盛土・宅地防災

大規模盛土造成地の滑動崩落対策について

【概要】

 2004年(平成16年)新潟県中越地震や2011年(平成23年)東北地方太平洋沖地震等において、谷や沢を埋めた造成宅地又は傾斜地盤上に腹付けした大規模な造成宅地において、盛土内部を滑り面とする盛土の大部分の変動や、盛土と地山との境界面等における盛土全体の地滑り的変動(滑動崩落)が生じ、造成宅地における崖崩れ又は土砂の流出による被害が発生しました。
 このような大規模盛土の滑動崩落への予防対策を進めるためには、地方公共団体が変動予測調査を実施し、その結果を公表することで住民の滑動崩落被害に関する理解を深め、地方公共団体等において危険箇所の滑動崩落防止工事を進めていくことが重要です。国土交通省では、「宅地耐震化推進事業」において、この取り組みを支援しています。

 ・ 宅地耐震化推進事業ページ


1.大規模盛土造成地とは

 宅地を造成する場合、切土と盛土を組み合わせる手法が一般的です。盛土造成地には、谷埋め型盛土や腹付け型盛土等があり、谷埋め型盛土は、谷や沢を埋めたてていることから、盛土内に水の浸入を受け易く形状的に盛土側面に谷部の斜面が存在することが多いという特徴があります。一方、腹付け型盛土は、傾斜地盤上の高さが高いという特徴があります。これらの盛土造成地のうち、以下のいずれかの要件を満たすものを大規模盛土造成地と呼びます。
  
  1) 谷埋め型大規模盛土造成地 : 盛土の面積が3,000平方メートル以上
  2) 腹付け型大規模盛土造成地 : 盛土をする前の地盤面の水平面に対する角度が 20 度以上で、 かつ、盛土の高さが 5 メートル以上


 

2.大規模盛土の滑動崩落とは

■谷埋め型大規模盛土造成地
 谷を埋めて宅地用の平坦面を確保した 「谷埋め型大規模盛土造成地」 においては、主として地震時に宅地造成前の谷底付近や盛土内部を滑り面として、盛土造成地全体、または、大部分が斜面下部方向へ移動します。

  ●谷埋め型大規模盛土造成地で発生する滑動崩落のイメージ



■腹付け型大規模盛土造成地
 傾斜地盤上などにおいて高い盛土を行った 「腹付け型大規模盛土造成地」 においては、主として地震時に盛土造成地全体、または、大部分が斜面下部方向へ移動します。

  ●腹付け型大規模盛土造成地で発生する滑動崩落のイメージ


3.過去の被害事例

 (1) 1978年 宮城県沖地震の事例 (谷埋め型大規模盛土造成地)
 (2) 1995年 兵庫県南部地震の事例 (谷埋め型大規模盛土造成地)
 (3) 2004年 新潟県中越地震の事例 (腹付け型大規模盛土造成地)
 (4) 2011年 東北地方太平洋沖地震の事例 (谷埋め型大規模盛土造成地)


4.大規模盛土の滑動崩落に関連するマニュアル

 ・ 盛土等防災マニュアル
 ・ 大規模盛土造成地の滑動崩落対策推進ガイドライン及び同解説
 ・ 「早期に第二次スクリーニングを実施すべき盛土の考え方」の解説
 ・ 大規模盛土造成地の経過観察マニュアル
 ・ わが家の宅地安全マニュアル

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