を行うにあたっては、信頼感ある安全で安心できる国土の 形成(安全)、自然と調和した健康な暮らしと健全な環境の創出(環境)、個性あふれ る活力ある地域社会の形成(活力)を目標に基本施策を展開する。

 (1)信頼感ある安全で安心できる国土の形成

 治水施設の質の向上及び適切な情報を提供すること等により、信頼感ある安全で安心 できる国土の形成を図ることが重要であり、以下の施策を推進すべきである。

1)新たな治水の展開

 治水事業を計画的に推進するものとし、大河川については、100年から200年に1度、 中小河川については、30年から100 年に1度、土砂災害対策については、100年に1 度発生する規模の降雨を対象とした計画目標のもとに整備を推進する。当面の目標と して21世紀初頭までに、大河川については、30年から40年に1度、中小河川及び土 砂災害対策については、5年から10年に1度発生する規模の降雨を対象とした計画目 標のもとに重点的・効率的な整備を図り、概成する。
 さらに、治水施設のみの対応による限界を認識して、大洪水が発生したとしても被 害を最小限にくい止められるように、多様な方策を流域と河川において講じる。特に、 河川において、破堤等による壊滅的な被害を回避するため、新たに越水しても破堤し にくい堤防の整備等治水施設の質を高めることにより、信頼性の向上を図る。

i) 流域と一体となった総合的な治水対策の推進

 洪水被害の最小化を図るため、河川における堤防の整備等通常の治水対策と、流 出を抑制する調節池の整備等流域対策を併せて講ずるとともに、さらに洪水氾濫時 における氾濫水の制御等氾濫原対策を加えた総合的な治水対策を広く実施する。
 特に氾濫原対策については、氾濫水の緊急的排除のための水門・水路等の設置や 氾濫流を制御する樹林帯・二線堤の整備を図る。流域における流域対策及び氾濫原 対策を推進するにあたっては、河川管理者と地方公共団体、関係機関、地域住民と の役割分担を明確にし、相互の連携をとり、それぞれの責任を果たす。
 また、ソフト対策としては、水害や土砂災害等に対して浸水実績図やハザードマ ップ等の提供により、災害時のみならず平常時から危機管理に対する意識の形成を 図るとともに、観測及び警戒避難システムの整備、関係機関や地域住民等と連携し て、情報伝達体制や警戒避難体制の確立を図る。

ii) 治水施設の信頼性の向上

 破堤等による壊滅的な被害を回避し、より高い安全性を確保するためには、流下 できる洪水の水量を増やすことを目的に堤防を高くするなどの従来方式に加え、堤 防幅の広い高規格堤防(スーパー堤防)、既存堤防の弱点箇所の補強及び越水して も破堤しにくい堤防を重点的に整備し、治水施設の質を高めることにより信頼性の 向上を図る。

iii)都市域における治水対策の推進

 慢性的な床上浸水は2000年までに解消するとともに、都市域の中小河川において は、50年から100年に1度発生する規模の降雨を対象とした計画目標のもとに整備 を推進する。
 また、下水道事業との連携を図り、市街地において雨水排水対策を推進する。さ らに、安全で良好な住宅・宅地供給を支援するため、先行的に治水事業を行う。
 山麓斜面に市街地が接している都市においては、土砂災害に対する安全性を高め、 緑豊かな都市環境と景観を創出するため、市街地に隣接する山麓斜面において一連 の樹林帯の保全と形成を図る。

iv) 高齢者等の災害弱者の安全と安心の確保

 慢性的な床上浸水被害を解消するとともに、高齢者が集まる病院、老人ホーム等 の施設の存在する地域については、砂防、地すべり対策等を重点的に実施する。ま た、防災や避難等に資する施設のバリアフリー化、わかりやすい情報の提供、警戒 避難体制の確立等の充実を図る。

