道路行政マネジメント研究会

第3回 道路行政マネジメント研究会
日 時  平成15年6月13日(金) 10:00〜12:00
場 所  東海大学校友会館「富士の間」
議事次第   1. 開会
 2. 議事
  (1)道路行政マネジメント研究会提言案について
  (2)「平成15年度業績計画書(仮称)」構成案について
  (3)その他
 3. 閉会

委員長
古川 俊一
筑波大学社会工学系教授
委  員
家田 仁
東京大学大学院工学系研究科教授
委  員
梅田 次郎
鞄本能率協会コンサルティング
行政経営アドバイザー
委  員
 
北大路 信郷
静岡県立大学経営情報学部教授
委  員
田渕 雪子
(株)三菱総合研究所
次世代社会基盤研究部 主席研究員
(敬称略、五十音順)
○は出席した委員

委員会資料   議事録

研究会の成果と今後について
 ・ 道路行政が他の公共事業分野に先立ち、成果重視の行政マネジメントについての検討を行い、提言をまとめる段階までたどり着いたことは、大変意義深いとの指摘があった。
 ・ 行政の3つの柱は「制度」「経営」「技術」であると考えられるが、本研究会で審議しているのは「経営」の部分である。「経営」は理論でも理想でもなく、常に実践を念頭に行う必要があり、今後、多くの課題が湧出してくるものと考えられるが、研究会として更なる議論と助言を行うことが必要との指摘があった。

道路行政マネジメント 提言案について
 提言案に関し、用語の使い分け等について意見が出されたが、基本的内容については了承された。なお、指摘事項に関しては、委員長と事務局で調整の上修正し、正式な提言とすることとされた。また、若干の修正があることを前提として、委員長から道路局長に提言が手渡された。
(研究会後に委員長との調整により、正式な提言としてとりまとめられた。次のホームページにおいても公表。(http://www.mlit.go.jp/road/ir/index5.html))

(委員の主な意見)
「国民」について
 ・ 道路というインフラの特徴は、ユーザー自身がインフラづくりの当事者であるという点である。提言案の「3(5)B国民との新たなパートナーシップの確立」(P.11)に書かれているが、もう少し明確に記述した方が良いのではないか。例えば、「道路ユーザーや住民と行政が問題意識を共有し、更に協働的な活動を通じて、より良いサービスと空間を作り上げていくことが必要である」というような記述にしてはどうか。
 ・ P.6の図において、「国民」と一言で表現されているが、「道路ユーザー」としての国民や「納税者」としての国民、そして「地域住民」としの国民もいる。そういう立場がわかるようにした方が良いのではないか。
 ・ 「3(5)B国民との新たなパートナーシップの確立」(P.11)文中の「行政に対する期待が先行し〜」という表現は、国民だけが悪いような印象を受ける。協力関係が得られなかった行政サイドの反省についても記述した方が良いのではないか。
用語の使い分けについて
 ・ 提言案の中に「わかりやすさ」という表現が多いが、容易(=easy)というような誤解を招くのではないか。「ユーザーのニーズに合い、納税者の関心に即した」という意味の表現にすべきではないか。
 ・ 「3(5)@評価の正統性の確保」(P.11)とあるが、「正統性」というと非常に重いものに感じてしまう。「公正性」とか「妥当性」といった表現の方が良いのではないか。
 ・ 表紙のサブタイトルに「理論から実践へ」とあるが、「理論」というと、学術的なイメージを持ってしまう。「理念」の方が良いのではないか。
職員の意識改革について
 ・ 行政マネジメントの実践のためには職員の意識改革が重要である。そのためには、現況把握のために、職員へのアンケート等を実施することも考えるべきではないか。
 ・ 職員の意識を高めるには、「実践」が何より重要であり、まずとりこむこと、やってみることが重要。
目標と指標の設定について
 ・ 「3(1)B階層的な指標群の設定」(P.7)において、指標のレベルを三段階で設定しているが、「アウトプット指標」と「中間アウトカム指標」の間に「事業を対象としたアウトカム指標」があるのではないか。
 ・ 道路は多機能で、多次元のサービス提供をしているため、指標を階層的に設定するというのは良いと思うが、「最終アウトカム指標」という表現は疑問。(実践していく中で)徐々に改良していくということ、個々に工夫すること、考えることが大切ではないか。
 ・ 道路は地方によってニーズの差があり、本来、評価指標も地方ごとに違いがあるべき。国として共通の指標群を統一して設定することは必要であるが、各地方の担当者がそれに縛られずに、自分たちの地方に適した指標を設定することも必要。
実行にあたっての留意点について
 ・ 成果を予算へ反映させるしくみについて、米英の具体例を参考にするのは良い。日本は(新しいシステムを導入しようとする際、)理念が先行してしまう傾向があり、実践を念頭に置いた検討は評価できる。また、欧米の評価システムも、必ずしも理念通りに運用されていない場合もあることを留意しておくことが必要。

「平成15年度業績計画書(仮称)」構成案について
(委員の主な意見)
 ・ 施策は複数の指標に影響を与えるものであり、指標と施策の対応を明確にするのは困難。達成度報告書を作成するときに議論すべきことかも知れないが、重要な点であるので、計画策定にあたっても留意すべきである。(確かに困難であるが、まずは結果を出してみて、改善策を検討していく旨、事務局より説明。また、そのためには、可能な限りデータを取得していく旨を説明。)
 ・ 1年後に結果が出たあと、「分析」して次のステップに反映させることになるが、例えば効果が現れなかった施策に関し、その原因を分析するには時間がかかる。タイムラグに関してはどのように考えているのか。(タイムラグを短くするためにはデータの取得が重要と考えている旨、事務局より説明。結果の反映に際しては、直ちに次年度の計画に反映できるものと、概算要求を経て、次々年度の計画に反映させるもの等、整理する必要がある。そのためにもまずは実施してみて、いろいろな課題を抽出し、マネジメントサイクルのブラッシュアップを行っていく方針である旨、事務局より説明。)
 ・ 業績計画書は対外的な情報発信の側面と、内部管理ツールとしての側面があるということだが、それならば、内部用と外部用を分けて作成すべきではないか。特に目標値について、内部用のものでは、各年度ごとの目標値を明記すべきではないか。(試行段階であることから、現段階では、外部用、内部用を兼ねた計画書を作成することとしている。課題が多いようならば、随時改善していく旨、事務局より説明)
 ・ 業務計画書に対しては、目標設定の妥当性の担保や目標達成のためのプロセスチェックが必要。
 ・ 平成15 年度の業績計画書と、今後の計画書は分けて考えた方が良いのでは。マネジメントサイクルがある程度確立し、本質的な議論ができるのは、平成17年頃になるのではないか。


All Rights Reserved, Copyright (C) 2003, Ministry of Land, Infrastructure and Transport