道路行政マネジメント研究会

第5回 道路行政マネジメント研究会
日 時  平成16年8月2日(月) 14:00〜16:00
場 所  国土交通省11F特別会議室
議事次第   1. 開会
 2. 議事
      (1) 一巡した道路行政マネジメント(評価結果を次の施策、予算へ反映)
      (2) 地域における道路行政マネジメントの実践
      (3) 地方自治体のマネジメント改革事例の分析
      (4) その他
 3. 閉会

委員長
古川 俊一
筑波大学大学院システム情報工学研究科教授
委  員
 
家田 仁
東京大学大学院工学系研究科教授
委  員
梅田 次郎
鞄本能率協会コンサルティング
行政経営アドバイザー
委  員
北大路 信郷
明治大学公共政策大学院ガバナンス研究科教授
委  員
田渕 雪子
(株)三菱総合研究所
次世代社会基盤研究部 主席研究員
(敬称略、五十音順)
○は出席した委員

委員会資料   議事録

一巡した道路行政マネジメントについて
 平成15年度達成度報告書/平成16年度業績計画書が策定され、道路行政マネジメントが一巡したことを受け、これまでの取組みや現在の道路行政マネジメントの実践に向けた取組み状況、達成度報告書を受けた重点施策や予算要求への反映状況について紹介し、各委員より下記の意見をいただいた。

  (委員の主な意見)
用語について
 ・ 「成果主義」という言葉は、人事管理や給与管理等を連想させるため、「成果重視」などと言い換えた方が良いのではないか。(道路行政に初めてマネジメント手法の考え方を導入するにあたり、よりインパクトのある用語を想定して使用したものであるが、誤解を招くようであれば検討する旨、事務局より返答)
 ・ 「成果主義」とは、限られた資源の中で成果を上げることが基本であり、コスト管理が重要である。コスト意識というものを前面に記述しても良いのではないか。(OutcomeはInputとOutputの上に成り立つものであり、それだけでは存在しない。Inputには当然コストが含まれており、成果を考える際にはコスト意識があることが前提である(委員長より説明))
 ・ 「業績予算」という用語は、英語に訳すとPerformance Budget(PB)になってしまう。米国でPBというと、1960年代に行われたPPBSの考え方を指すものであって、異なる政策目的――例えば安全と渋滞という、本来比較できないものの経済価値によって予算配分を行うという考え方になる。ところが、現在、米国で予算配分に際して使われている手法はPerformance Based Budget(PBB)と呼ばれるものであり、PBとは明確に分けられている。これは、同じ政策目的の中で、コスト効率の高い箇所に優先的に予算を配分する――という考え方である。今回の道路行政マネジメントにおける「業績予算」とは後者(PBB)に該当すると思われるので、違う用語を用いた方が良いのではないか。
(意図と違う受け取られ方をするようであれば検討する旨、事務局より返答)
指標別の達成度について
 ・ 平成15年度の業績計画に対し、未達成の指標が4指標あるとの報告であったが、指標の中には、1年という短期間では効果の上がりにくいものもあり、表現方法として不適切でないか。
(「未達成」という発言が誤解を招いたとすれば本意ではない。達成しても課題があるものや、達成していないくても良い取組み等があることを認識した上で、適切に説明していく旨、事務局より返答)
個別政策テーマと施策について
 ・ 弾力的な料金設定による効果について、収入減60万円に対する渋滞緩和効果が1,500万円と記述されているが、両者は同一に扱うべきものではない。渋滞緩和効果は、直接事業者の利益になるものではない。
(指摘のとおりであり、表現方法について工夫する旨、事務局より返答)
 ・ 「渋滞を減らす」というテーマに対する例として、「ETCの普及促進と活用」が挙げられているが、ETCの普及による効果は料金所における渋滞緩和だけではなく、高速道路利用率の向上、それに伴う事故減少や住宅地における騒音減少等、多岐に渡っている。このような総合的な効果があることについても記述するべきではないか。
(指摘のとおりであり、他の効果等についても積極的にアナウンスしていく旨、事務局より返答)
マネジメントサイクルと達成度報告書/業績計画書について
 ・ 今回、達成度報告書と業績計画書が1冊にまとめられたのは非常に見やすくて良いが、本来は、達成度報告書が出た後、それを受けた予算要求があり、その後、予算に応じた業績計画書が出るのではないか。
(今回の業績計画書は平成16年度であり、3月に確定した予算に対する計画である。一方、現在、予算要求の作業を進めているのは17年度のものである。すなわち、15年度の評価結果は、16年度の業績計画と17年度の予算要求に反映され、17年度の予算が確定した段階で、17年度の業績計画書が策定されることになる。予算に応じた業績計画書という点では、来年策定する17年度の業績計画書がこれに該当する。その辺りが整理されていないので、工夫する旨、道路局側より説明)