2)震災対策・火山噴火対策の推進

 大都市部を中心に広がるゼロメートル地帯において、地震による堤防の沈下等に伴 う市街地の壊滅的な浸水被害を回避するため、河川堤防の耐震性の向上や高規格堤防 の整備を緊急的に実施する。
 また、砂防施設の耐震性の向上のための補強を図る。  さらに、緊急用河川敷道路、避難場所、ヘリポート等の整備に加え、水防活動の拠 点の活用、災害時の消火用水や生活用水の確保、舟運による水上輸送の確保を図る。
 火山噴火に起因する火砕流等の異常な土砂流出による災害に対して、導流堤、遊砂 地等の砂防設備を整備するとともに、地域住民の警戒避難体制の整備を図る。また、 火山噴火対策を雲仙普賢岳等主要な火山において実施する。   

3)総合的な水資源対策の推進と渇水頻発地域の解消

i) 総合的な水資源対策の推進

 節水意識の高揚を図り、地下水、下水処理水、雨水、海水等多様な水源を地域の 実情に応じて適切に利用し、水資源の有効利用を図る。また、農業用水の合理化や 遊休化した工業用水の利用を図る。また、河川における水量、水質を効率よく管理 する水系を一貫としてとらえた管理システムを構築する。水資源開発にあたっては、 ダム群の連結や再開発により、既存の水資源開発施設の有効利用を図るとともに、 新たなダム等の建設を推進する。
 なお、地下水の利用にあたっては、地下水の過剰な汲み上げによる地盤沈下等の 障害を防止するため、地下水管理計画を策定するとともに、代替水源の確保を図る。

ii) 渇水頻発地域の解消

 我が国では、概ね10年に1度発生する規模の渇水を対象に水利秩序が維持され、 河川水の水資源開発が行われてきている。しかし、この水準は欧米先進国と比較し て低く、また、我が国における近年の少雨化傾向等によりさらに水準が低下してお り、開発当初期待された確保量が実質的に減少している。このため、節水の定着、 下水処理水の利用、ダム等の建設により、利水安全度の回復と向上を図り、渇水頻 発地域の解消を図る。

iii)異常渇水対策の推進

 異常渇水時においても、社会・経済活動を維持するために、最低限必要な水量を 下水処理水・海水等の利用及び広域的な水融通や渇水対策ダムによる水の備蓄等に より確保する。
 また、より円滑な渇水調整が可能となるよう渇水対策協議会等の充実を図るとと もに、合理的な渇水調整ルールを整備する。

iv) 安全でおいしい水の確保

 安全でおいしい水への国民のニーズの高まりに応えるため、河川・湖沼・ダム貯 水池における各種の水質浄化事業と併せ、流域の発生源対策や、汚濁の著しい支川 の水を分離する流水保全水路の整備、取水口の変更等取排水系統の再構築を行う。 また、水質事故対応を強化するため、施設整備等のハード面の整備や水質汚濁防止 連絡協議会の強化等のソフト面の充実を図る。  

4)情報の総合化と公開・提供及び情報基盤の整備

 光ファイバー網や河川GISシステムを整備し、洪水や水質事故等河川の状況把握、 氾濫想定に基づく避難、河川管理施設の遠隔集中管理など河川の危機管理の強化を図 るとともに、流量や水質をはじめとする河川情報の電子化・共有化などを通じ、許認 可業務等の日常の河川管理の大幅な合理化、効率化を図る。
 また、河川情報について、全国共通で、アクセスの容易な情報公開型データベース を構築し、地域住民との双方向のコミュニケーションを確立するなど、開かれた河川 行政を展開する。
 さらに、関係機関との連携のもと、光ファイバー網を利用し、河川行政における地 方公共団体との連携を一層強化するとともに、中山間地域の情報過疎の解消、地方公 共団体の高度情報化を支援する。

 (2)自然と調和した健康な暮らしと健全な環境の創出

 戦後の人口増加や経済発展等によって悪化した自然環境や水循環系に対し、都市部を 中心に水と緑の復活を図り、自然と調和した健康な暮らしと健全な環境を創出する。こ のため、以下の施策を推進すべきである。

