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委員長記者会見要旨(平成24年7月25日)

平成24年7月25日(水)14:00~14:40
国土交通省会見室
後藤昇弘委員長

発言要旨

 運輸安全委員会 委員長の後藤でございます。ただいまより、7月の定例記者会見を始めさせて頂きます。
 それでは、本日はお手元の資料にありますように、事故調査の進捗状況として、航空、船舶の案件をそれぞれ1件、勧告に基づき講じられた措置として、カッター転覆事故及び貨物船 SINGAPORE GRACE作業員死亡事故に係る実施計画、ケミカルタンカー青鷹沈没事故に係る意見に基づき講じられた施策、第3回業務改善有識者会議の開催の順にご報告いたします。

1.事故調査の進捗状況

(1)日本エアーコミューター所属ボンバルディア式DHC-8-402型、個人所属セスナ式TU206G重大インシデント

 まず最初に、福岡空港で発生しました重大インシデントの調査状況を報告いたします。資料1をご覧下さい。
 本件は、平成24年7月8日、個人所属セスナ式172RG JA4178が、管制官から着陸許可を受け福岡空港の滑走路34に進入中、日本エアコミューター株式会社所属ボンバルディア式DHC-8-402型JA847Cが、管制官から滑走路へ入って待機するように指示を受け同滑走路に進入したため、重大インシデントとなったものです。
 今までに、航空管制官及びパイロットへの口述聴取、管制塔の現場調査などを実施しています。
 今後は、DFDR、レーダーデータ及び管制交信記録の解析、福岡空港の運用状況、さらに、今年4月に公表した重大インシデント報告書の再発防止策などとの関連について調査を実施する予定です。

(2)旅客船第三あんえい号旅客負傷事故及び第三十八あんえい号旅客負傷事故関係

 次に、6月末に発生しました「旅客船における旅客負傷事故」について、現時点での調査状況を報告いたします。資料2をご覧ください。
 事故は、6月末に、2件立て続けに発生しています。
 1件目の旅客船第三あんえい号旅客負傷事故についてですが、資料の1頁目の「1.1」をご覧ください。
 旅客船第三あんえい号、以下3号と言いますが、3号は、船長及び甲板員1人が乗り組み、旅客39人を乗せ、石垣島を出港し、仲間港でさらに旅客17人を乗せた後、波照間島に向けて航行中、6月24日(日)12時50分ごろ、仲間港南方沖において、船体が縦に動揺した際、前部客室の前方に座っていた旅客1人(男性)が、衝撃により腰椎圧迫骨折を負ったというものです。
 続きまして、2件目の旅客船第三十八あんえい号旅客負傷事故についてですが、資料の2頁目の「1.2」をご覧ください。
 旅客船第三十八あんえい号、以下38号と言いますが、38号は、船長及び甲板員1人が乗り組み、旅客66人を乗せ、石垣島から波照間島に向け航行中、6月26日(火)09時20分ごろ、仲間港南西方沖において、船体が縦に動揺した際、前部客室の前方に座っていた旅客1人(女性)が、衝撃により腰椎圧迫骨折を負ったというものです。
 3号及び38号の運航会社は、沖縄県石垣市にあります有限会社安栄観光です。6月の会見でも紹介しましたとおり、同社に対しましては、平成21年4月に沖縄県西表島北東方沖で発生した旅客船第九十八あんえい号、以下98号と言いますが、旅客負傷事故の調査結果を受け、旅客の安全を確保するために講ずべき措置について勧告を行ったところであり、先月、その勧告に基づく措置の完了報告を同社から受けたばかりで、引き続き、より一層の安全向上に努めていただくことを願っていた中での事故となり、大変遺憾に思うところでございます。
 今回の2件の事故は、前回の98号の事故とは航路が異なり、ともに石垣島から波照間島に向けて航行中、西表島の南方又は南西方沖において発生していますが、いずれも船体が縦に動揺した際に前部客室の前方座席に着座していた旅客が、衝撃により腰椎圧迫骨折を負ったという状況は、前回の98号の事故と同様です。
 運輸安全委員会としましては、改めてこれら2件の事故原因を究明すべく引き続き事故調査を進めていくとともに、旅客の輸送の安全を確保するため、事故原因に基づき、必要な再発防止策を講じていきたいと考えていますが、このような高速船に乗船される旅客の方への注意として、シートベルトの装備がある場合には、シートベルトを適切に着用すること、また、船体前方と比較して船体動揺が小さい船体後方に着座することは、事故の防止及び被害の軽減につながりますので、是非この点に留意いただきたいと思います。

