環境への配慮も事業の一部

本事業は、河川環境への配慮を重要な要素と位置づけている。平成11年6月から施行された環境影響評価法の対象となる事業ではないものの、事業規模、周辺環境の状況等を考慮し、事業による環境への影響及び環境保全措置の検討を適切に行うため、環境影響評価法に準じた調査、予測、環境保全のための検討及び評価を行っている。

新丸山ダム工事事務所の担当者は「予測や検討、評価の結果は『環境レポート』にとりまとめ、学識者等からなる委員会の指導・助言を踏まえ、環境保全に配慮しながら事業を進めています」と説明する。

また、環境にやさしい資材の利用も検討されている。新丸山ダムJV工事事務所の担当者は、「低炭素型コンクリート『クリーンクリート』を仮設構造物等に一部使用しています。一般的なセメントと比較して製造時に発生する二酸化炭素が少ないため、地球温暖化の抑制に寄与しているのではないでしょうか」と語る。

他にも、ダム本体で使用するセメントに配合されているフライアッシュ(石炭火力発電所で石炭を燃焼する際に副産される微粒な石炭灰)を活用したコンクリートは、製造段階でのCO₂排出を抑制し、長期耐久性を確保することができる。

丸山ダムを下流から望む
丸山ダムを下流から望む

さらに、新丸山ダム周辺地域である瑞浪市、恵那市、八百津町、御嵩町における自然・文化・伝統等の地域資源と新丸山ダム建設に伴う基盤整備等を活用し、周辺地域の振興に資する効果的な施策を検討する場として瑞浪市、恵那市、八百津町、御嵩町と新丸山ダム関係機関(関西電力株式会社及び国土交通省(木曽川水系ダム統合管理事務所・新丸山ダム工事事務所))で『新丸山ダム水源地域協議会』を構成。

社会の変化や地域の特徴を分析し、中長期的・広域的な視点に立って、様々な主体と幅広い分野において連携を図り、ダム周辺地域の魅力を高め、地域の満足度を継続的に高める地域振興について検討している。

また、新丸山ダム周辺地域の目指す地域振興は、以下の3点に寄与することを狙っている。

  1. 豊かな自然環境や日本らしい美しい景観、固有の歴史・文化、価値の高い観光資源など豊富な地域資源を有する新丸山ダム周辺地域を一つの地域と捉え、資源を磨き、発掘し、つなげて周辺地域全体の魅力を高める。
  2. 瑞浪市、恵那市、八百津町、御嵩町とダム関係機関が魅力ある地域資源を共有し、地域間相互に補完・連携した活動と充実した交通・情報通信ネットワークの形成により周辺地域全体の満足度を向上させ、地域の寛容性を高め、国内外からの来訪者や移住者、地域や地域の人々と関わる人口を増やす。
  3. 「人」「物」「情報」の交流が活性化し、新たな来訪者や移住者の増加により消費行動が高まり、新たなライフスタイルへの適応により幅広い分野においてビジネスチャンスが生まれ、企業活動が促進され、持続的に地域経済の好循環を生み出す。

新丸山ダム工事事務所の担当者は「新丸山ダム周辺地域の地域振興における3つの視点を実行し、リピーターの創出につなげ持続的に地域経済の好循環を生み出すことを目標としています」と話す。

ダムという、インフラ施設の建設をきっかけに、地域の満足度を継続的に高める地域振興について関係自治体と取り組みの輪を広げつつある。

木曽川流域の住民に安全・安心を届ける――新丸山ダム建設事業は木曽川流域の未来をつくる

木曽川流域の国土強靱化を進める上で、新丸山ダムの治水機能の強化は、重要な事業と位置づけられている。令和7年11月24日に定礎式を執り行い、新丸山ダム建設事業は現在も着々と進められている。

完成まで既設ダムの機能を維持しながら、難易度の高い施工を継続するためには、段階的施工やDXをはじめとした更なる技術の高度化が欠かせない。

技術の向上に関して、新丸山ダムJV工事事務所の担当者は、「自動・自律化の自動運転が完成すれば、安全性と品質性が確保できます。できるだけ自動・自律化、遠隔化も導入して、施工に動員する人を減らすことができれば、より安全性が向上すると考えています」と述べている。

建設現場で働く人々のみならず、地元住民の安全・安心を確保しながらの事業には、国、関係機関、施工会社の連携が重要である。この三位一体の取り組みが、難工事の施工を前進させ、新丸山ダムの完成へと繋げていく。

新丸山ダム 定礎式(R7.11.24)
新丸山ダム 定礎式(R7.11.24)

取材にご協力いただいた方
※取材内容、所属、役職は取材当時(2025年11月)のものです。

  • 国土交通省 中部地方整備局 新丸山ダム工事事務所
    副所長 蔭山 敦士氏
    工務第一課 課長 芝 昌一氏
    工務第一課 設計係長 相崎 結衣氏
    調査課 課長 神谷 昭範氏
    調査課 計画係長 松田 知也氏
  • 新丸山ダムJV工事事務所(株式会社大林組)
    所長 佐々木 啓次氏
    土木係 佐藤 友哉氏
    土木係 栗木 智成氏