1)健全な水循環系の確保とそのための管理体制の確立

 人間の諸活動が水循環系に大きな影響を与えていること、水循環系は水だけでなく 土砂などの多様な物質が移動する場であることを認識し、国民の生命と財産を守り育 て、豊かな自然環境を育むことを基本に、人間の諸活動を持続可能とする健全な水循 環系の確保を目指す。

i) 管理体制の充実・確立

 健全な水循環の確保を図るためには、流域における水量、水質、土砂等に関わる 諸事象をより的確に把握し、施設等の適切な管理が重要となる。このような認識に 立ち、本格的な管理の時代の到来に備えて、関係者との連携のもと管理体制の充実 を図り、確立させる。

ii) 普段の河川の水量の確保

 水源域における森林の保全を図るとともに、普段の河川として必要かつ十分な水 量の確保のため、流域における貯留・浸透、水資源開発及び下水処理水の利用を推 進する。さらに、今後の普段の河川の水量の管理にあたっては、河川の自然環境の 保全の観点から、従来からの一定の流量の確保を目標とした方式に加え、自然の流 況の変化を可能な限り取り入れた新たな方式を導入する。

iii)清流の復活と水質の保全

 河川、湖沼等の水質を改善するため、流域における発生源対策や負荷の流出抑制 対策を推進するとともに、汚濁の著しい河川、湖沼等においてレキ間浄化、浄化用 水の導入等の浄化対策を緊急に実施する。また、河川の水量の確保等により自浄機 能の向上に努めるとともに、ヨシなどの植生を活かすことにより、自然環境の保全 と併せた浄化対策の推進を図る。また、濁水が発生し長期化したり、ダムへの堆砂 が進行している河川においては、関係機関との連携のもと砂防対策を推進する。

iv) 総合的な土砂対策の実施

 山地部、平野部、河口・海岸部のそれぞれの領域において、安全性の確保と自然 環境への影響の軽減等のための土砂対策を推進するとともに、山から海まで水系一 貫の観点から適切な量、質の土砂移動を目指した総合的な土砂対策を確立し実施す る。このため、流入する土砂がダムをバイパスする水路や通常時において無害な土 砂を流下させる砂防ダム等の整備を推進するほか、土砂移動の機構等未解明な分野 の調査研究と排砂技術等の技術開発を官民一体となって進める。

2)生物の多様な生息・生育環境の確保

 河川が生物の多様性を保つ上で重要な役割を果たすことを認識し、人間の生存の基 盤となっている生態系を長期的に安定させ、生物資源を持続的に利用するため、河川 において地域固有の生物の多様な生息・生育環境を確保しつつ、河川を治め、河川の もたらす様々な恵みを活かしていく。

i) 空間的連続性の確保

 河川における生物の多様な生息・生育環境及び生物の生息・生育上必要な広がり を確保し、地域の様々な生物が安定的に生存できるようにするため、河川横断工作 物に魚道を設置するなど河道や高水敷において生物の上下流方向の移動が可能と なるような川づくりを目指す。また、水路などを介して流域の湿地や池などと河川 を結ぶことにより流域にビオトープネットワークを形成し、生物の生息・生育環境 の空間的連続性を確保する。また、河川及び流域における自然環境を評価し、自然 性の高い区域については、例えば自然を保全する観点から水面や土地利用に関する 規制を導入するなど適切な管理に努める。

ii) 多様な形状を持つ河道の形成

 河川の整備にあたって、できるだけ多くの自然の要素を採り入れる観点から、治 水上必要な構造や強度を検討の上、自然の持つ営力を活かせる方策を選択し、そこ に生息する生物を考慮した河道の形成を図る。特に、自然の多様性を重視し、瀬と 淵が存在するなど多様な形状を持つ河道を基本とし、多自然型川づくりを推進する。

3)良好な河川景観と水辺空間の形成

 周辺の環境に対し、著しく劣悪な環境の河川・渓流に対しては、周辺の環境にふさ わしい整備として河道の二層化や河岸の緩傾斜化等を行い、再生を図る。治水施設、 橋梁等の新設及び改築にあたっては、デザインや色等が周辺の景観との調和が図れる よう配慮するとともに、関係機関との調整を行う。
 また、体験的に河川を含めた自然の中で学習ができるように、河川を身近な自然教 育の場、キャンプ等の短期の集団生活の場として活用するため、堤防の緩傾斜化や遊 歩道の整備、生物や水質の調査等河川における活動基盤の整備、活動の支援等を行う。

 河川におけるオープンスペースやウェルネス効果等を活かし、心身の健康の増進に 寄与する運動施設・河川公園等の整備を図る。また、高齢者等が、安心して河川にア クセスでき、施設を利用できるように堤防の緩傾斜化や堤防坂路のスロープ化等バリ アフリー化を推進するとともに、休憩施設の設置等高齢者等に配慮した整備を図る。