(4)その他調査の進捗状況

 次に、現在、運輸安全委員会が調査を行っている事故及び重大インシデントの調査状況について、ご報告致します。説明は省略させて頂きますが、詳細は資料3をご覧下さい。

2.勧告に基づき講じられた措置

 次に、勧告に基づく措置の状況について、2件報告がありましたので、ご紹介いたします。

(1)カッター(船名なし)転覆事故に係る勧告に基づき講じられた措置(実施計画)

 まず、1件目は、平成22年6月18日に静岡県浜松市浜名湖で発生したカッターの転覆事故についてでございます。資料4をご覧ください。
 本事故は、静岡県三ヶ日青年の家における中学校の野外活動授業として生徒18人及び教諭2人が乗船したカッターが、風波が強くなってとう漕困難となり、モーターボートにえい航されて帰航中、左舷側に転覆し、船内に閉じ込められた生徒1人が死亡したというものです。
 本調査結果につきましては、平成24年1月27日に調査報告書を公表するとともに、原因関係者である静岡県教育委員会に対し、カッター訓練の訓練中止基準、訓練方法及び危機管理マニュアルが適切な内容であるかどうかを点検し、必要に応じて是正させるとともに、カッターのえい航訓練を行わせることを勧告しました。
 また、静岡県との契約により三ヶ日青年の家を管理・運営する小学館集英社プロダクションに対しては、カッター訓練の訓練中止基準及び訓練方法が、訓練参加者の経験等を踏まえたものとなるよう見直しを行い、気象注意報発表時の訓練中止基準などについて指導マニュアルに定めること、カッター事故を想定した救助体制等を定めることなどを勧告しました。
 今般、静岡県教育委員会及び小学館集英社プロダクションから、勧告に基づき「講ずべき措置に関する実施計画」について、次のとおり報告を受けました。
 静岡県教育委員会については、カッター訓練の中止基準、訓練方法及び危機管理マニュアル、カッターが事故に遭遇し、えい航救助が必要となった場合の実施手順やその訓練計画等について、専門家や有識者の意見を踏まえて指定管理者である小学館集英社プロダクションが定めるよう指導するとともに、今後定期的にそれらの点検・是正を行っていくための体制を整備することなどについての方針を示したものとなっています。
 また、小学館集英社プロダクションについては、カッター訓練の訓練中止基準及び訓練方法の見直しを有識者等の意見を踏まえて策定すること、カッターのえい航救助体制や緊急時の連絡体制の強化に関する具体策の検討、職員の知識の向上のための具体策の検討についての方針を示したものとなっています。
 本実施計画による具体的な対応が完了した際には、再度、報告を受けることとしておりますので、その際には、あらためてお知らせします。

(2)貨物船SINGAPORE GRACE作業員死亡事故に係る勧告に基づき講じられた措置(実施計画)

