環境と品質を守る徹底した管理体制
滑走路下には各種ケーブル類などの地下設備が存在するため、電磁波レーダーによる探査で位置を把握し、損傷リスクを事前に回避している。
さらに、薬液漏えいがあった場合の水質影響を常時監視するため、施工箇所下流側に水質監視孔を設置し、水素イオン濃度(pH)の監視を行っている。
品質管理では、浸透固化注入後に事後調査ボーリングを実施し、一軸圧縮強度試験で規格値110 kN/m²を超える強度及び土中のシリカ含有量を確認。
これらの結果は、設計段階で想定していた地盤改良の効果が得られていることを確認するうえで重要な指標となっており、施工中の計測データとあわせて今後の同様工事の参考資料として活かされることが期待されている。
また、作業員の役割分担や緊急時対応も徹底され、安全管理と品質担保の両面で丁寧な取り組みが続けられている。
(写真提供:株式会社山田組)
いのちとくらしを守る、未来の空港整備モデルへ
新千歳空港の滑走路地盤改良工事は、空港の安全性向上と災害時の機能維持を目的とした取り組みであり、北海道における空港の役割と国土強靱化を支えるものとなっている。
千歳市 企画部 空港政策課 課長の中村 拓也氏も「『北海道の空の玄関口』である新千歳空港の整備は、周辺地域はもとより、北海道内全域の活性化・強靱化に直結する重要な事業だと捉えており、国土強靱化基本法に基づいて策定している千歳市強靱化計画においても、空港の耐震化や機能強化は重要な柱として位置付けています」と、自治体の視点から空港の役割を語り、「国や北海道エアポートと連携しながら整備を促進していきたいです」と続けた。
さらに中村氏は「大正15年に当時の村民が勤労奉仕のもと着陸場を手作りしたのが、千歳の空港の始まりと位置づけています。令和8年がちょうど空港開港100年の節目になりますので、出前講座や記念行事を通じて、空港があることの誇りや歴史を次の世代に伝えていきたいと考えています」と、空港とともに歩んできた地域の思いを語った。
新千歳空港で得られた知見は、空港整備や地盤対策を検討する際の参考の一つとなり、他の空港やインフラにおいても、同様の条件を検討する際の材料として役立つ可能性がある。
夜間施工や安全管理、品質確保など、空港運用との両立を図りながら進められた新千歳空港での取り組みは、災害時でも空港機能を維持するための実務的な工夫が詰まった事例といえる。
本事業から得られた知見は、災害に強い国土づくりを検討するうえでの技術的な蓄積の一つとなり、今後の防災施策を考える際の参考として活かされることが期待される。
(写真提供:北海道開発局札幌開発建設部)
取材にご協力いただいた方
※取材内容、所属、役職は取材当時(2025年11月)のものです。
- 国土交通省 北海道開発局 札幌開発建設部 千歳空港建設事業所
所長 伊東 敦史氏 - 千歳市 企画部 空港政策課
課長 中村 拓也氏 - 株式会社山田組
常務取締役 田端 徹也氏
現場監理技術者 井塚 洋樹氏