4)都市部における水と緑のネットワーク化

 水源地域等における緑化の推進による保水機能の向上、調節池・雨水貯留浸透施設 等流域での雨水の貯留・浸透の推進、下水処理水の利用等を行うことにより、流域に おける水循環の総合的な改善を図る。
 また、生態系への配慮、親水性の向上を目的として、水量・水質の改善及び水や緑 の連続性の確保を行うため、関係機関の協力により河川と流域における様々な水路・ 水面を結ぶとともに、水辺の緑として、また防災機能を併せ持つ多自然型川づくり、 河畔林、市街地に隣接する山麓斜面の樹林帯等の整備を実施し、流域における水と緑 のネットワーク化を推進する。
 特に都市部において、都市下水路等を含めた、水と緑のネットワークをより密度濃 く形成することで、人々が憩い、安らぎを感じることのできる水辺空間を整備し、良 好な都市環境の実現を図る。また、市街地の浸水時における速やかな排水を図るとと もに、災害時の生活用水・消火用水としても利用する。

5)地球環境問題への対応

 地球環境問題に関しては、地球温暖化による雨や雪の降り方の変化、海面の上昇、 酸性雨による水質の変化等は、河川に重大な影響を及ぼすことが懸念されるものであ り、地球的規模での対応とその効果を見極めつつ河川行政としての対応について早急 に検討する。また、地球的規模の環境問題に対処するため、途上国における砂漠化の 防止や、海面上昇による甚大な水害・塩害等が懸念される地域での影響の把握と対策 手法等について技術協力を進める。

 (3)個性あふれる活力のある地域社会の形成

 21世紀においては、情報・流通を核とした産業・経済の圏域のみならず、水と緑を 核とした自然、文化の圏域の形成を図り、各々が重層的に存在する国土を目指すことに より、人と自然との共存を図り、魅力ある地域を形成することが望まれる。このため、 以下の施策を推進すべきである。

1)水と緑を核とした圏域の形成

 21世紀は、自然、文化を重視し、水と緑を活かした新たな風土の形成を図ること による、地域のアイデンティティの確立と豊かな個性を持つ地域づくりが望まれる。 水と緑を基本とした流域、水共同域等大小様々な大きさのひとまとまりの地域を圏域 として捉え、自然豊かな健康空間や美しい景観等の保全と創出、アウトドア活動等観 光・レクリエーションの進展、地域における多様な文化の発展、水質保全等の広域的 な課題の解決、広域的な水供給による共同域の形成、信頼感ある広域的な地域の防災 構造の構築等の推進を総合的に図り、健康で豊かな生活環境と美しい自然環境との調 和した安全で個性を育む活力ある社会が求められる。
 このため、水と緑のネットワークの形成、治水施設の信頼性の向上、水資源開発等 による利水安全度の向上等を図るとともに、地域における交流・連携活動の核となる 水辺の拠点の整備を行う。また、圏域という広域的、総合的視点から関係機関等との 連携を推進する。

2)活力ある地域づくりへの支援

i) まちづくりと一体となった水辺の拠点の整備

 市街地では、河川はまとまった自然の存在する貴重なオープンスペースであり、 まちの景観構成上重要な要素である。したがって、まちづくりとして河川と周辺地 域とを一体的に整備し、まちの顔となる良好な水辺空間の創出を図る。また、地域 や河川の特性を活かした交流ネットワークを構築し、地域間の交流・連携活動や個 性豊かな地域づくりを支援するため、親水、自然の学習、情報発信等多機能を有す る水辺の交流拠点を整備する。また、こうした活動等を支える人材の交流と育成を 進める。

ii) 中山間地域等の保全と活性化の推進

 中山間地域は、過疎化、高齢化の進展等が著しく、管理の不十分な森林や耕作放 棄地の増加等によって地域の活力が低下し、国土管理面での影響が社会問題化して いる。中山間地域の保全、活性化にも資するよう、土砂災害対策はもとより、これ に伴う残土を活用した安全な土地の創出等により地域の活性化を支援する。また、 宅地の嵩上げ等による治水、小規模生活ダムによる水資源開発等生活基盤の整備を 推進する。さらに、中山間地域の低未利用地を活用し、洪水時の洪水調節と平常時 の地下水のかん養、水質の浄化、ビオトープの機能を有する流域遊水地の整備を図 る。また、主要国道や鉄道という主要交通網を守る土砂災害対策を推進する。
 積雪地域においては、冬期の生活環境の改善を図り、地域の活性化を支援するた め、流雪溝の整備、消流雪用水の確保等を推進する。