 続きまして、2件目は、平成21年6月13日に大分県佐賀関港において、荷役作業中に発生した貨物船SINGAPORE GRACEの作業員死亡事故についてでございます。資料5をご覧ください。
 本事故は、本船が硫化銅精鉱の揚荷役のために佐賀関港の岸壁に係船中、作業員1人が荷役作業に当たるため、貨物倉内の梯子を降りている途中で倒れ、救助に向かった他の作業員3人のうちの2人も貨物倉内に倒れ、いずれも酸素欠乏症により、作業員3人が死亡したというものです。
 本調査結果につきましては、平成24年4月27日に調査報告書を公表するとともに、原因関係者である、精錬会社のパンパシフィック・カッパー(株)佐賀関精錬所、荷役会社の日照港運(株)に対して、貨物倉内での酸素欠乏症による事故の発生を防止するために講じるべき措置について勧告しました。
 今般、パンパシフィック・カッパー(株)佐賀関精錬所及び日照港運(株)から、勧告に基づき「講ずべき措置に関する実施計画」について報告を受けました。
 その内容は、両社の荷役に携わる全従業員に対して、硫化銅精鉱の性状、危険性について教育すること、安全、かつ確実に酸素濃度を計測できるよう教育することなどについて、その実施時期や教育の要点を示したものとなっています。
 本実施計画による両社の具体的な対応が完了した際には、再度、報告を受けることとしておりますので、その際には、あらためてお知らせします。
 なお、参考として資料6にお示ししておりますのは、化学物質の取扱いに起因して作業員や乗組員が死亡したと考えられる事故として、当委員会が最近報告書を公表したものです。この他にも、類似した原因により発生した可能性が考えられる事故として調査中のものも数件あることから、今回公表した本件の実施計画が同種の事故の防止に向けての一つの参考となればと願っております。
 以上、勧告に基づき講ずべき措置に関する実施計画を 2件ご紹介しましたが、原因関係者への勧告は、事故の再発防止や被害軽減のために講ずべき措置の実施を求めるものであり、それらが確実に実施され、安全性の向上につながっていくことが肝要であります。
 今般、勧告に求めた措置の実施が始まり、安全面で一歩前進した取組みが始まったということであります。今後とも当委員会としてはこのような取組みを重ねてまいりたいと考えております。

3.意見に基づき講じられた施策

(1)ケミカルタンカー青鷹沈没事故に係る意見に基づき講じられた施策

 次に、国土交通大臣に対して発出した意見に基づき講じられた施策について、1件報告がありましたので、ご紹介いたします。資料7をご覧ください。
 平成23年1月9日に新潟県佐渡市沖で発生したケミカルタンカー青鷹沈没事故につきましては、これまでに判明した事実を踏まえ、先月29日に経過報告を行うとともに、同様の事象による事故の未然防止の観点から、国土交通大臣に対して意見を述べたところです。

 今般、この意見を踏まえた措置として、国土交通省海事局は船舶所有者及び船舶運航者の所属する関係団体に対して、「貨物船等の安全確保について」通達し、波が打ち込む状態のときにバラストタンクに海水が流入するおそれがある船舶の空気管の管頭金物の保守整備について傘下会員に周知をお願いした旨の報告がありましたので、お知らせいたします。
 運輸安全委員会としましても、今回の意見を踏まえた事故防止対策が着実に推進され、事故の再発防止に寄与することを期待しております。

4.業務改善有識者会議(第3回)の開催について

 最後に、業務改善有識者会議の開催について申し上げます。今回で3回目になります。資料8をご覧下さい。
昨年7月に第1回会議を開催して以降、有識者委員の皆さまから、当委員会の業務改善に関する貴重なご意見をいただいております。おかげさまで、本年3月には、運輸安全委員会業務改善アクションプランを策定することができました。
 8月1日(水)の14時から16時に開催を予定している第3回会議では、業務改善アクションプランの実施状況をご報告するとともに、更なる業務改善に資するための新たな検討課題についてご相談し、ご助言をいただきたいと考えております。
 会議自体は冒頭のみカメラ撮り可といたしますが、会議終了後、有識者委員による記者会見を今回も予定しております。また、会議資料についても合わせてお配りする予定です。
 運輸安全委員会の業務改善はまだまだ道半ばではありますが、適確な事故調査の実施、適時適切な情報発信、被害者への配慮などの行動指針にしたがってこのアクションプランを着実に実施していくことにより、運輸の安全性の向上に貢献してまいりたいと考えておりますので、どうかよろしくお願い申し上げます。

