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委員長記者会見要旨(令和4年8月23日

令和4年8月23日(火)14:00~14:15
国土交通省会見室
武田委員長

発言要旨

 運輸安全委員会委員長の武田でございます。
 ただいまより、8月の月例記者会見を始めさせていただきます。

1.事故等調査の進捗状況  

 はじめに、前月の定例会見から新たに調査対象になった事故及び重大インシデントは、8月15日に愛媛県から広島県に向かっていた回転翼航空機が広島県の神石高原町(じんせきこうげんちょう)内の仙養(せんよう)ダム付近の沢に墜落し、操縦していた方が亡くなられた事故、及び同じく15日に埼玉県の妻沼滑空場の上空で発生した、滑空機を曳航していた小型機から曳航索が落下した重大インシデントの2件です。

 運輸安全委員会では、いずれの事案についても翌16日に航空事故調査官を現地に派遣し、調査を開始しています。また、このうち、神石高原町内で発生した回転翼航空機の事故では、これまでに墜落現場において機体の状況等の調査を行い、大破の状態であることが確認されております。

 事故等調査の進捗状況については、資料1をご覧ください。

2.運輸安全委員会設置法施行規則の一部改正   

 次に、運輸安全委員会設置法施行規則の一部改正を含む、「航空法施行規則等の一部を改正する省令」が、7月29日に公布されましたので、概要をご報告いたします。

 昨年6月に公布された「航空法等の一部を改正する法律」により運輸安全委員会設置法が改正され、当委員会では新たに、無人航空機の事故等の調査を行うこととなりました。

 今回の運輸安全委員会設置法施行規則の改正は、この法改正を受け、当委員会が調査対象とする無人航空機の事故等の内容を定めるものです。

 具体的には、社会に及ぼす影響や、再発防止に対する社会的要請の大きさ等を踏まえ、
・死亡・重傷事故
・実際に人がいる建造物などの破壊や、電気・通信・交通施設などの運営に支障を及ぼしたもの
・航空機との衝突・接触や、そのおそれがあった事態
などを定めております。
 施行は本年12月5日となりますが、当委員会としては、無人航空機についても調査を適確に実施し、事故の再発防止、被害の軽減にしっかり取り組んでまいりたいと考えております。

3.安全啓発資料の公表   

 最後に、当委員会の函館事務所と那覇事務所が作成した安全啓発資料の公表についてご報告します。お手元の資料2及び3をご覧願います。

 当委員会の函館事務所では、函館を代表する漁業であるいか漁が最盛期を迎えていることから、「いか一本釣り漁船」の事故防止に向けて、同事務所が調査した「いか一本釣り漁船」の事故等の半数以上を占める「衝突事故」と「火災事故」について、調査報告書を基に事故防止のポイント等を取りまとめた安全啓発資料を作成しました。

 また、那覇事務所では、これから沖縄がモズクの種付けシーズンを迎え、潜水器材を使用した作業が増えることから、令和2年に沖縄県で発生した潜水器漁業に係る死亡事故2件の調査報告書を基に、潜水器材の点検及び保守整備の不足といった事故の原因を分かりやすく解説し、潜水器材の取扱い上の注意事項等について取りまとめた安全啓発資料を作成しました。

 本日、私からは以上です。
 何か質問があればお受けします。

4.質疑応答

(知床半島沖旅客船浸水事故関係)