3)地域づくりやまちづくりへの河川からの要請

 地域づくりやまちづくりにあたっては、洪水に対する安全性や水資源の確保が必要 である。また身近な自然環境としての良好な水辺空間を確保するためには、地方公共 団体や地域住民の役割は不可欠である。特に治水は、河川整備だけで十分行いうるも のではなく、水害や土砂災害の危険地域の開発抑制等土地利用などの面で流域におけ る地方公共団体、地域住民等の努力が必要である。このため、流域との連携を強化し、 地域づくりやまちづくりに対する河川整備からの要請を的確に伝え、その実現を図る。

4)河川舟運の再構築

 明治後期以降、河川舟運は鉄道・道路の発達から衰退の一途をたどってきた。
 しかし、今後は、地球環境への負荷の低減の観点から、また、都市内の交通渋滞や 大量の物資輸送の困難性などの問題の一つの解決策として、さらに、舟による観光や レジャーへの志向の高まりを反映した余暇の活用策として、河川舟運の新たな展開が 期待されている。また、都市の震災時における緊急輸送路としての期待も大きい。こ のため、河川の交通・輸送機能に着目した施設の整備を順次推進することにより、河 川舟運の再構築を図る。

5)地域の魅力を引き出す河川管理

 社会の変化に伴い河川利用に対するニーズも変化しており、適切な対応が望まれる ことから、河川の特性と地域の風土・文化を踏まえ、地域の魅力を引き出す河川管理 を推進する。良好な河川環境の保全及び河川の適正な利用のために、水面や河川区域 内の土地の利用等に関する規制の強化や利用者の自己責任のもとでの利用等に関す る規制の緩和のための制度について検討する。また、地球環境の保全及び資源の有効 利用の観点から、ダム等における水力発電やヒートポンプ等クリーンエネルギーの活 用を図る。

6)地域との連携・協調のための仕組みづくり

 河川で生ずる様々な問題は、流域全体の中で総合的に対応することが必要であり、 河川整備にあたっては、流域の住民にも十分な理解を得て、主体的な参加を促し、連 携と協調を図っていく必要があるので、河川の計画の策定過程において、懇談会等の 開催により、地域住民の意向を反映するように努める。
 また、地域住民の意向の反映のための制度について、早急に検討を行う。

7)国と地方の役割分担

 河川管理等においては、自然災害から国民の生命財産を守る上で、整備水準の全国 的な公平性・統一性を確保する必要があり、治水、利水の両面で、複数の地方公共団 体の調整を図るなどの行政単位を超えた広域的な観点と、対立する地域の利害との調 整の観点から行われる必要がある。さらに、総合的な治水対策におけるように地方公 共団体等によって流域で展開される諸施策の重要性も高まってきている。こうした河 川行政の特性を踏まえた国と地方の適切な役割分担を定め、実現していく必要がある。

8)国際的な交流・連携と技術協力

 先進技術の普及や調査・研究・技術開発の一層の推進を図るため、国際的なセミナ ー、会議等の開催及び参加、データベース等を活用した情報の共有化、人材の交流等 を行うとともに、地球環境問題等に対し、地球の視点から観測・調査・研究を行い、 諸外国との積極的な連携を図る。特に、21世紀のアジアの開発途上諸国では、急激 な都市化、工業化に伴う都市型水害の発生や水需要の急増による水不足、さらには河 川の水質の悪化等が懸念されることから、我が国のこれまでの治水、利水、環境改善 の経験を活かした国際協力が求められている。また、砂防、火山災害対策においても、 我が国の高い技術力を活かした国際協力が求められている。こうしたことから、官民 一体となって国際協力に取り組む体制の強化を図ることが重要である。





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