 私からご報告するものは、以上です。
 何か質問等がございましたらお受けします。

5.質疑応答

(日本エアコミューター、個人 重大インシデント(福岡空港)関連)

問: 福岡空港での重大インシデントの件ですが、現時点で管制官の方からの聞き取りなどで新たにわかった問題点、原因についてお答えできる範囲でお願いします。
答: 現在調査中ですから、まだご報告できるものはありません。今年、4月に公表しました報告書の再発防止策との関連も、調べていきたいと思いますので、それも含めて調査中ということでご理解ください。

問: いつぐらいが目処でしょうか。
答: 福岡空港では過去にも2010年12月、2011年5月、それから今回と、3件起こっております。それらの関連も含めて、範囲を広げて調べたいと思っておりますので少し時間がかかるかなと考えております。何月頃になるかは、申し上げられません。ご理解頂ければと思います。

問: 福岡空港の滑走路誤進入で、先程2010年12月と2011年5月の事案をおっしゃっていましたが、2010年12月の事案は、管制官の指示に従わずに航空機側が進入した事案だと理解していますが違うのでしょうか。
答: そのような事案だったと思います。

問: 去年の5月の事案と今回の事案は、管制官のミスによるものとお考えですか。
答: その辺も調査しているところです。滑走路に入ってくる飛行機がいるということをなぜ忘れていたか、なぜ気が付かなかったか、そこが問題です。そこを突き詰めて調査していくということです。

問: 3件とおっしゃいましたが、最初の1件とあとの2件と性格が違いますよね。
答: 申し上げたのは、福岡空港で性格は違いますが、似たような重大インシデントが3件あるということです。

問: 範囲を広げて調べたいとおっしゃったのは、過去の事案も振り返って調査するということでしょうか。
答: そうです。

問: 去年の5月の事案で、運航表を使っていれば誤進入は防げたのではないかという指摘がありましたけども、今回の事案では、国交省に聞くと運航表を使っていたといわれています。使っていたけども立て込んでいて結局防げなかったといっています。その点からも、より踏み込んだ調査が必要なんじゃないかと思いますが如何でしょうか。
答: その辺も含めて調べたいと思います。

問: 当時、元暴力団の関係者の殺人事件の関係で、警察とか報道のヘリが立て続けに離陸したことが関係しているのでしょうか。
答: 関連があったかどうかも含めて調べたいと思っております。

問: 公表できることはないでしょうか。
答: まだ公表できるような内容は出てきておりません。

問: 実際に過去の事例とか他の航空機の関係とか、相手側に聞いた話などから、今回原因とまでは言えないと思うことでも、客観的な事実として整理されていることをお話し頂けますか。
答: 具体的に申し上げられることがあるかということですが、滑走路上に飛行機がいるわけですから、着陸してくる飛行機と衝突する危険性があったかということ、そういう危険性も含めて現在解析中であります。今のところは、幸いそれほど近接した状況ではなかったと考えております。それもまだ、今から解析を進めていかなければ、公に申すことはできません。今後、レーダーデータ、交信記録等の解析を併せて進めていきたいと考えております。

問: 管制官の口述聴取をされていますが、その結果で言えることはありますか。
答: 調べておりますが、まだ公表は出来ません。

(大韓航空及びユナイテッド航空機体動揺における乗客又は乗員負傷事故関連)

