道路行政マネジメント研究会

第2回 道路行政マネジメント研究会
日 時  平成15年5月6日(火)16:00〜18:00
場 所  国土交通省4F特別会議室
議事次第   1. 開会
 2. 議事
  (1)道路行政マネジメントをめぐる動きについて
  (2)北大路委員意見発表
  (3)家田委員意見発表
  (4)道路行政マネジメント研究会提言骨子案について
  (5)その他
 3. 閉会

委員長
古川 俊一
筑波大学社会工学系教授
委  員
家田 仁
東京大学大学院工学系研究科教授
委  員
 
梅田 次郎
鞄本能率協会コンサルティング
行政経営アドバイザー
委  員
北大路 信郷
静岡県立大学経営情報学部教授
委  員
田渕 雪子
(株)三菱総合研究所
次世代社会基盤研究部 主席研究員
(敬称略、五十音順)
○は出席した委員

委員会資料   議事録

北大路委員意見の骨子
 ・ 行政の業務は民間と違い、(1)その目的が多岐に渡り、(2)様々な主体が協働しながら目的を達成する場合が多く、責任体系が複雑である等の理由から、行政のマネジメントに関し、安易に民間のマネジメント手法を適用することは避けるべきである。
 ・ アウトカム評価の目的の一つである「行政の品質管理」のためには、行政活動の貢献度が明らかなレベルを選ぶべきである。行政が関与できないレベルの目標を設定してしまうと、品質改善がなされないとともに、現場の意識も下がってしまう。
 ・ アウトカム評価の二つ目の目的である、政策の外部への説明に際しては、生活実感にあった、より「上位の」アウトカムを選ぶべきだが、目標達成において、行政の責任は限定的であるという認識を共有すべきである。
 ・ アウトカム評価の三つ目の目的である、ガバナンスの高度化に際しては、課題を体系化する作業及び、その課題に取り組むための戦略を策定する作業が重要だが、多くのステークホールダー(利害関係者)の参加が必要である。
 ・ アウトカム評価が十分に行われた場合でも、異なるアウトカムに対する資源(予算)配分を自動的に決めることはできないため、予算との連動は困難であることに留意するべき。
 ・ アウトカムによる達成度を個人の業績評価と直接連動させると、成果主義のマネジメントそのものが敬遠される。個人の業績評価は、成果目標ではなく、行動目標に対する達成度で評価するべきではないか。

家田委員意見の骨子
 ・ 道路は全国民がユーザーであり、ユーザー重視の道路政策(道路パフォーマンスマネジメント)とすることが重要である。そのため、道路ユーザーとの協働作業によるボトムアップの目標設定及び具体の施策への反映が重要である。
 ・ 我が国の道路整備はある程度進んだが、自動車専用道路の分担率等を見ると、十分に活用されているとは言えない。道路は基幹的な社会資本であり、もっとユーザーが使えるよう工夫するべきである。
 ・ 道路行政マネジメントを実施する際には、ボトムアップの観点から、既存の道路をベースに実施することが重要である。

道路行政マネジメント研究会 提言
全般について
 ・ 「予算編成等に適切に反映させるシステムを構築」と記述されているが、まさに行政の要は予算と人事であり、これにきちんと反映させることが非常に重要である。この点は諸外国でも模索中であるが、「評価のための評価」とならないよう、留意する必要がある。
 ・ 背景として、道路の果たす役割等について示すとともに、現在、道路行政が国民にどのように思われているかということを記述すべきである。
道路行政の効率性、透明性の確保について
 ・ 記述が一般行政を対象としているように見えるので、より道路の特性を踏まえた記述にするべきではないか。例えば、(1)国民のニーズを的確に把握すること、(2)ニーズに基づき、道路のユーズを再構築すること、(3)そのために、成果主義のアウトカム評価を行うこと 等、明確に記述すべきである。
 ・ 道路行政はある意味、具体的で取り組みやすいが、複数のアウトカムにまたがっているといったことを書くのではないか。
 ・ アカウンタビリティを「説明責任」と訳すと、説明すればよいように思えるので、「責任」といった考え方で訳すべき。
 ・ 道路行政への批判といった、「国民の誤解」をどのように払拭するのかという観点も必要。
 ・ 意志決定に際し、役所の中でクローズするのではなく、データや状態、誰がどう関与してその結果が出たのかがわかるようにすることが重要。
 ・ 責任が明確にわかるようにすることも重要。
 ・ 政策判断にあたり完全に客観的で透明な意志決定ができるという考え方は危険である。政策判断に必要となる価値判断は、最終的には政治が決めることとなる。PPBSにおける失敗例を研究するべき。
 ・ 米国では、「業績準拠型予算」を導入し、ある成果をいくらで買うかという「成果買い取り型予算」を行っている。今回検討している行政マネジメントも同様の方向を目指しているものであれば、そのあたりを明記すべきではないか。
 ・ 現在の書きぶりは「民間はよく、それを取り入れる」といったニュアンスに見えるが、それは単純すぎるのではないか。
 ・ 「個別事業の評価」と「施策全体の評価」については、互いにリンクする必要がある。双方とも、社会資本全体としての効用を高めるという意味では同じである。
成果主義の新たな道路行政マネジメントの基本的な考え方(ポイント)について
 ・ 具体的に、どのような制度を作るのか、その際の留意点は何かといったことを体系的にまとめる方向が望ましい。
 ・ 指標、計画、評価は、それぞれが一体となって流れてゆくもの。
 ・ 「目標と指標の設定」に際し、設定までのプロセス等の記述がなく、分かりにくい。お手盛りにならないよう、どのように目標を設定するかということを具体的に書いて欲しい。
 ・ 目標の「方向」と「大きさ」をどのように定めるのかが重要である。その際、簡単に達成できる目標ではいけないし、達成が不可能な目標でもいけない。そのために資源をどれだけつぎ込むのかが重要である。
 ・ ある目標を重要だとすると、他の目標がおろそかになる。いろいろなことが大事だが、重点はここ、といったアプローチが必要。
 ・ 「生活実感にあった」行政マネジメントという表現が入れられないか。
 ・ 記述が並列的であり、わかりにくい。構築するシステムの体系、運用方法、留意点等、体系的に記述すべきではないか。
 ・ システムのポイントとなるのは、(1)指標と目標の設定、(2)業績計画書の作成、(3)達成度報告書の作成 の3点だと考えられるが、集権的に設定するもの、ボトムアップにより分権的に設定するもの等、具体的な運用面を明確に整理することが重要である。
 ・ 職員の一人一人が成果を意識し、必要だと思うことが大切である。
 ・ 職員の意識改革は容易ではない。トップダウンでやるのではなく、内部での議論等によって、行政マネジメントの必要性を認識すべきである。
 ・ 押しつけのシステムになると「チーティング(ごまかし)」が生ずることとなる。

その他
 ・ 次回第3回研究会は5月末から6月上旬頃開催することとし、本日指摘された意見を踏まえ、提言のとりまとめを行うとともに、「平成15年度業績計画書(仮称)」骨子について審議を行うこととされた。



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