問: 知床の観光船事故について、先日、運輸安全委員会から海事局にGPSプロッターの解析結果など情報提供されました。基準経路を外れていたり、携帯が圏外だったりと、そのあたりの情報に対しての評価と、事故当時積んでいたGPSプロッターの解析だとか、今後の調査のスケジュール等可能な範囲で教えて下さい。
答: 今月10日に海事局に対して情報提供を行いました。運輸安全委員会では、事故等調査の過程において、事故等の防止並びに被害の軽減を図るために有益な情報を認めたときは、関係行政機関等に対して、情報提供することとしております。本事故においても、これまでの調査の過程において、過去の航行状況に関する事実情報など、今後の安全対策に有益な情報を認めたことから、海事局に対し情報提供を行ったものです。
 国土交通省の事故対策検討委員会においては、7月14日に中間とりまとめが出され、最終とりまとめに向けて引き続き検討が進められているわけですが、その中で活かしていただきたいと思っておりますし、今後も、調査が進む過程で得られた情報のうち、事故の防止や被害の軽減の観点から有効と考えられられるものについては、積極的に情報提供を行っていくこととしております。
 GPSプロッターについてですが、提供した情報は事故前の航跡です。ご質問の事故時の航跡につきましてもどこを航行していたのか可能な限り調査をしているところです。内容については調査中なので、説明は差し控えさせていただきます。

問: 引き続き、知床の関連で聞きたいのですが、今後も情報提供が必要であれば、とのご発言がありましたが、船体調査を踏まえた情報提供というのが今後行われるという理解でよろしいでしょうか。
答: 先月の会見でもお話ししたとおり、7月25日から船体、装備の調査を行っております。本船は浸水して沈没したわけですから、何故、どのようにというファクターが重要であり、それに関して、事実情報として把握ができて、早期に情報提供を行った方がいい情報と思われる場合には、積極的に情報提供を行っていくことにしたいと思っておりますが、経過報告になるかどうかはよく考えていきたいと思っています。特に、国土交通省の事故対策検討委員会においては、今年中に最終とりまとめを行うと聞いていますので、それに資する情報を提供できるように努力しているところでございます。体制についても、調査官を10人規模とし、また委員も、総合部会において海事の委員だけではなく他のモードの委員の知見も得るなど、努力して進めていきたいと思っております。

問: 秋口あたりに事故対策検討委員会も再開されると聞いていますが、スケジュール的にもそれを意識しながらということでしょうか。
答: 可能であれば検討に間に合うようにしたいと思います。「できる」と、確実に言うことはできませんが、体制も含めて頑張っていきたいと思っています。

(広島県神石高原町内ヘリ墜落事故関係)

問: 神石高原町のヘリの墜落事故のことで伺いたいのですが、調査の進捗状況と、現時点で原因として考えられることがあれば教えていただきたい。
答: 8月15日に広島県神石高原町内において、人員輸送を終えて場外離着陸場へ向かうヘリコプターが墜落し、機長がお亡くなりになった事故でございます。当委員会は当日午後に発生の通報を受けて、翌日に2名の航空事故調査官を現地に派遣し、事故現場周辺の状況の確認、機体の損壊状況の確認、目撃者、関係者からの聞き取りなどの調査を行いました。これまでの調査においてローターの変形、胴体の大きな損傷、機体の大破した状況を確認しております。今後更に詳細な調査、当時の気候の状況、機体の整備状況など情報収集を進めてまいりたいと思っています。

問: 機体のオイルの状況、タンクがどうなっていたか、ガス欠がどうだったか、そのあたりはわかっているのでしょうか。
答: 現場の機体の損傷状況について確認をしておりますが、その状況については、現在、深く調査中ですので、調査の進捗としてはお答えできない状況です。

問: 今回のヘリについて、昨年3月に長野県内で不時着していたヘリと同じ型の機体だということですが、この関連について調べる方向とかは如何でしょうか。
答: 長野県で発生した事故についても同型のヘリコプターと認識しております。調査の中で同種の原因など、関連性があれば、当然、調査の中で関連付けて進めていきたいと考えております。

問: 現時点では、まだわからないということですか。
答: 現時点では関連付けているものではございません。

問: 今後、調査する上でどのあたりを重視してされるとかあるのでしょうか?
答: 機体が大破した状況でありますが、整備状況も含め、機体の状況をしっかりと確認していきたいと思っています。

資料

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