全国の幹線道路(国道・都道府県道等)を約87万区間に分割し、平成27年~平成30年の事故データと平成27年の交通量データを基に、各区間の死傷事故率を算出した結果、死傷事故の60%が全体の12%の区間に集中していることが分かりました。
※全国の国道・主要地方道・都道府県道約20万km(約87万区間)における 4年間(H27-H30)の平均事故データを用いて作成
全国の幹線道路(国道・都道府県道等)における交通事故が特定の箇所に集中して発生しているという特徴を踏まえ、幹線道路における集中的な交通事故対策を実施することを目的に、国土交通省と警察庁が合同で、交通事故が多発している箇所やETC2.0プローブデータ等のビッグデータから判明した潜在的な危険箇所等を「事故危険箇所」として指定(令和4年3月)し、道路管理者と都道府県公安委員会が連携した対策を検討・実施していきます。
<事故危険箇所の指定>
令和4年3月に以下の抽出基準に該当する箇所から事故危険箇所を2,748箇所指定しました。
令和4年3月の指定箇所はこちら
◆平成27年~平成30年における平均的な交通事故発生状況について以下の条件を全て満たす箇所。
◆ETC2.0プローブデータ等のビッグデータを活用した潜在的な危険箇所等、地域の課題や特徴を踏まえ、特に緊急的、集中的な対策が必要な箇所 等。
<事故危険箇所の目標>
令和3年5月に閣議決定された第5次社会資本整備重点計画において、「令和7年度末までに幹線道路の事故危険箇所における死傷事故件数を約3割抑止」という目標を掲げています。
<事故危険箇所における対策の概要>
「事故危険箇所」においては、道路管理者と都道府県公安委員会が連携して、道路改良、交通安全施設の設置、信号機の設置・改良等の集中的な交通事故対策を講じています。
(1)道路改良
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【右折レーンの延伸】 右折レーン長不足により直進車線まで延びた右折待ち車両の列に、直進車が追突する事故を防止するため、右折レーンを延伸し、十分な右折レーン長を確保しています。 |
【歩道の整備】 安全・安心な歩行空間を確保するため、歩道を整備しています。 |
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【導流路半径縮小】 左折時の走行速度が高くなり横断歩行者又は横断自転車を見落とし衝突する事故を防ぐため、導流路半径の縮小により、左折時の走行速度を抑制しています。 |
【最高速度規制】 往復の交通流を分離することにより、対向車線への逸走による正面衝突等の重大事故を防止しています。 |
(2)交通安全施設の設置
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【防護柵の設置】 車両の路外への逸脱を防止し乗員及び第三者への被害を防止するため、防護柵を設置しています。 |
【導流標示の設置】 右折時の走行位置が不明確であるため、歩行者や対向車への注意が行き届かなくなり衝突する事故を防ぐため、交差点に導流標示を設置し走行位置を明確化しています。 |
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【注意喚起表示(LED表示版)の設置】 事故の危険性がある箇所や急カーブ箇所等でドライバーに注意を促すための注意喚起標示を設置しています。 |
【視線誘導標の設置】 線形が把握しにくいカーブ区間において車線逸脱による事故を防止するため、視線誘導標を設置して線形を把握しやすいようにしています。 |
(3)ビッグデータを活用した対策事例
厳しい財政状況の中で、必要な道路整備を進めていくためには、限られた予算を効率的・効果的に執行し、成果を上げていくことが重要です。このため、データ 等に基づく「成果を上げるマネジメント」の取組みを導入し、交通安全分野における「成果を上げるマネジメント」を『事故ゼロプラン(事故危険区間解消作戦)』として展開しています。
『事故ゼロプラン』では、「選択と集中」、「市民参加・市民との協働」をキーワードとして、事故データや地方公共団体・地域住民からの指摘等に基づき交通事故の危険性が高い区間(事故危険区間)を選定し、地域住民への注意喚起や事故要因に即した対策を重点的・集中的に講じることにより効率的・効果的な交通事故対策を推進するとともに、完了後はその効果を計測・評価しマネジメントサイクルにより逐次改善を図ることとしています。
(1)事故の危険性が高い区間の明確化
事故危険区間については、都道府県毎に、①事故データに基づく区間、②潜在的な危険区間を抽出し、学識経験者・関係者等からなる委員会から意見を聴取した上で、全国で13,494区間を選定しています(平成27年1月現在の直轄国道)。
(2)情報の共有化
利用者に危険箇所を認識してもらうことで事故削減にも期待できることから、市民との情報共有にも積極的に行うこととしており、①代表的な事故危険区間の公表、②注意喚起看板の設置、③地域住民・関係機関等との合同現地点検等を実施しています。
2019年の交通事故死者数は、3年連続で戦後最少を更新し、特に自動車乗車中の死者数は、G7の中で最も少なくなっています。
しかし、歩行中・自転車乗車中の死者数は、G7でアメリカに次いで多くなっています。歩行中・自転車乗車中の死者数は、全交通事故死者数の約半数を占めており、そのうち約半数は、自宅から500m以内の身近な道路で発生しています。
このため、国土交通省では、生産性革命プロジェクトとして、生活道路対策エリアにおいて、ビッグデータを活用して速度超過、急ブレーキ発生、抜け道等の潜在的な危険箇所を特定し、凸部(ハンプ)や狭さく等を効果的、効率的に設置することにより、速度抑制や通過交通の進入抑制を図り、歩行者・自転車中心の空間づくりを推進します。
■自動車乗車中はG7で最も安全
歩行中・自転車乗用中はG7でアメリカについで多い
■交通事故死者数はS23年以降の統計で最小
■幹線道路に比べて生活道路の死傷事故件数の
出典)交通事故統計年報をもとに作成
■歩行者・自転車乗車中が死者数全体の約半数
■歩行者・自転車乗車中の死者数の
<通学路ヒヤリマップとビッグデータの分析結果の重ね合わせイメージ>
■新潟市日和山小ワークショップ
新潟市日和山小ワークショップの開催状況
ワークショップでのビッグデータ分析結果の活用
■新潟市中央区日和山地区の対策エリアのビッグデータ分析結果と主な対策内容
■ビッグデータの分析結果の提供
[道路区間別の30km/h超過割合]
[急ブレーキ発生地点]
ビッグデータの分析結果の活用により、
■可搬型ハンプの貸出し
■交通安全診断を行う有識者の斡旋
※埼玉大学 交通・計画グループ提供
[ボラードが下降した状態]
[ボラードが上昇した状態]