問: 7月5日に、大韓航空とユナイテッド航空の事故が起きて、結局これが運輸安全委員会と国交省の知るところになったのがかなり時間が経っておりますけども、例えばこういった海外のエアラインの事故とかは、もう少し速やかに情報を得たり、何らかの対策ということは出来ないのでしょうか。
答: おっしゃるとおりでありまして、7月10日(火)に韓国の航空事故調査機関から、本事故の発生位置が日本の領域内と推定されたことから、当方に情報の提供がありましたので、航空局へ確認を行い、航空局が当該航空会社、つまり大韓航空に確認した後に航空事故として認定し、当方へ通知があった状況であります。航空局への報告については、航空法の規定により機長には報告の義務があることになっております。当委員会としては、調査の速やかな着手、実施のために、事故発生の際には当該報告のルールに沿って速やかに報告して頂きたいと考えております。参考としてですが、7月12日付けで、航空局の安全部航空事業安全室から、日本国に乗り入れする外国人国際航空運送事業者あて「航空事故等が発生した場合の航空局への連絡について」により注意喚起が行われております。出来るだけ早い通知をお願いしているところです。実はこのようなことは時々あります。事故の発生場所の判定に時間がかかり、特に公海上か国の領海内かどうかが微妙な場合です。ただ、今回のような場所の疑いのないケースにおいて、連絡が遅れたことを考えてみると、やはり、領域の認識と、機長がどういうふうに報告するかということで、時々認識の齟齬があるような気がします。

(朝日航洋ヘリ発動機破損重大インシデント関連)

問: 7月8日にあった旭川でのドクターヘリの重大インシデントの関係ですが、タービンブレードに損傷がありましたが、当時調査官は溶けたのか落下したのか分からないというお話でしたが、現時点で損傷原因が分かっていることがありましたら教えてください。
答: 現時点では、機体を東京の方に輸送して、エンジンやタービンブレードの損傷状況を詳しく調べているところです。

問: 損傷原因はまだ、これからということですか。
答: はい。原因については、これから解析・分析していきます。

(航空大学校訓練機墜落事故関連)

問: 昨年7月の航空大学校の飛行機の帯広付近での墜落事故の件ですが、今月28日で丸1年たちます。現段階での進捗状況や、報告書の作成はいつ頃でしょうか。
答: 本件についてもまだ少し時間を頂きたいと思います。といいますのは、航空大学校関係では他にもいくつか事故が起きておりまして、全体としての問題があるのかないのか、そういうところも調査をしているところであります。少し視点の広いところまで調査していきたいと思っております。

問: まずは経過報告という形になる可能性もあるのでしょうか。
答: 経過報告を出す可能性もありますが現時点では未定です。

(あんえい号旅客負傷事故関連)

問: あんえい号の件ですが、立て続けに事故発生ということで、航路上に何か問題があるのでしょうか。事故が起きやすい場所ですとか。
答: あんえい号の前回の事故では、船長が大波の接近に直前まで気が付かずに航行していたことや、同社が乗組員に対し運航基準等について適切な安全教育を行っていなかったことが事故発生に関与した可能性があると考えられたことから、必要な再発防止策として、講ずべき措置について勧告を行いました。運輸安全委員会では昨年12月、勧告に基づき、講ずべき措置の実施計画について同社から報告を受けたところでありまして、また、先月、同実施計画に沿った措置の状況として、安全運航等についての安全教育、荒天時安全運航マニュアルの作成と遵守等の対策を実施した旨の完了報告を受けました。これについては先月の会見でご紹介しましたとおり、勧告の内容を反映したものとなっておりますが、併せて、今後も引き続き、より一層の安全向上に努めて頂きたいことを申し上げたところであります。同社が講じた措置の実施状況については、報告の都度、同社にも確認を行ってきたところですが、今回発生した事故については、これら勧告に基づく措置の実施状況も踏まえて調査を進め、関連性等、原因究明を行っていきたいと思っているところです。

(カッター(船名なし)転覆事故に係る勧告に基づき講じられた措置関連)