地域における道路行政マネジメントの実践について
 道路行政マネジメントの実践に向けたこれまでの取組みについて、主に地域の具体的事例を中心に紹介し、各委員より下記の意見をいただいた。

  (委員の主な意見)
行政マネジメントのシステム化について
 ・ 非常に良い取組みが行われているという印象を受けた。今後は、マネジメントに際して多くのツール(QC7つ道具やパレート分析等)を充実していくことが重要である。マネジメントを軌道に乗せていくためにはコンサルティングが重要であり、全国展開している大企業と考えれば、当然、マネジメントに関するコンサルティング等は行われていくものと考える。道路局に事務所などにアドバイスする機能を持つことも検討すべき
(今後は「マネジメント自体を改善していくことも考えている。試行錯誤をしていく中でも、行政組織同士での共通の用語、意識の共有を図っていくことが重要だと考えている旨、事務局より返答)
道路行政経営ガイドライン(案)について
 ・ マネジメントを進める上で、行動指針・ルール等が必要というのは理解できるが、資料P16の記述は、上意下達のイメージが強い。マネジメントシステムの浸透のためには、インセンティブを与えることが重要である。
(補助金制度についても、現在、権限移譲を含めて検討中であり、そういう面ではインセンティブになる。ただし、権限を与えるかわりに評価はきちんと行うという思想である旨、事務局より返答)
 ・ ガイドラインはあくまでも指針であり、指導要領ではないことに注意が必要である。成果主義の基本は、「現場で考える」ということである。ガイドラインには大方針をきちんと据えることが重要であり、具体の手法については、何も記述しないのが本来の姿である。
(詳細なガイドラインを作成すると、「その通りやれば良い」という意識が働く恐れがあることは認識している旨、事務局より返答)
 ・ ガイドラインの目的や内容に関しては、さらに議論が必要と考える。
地域におけるマネジメントの事例について
 ・ マネジメントの事例については、結果だけでなく、紹介されている取組みを行った経緯が必要である。それを共有することで、マネジメントシステムがより改善されるのではないか。
(指摘のとおりであり、具体的な取組みを行った経緯も含めた説明に努めていく旨、事務局より返答)

地方自治体のマネジメント改革事例の分析について
 行政マネジメントを導入している地方自治体における職員の意識調査結果について、古川委員長よりご紹介いただいた。

 主な内容は下記のとおり。
  • 評価制度の導入には、外部要因と内部要因がある。導入時点では外部要因が大きいが、継続するためには内部要因が重要である。
  • 評価の導入については、肯定的な意見が増えつつあるものの、依然、半数は否定的である。
  • 首長の指導力が重要である。
  • 評価の導入によって他の自治体からの関心が高まる。
  • 評価の導入によって業務目的の明確化が図れる。しかしながら、業務効率化については否定的である。

道路行政マネジメント研究会の今後のスケジュールについて
 次回研究会は10月頃を目処に、後日、日程調整することとされた。

以上




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