問: 浜名湖のカッター事故についてですが、今回出された実施計画書の中で、特にこの事故を象徴するような特徴的なことが何かあるかということと、以前、こういう計画書は報告された時点で公表するというようなお話を聞きましたが、公表というのはされるのでしょうか。
答: 提出された実施計画書については、原因関係者が勧告の趣旨を踏まえて、必要な改善をどの様に実施していくかということの方針をまとめて作成されたものと考えておりまして、この実施計画の内容を確実に実施して頂くこと、これが大事だと考えております。当委員会としては、タイムリーで積極的な情報提供の一環として、委員会が発出した勧告等の対応状況についても、適時適切にご紹介することとしているところでありまして、原因関係者が勧告を受けて、今後、どのような対応をとろうとしているのか、また、対応がなされたのかをその都度ご紹介していくことによって、同種の活動や事業をされる方々への再発防止のための情報提供になる、ということを考えて、国民や利用者の皆様にも、当該事業に関わる安全対策の状況をお知らせすることができると考えております。3月に出された実施計画書は考え方に多少の違いがありまして、荒天時の訓練の中止基準等について、現時点までにまとめた案を基に、今後点検・見直しを行っていくという考え方が提示されたわけでありますが、当方としては、これらの基準等の策定については慎重に検討を行うべきものであり、その検討の道筋、どの様な内容についてどのような体制で、いつまでに検討するかというようなことを事前に整理しておくことが実施計画であると考えておりまして、その点で相違があったということで、改めて計画書を出し直してもらったような次第であります。
 今回の実施計画書は、ホームページでも本日から掲載します。

問: 実施計画書の中で、特にこの事故の再発防止について、特徴的なことは何かありますか。
答: 特徴的なものは、(株)小学館集英社プロダクションが県から委託されて事業を行っているわけですが、こういう事業計画そのものについて双方の認識の共有が大事なところがあったということだろうと思います。原因関係者である静岡県教育委員会、(株)小学館集英社プロダクションから3月末に提出されたわけでありますが、実施計画の作成の考え方について確認させて頂き、当方の意図といくらか相違するところが先程申しましたように認められました。勧告に対する具体的な対応策をまとめる方向性について整理していただくものであるという当方の実施計画の考え方をご説明し、双方で認識を共有したところです。そういうことで、計画の受け止め方について、こちらの考え方と相手側の、考え方の違いがあるのではないか、その辺の擦り合わせをしたということが大事だと思います。

(天竜川川下り事故関連)

問: 昨年夏の天竜川の川下り船の事故の件ですが、来月で1年になります。調査のその後の進捗状況と、最終報告書がまとまる時期は如何でしょうか。
答: 天竜川の事故については、現在とりまとめの作業中で報告書の作成準備に取りかかっているところであります。公表の時期については、これから審議等を重ねて参りますので、いつということは申し上げられませんが、出来るだけ早く出すよう努力していきたいと思います。

問: 以前、年内に公表というお話があったと思いますが。
答: 努力したいと思います。

(自動車事故調査実施に係る検討について)

問: 高速ツアーバス事故の関係で、事業用自動車の事故に関して、運輸安全委員会の方で調査対象にするかどうか検討するというような話もあったかと思いますが、その検討というのは今は進捗状況としてどのような形でどうなっているのかというのを知りたいのですが。
答: 大変難しい問題ですけども、自動車事故調査については現在我々の業務範囲には含まれていないわけです。「高速ツアーバス等貸し切りバスの安全規制の強化について」が国土交通省政務三役会議で決定されて、その中で「運輸安全委員会の調査対象の見直し(特に重大な事業用自動車事故等)」それらについては「引き続き検討すべき事項」とされていると、これはご承知のとおりだと思います。また、平成20年の運輸安全委員会設置法審議における衆・参付帯決議において、「業務範囲に自動車事故を加えるなど、運輸安全委員会の在り方について十分な検討を行うこと」とされていることを踏まえ、検討を行う必要があることはもちろん承知しております。現在、重大な事業用自動車事故等についての要因分析は、自動車局において行っておりますので、政務チームのとりまとめを受けた検討は、自動車局においてなされていると我々は聞いております。運輸安全委員会としても、自動車局における検討状況を踏まえつつ、十分連携・協力しながら検討して参りたいと考えております。具体的にこうするという申し上げ方は今は出来ません。

問: 自動車局の方で検討するのですか。第三者委員会である運輸安全委員会の独立性を考えるとどの様な形になっているのかなと思ったのですが。
答: つまり、現在の運輸安全委員会に自動車の専門家はいないわけです。ですからまずは国交省で検討されており、その上で、我々が、何が出来るかということを検討していくものと思います。

以上

資料

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