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委員長記者会見要旨(平成26年5月28日)

平成26年5月28日(水)14:00~14:53
国土交通省会見室
後藤昇弘委員長

発言要旨

 運輸安全委員会委員長の後藤でございます。
 ただいまより、5月の月例記者会見を始めさせていただきます。
 
 それでは、本日は、お手元の資料にありますように、3モードにおける事故等調査の進捗状況一覧と、勧告に基づき講じられた措置として2件、また、先日、私が出席しました国際運輸安全連合(ITSA)委員長会議の概要の順にご報告させていただきます。
 

1.事故調査の進捗状況報告

(ピーチ・アビエーション(株)所属エアバス式 重大インシデント)

 はじめに、4月28日(月)に、那覇空港においてピーチ・アビエーション所属のエアバスインダストリー式A320-214型の航空重大インシデントが発生致しました。
 重大インシデントの概要ですが、4月28日、那覇空港RWY18に向けPAR進入中のピーチ・アビエーション252便が対地接近警報装置(EGPWS)が作動したこと等によりゴーアラウンドを行いました。当該機には、乗員・乗客計59名が搭乗しておりましたが、負傷者はありませんでした。
 調査の状況ですが、本重大インシデント発生後、速やかに調査官を、同社の本社がある関西国際空港及び那覇空港に派遣し、初動調査を行いました。
 機長、副操縦士、客室乗務員及び管制官から口述聴取、機体の調査、管制機関における調査を行い、管制交信記録、レーダー航跡記録等を入手しました。また、飛行記録装置(DFDR)及び対地接近警報装置(EGPWS)からのデータのダウンロードを行いました。CVRの記録につきましては、上書きされ有用なデータは残っておりませんでした。
 当委員会は、入手した資料を整理しながら、調査を行っておりますが、本重大インシデントの調査にあたって、どのような状況下で降下が始まり、何故ゴーアラウンドに至ったのか、また、管制指示及び操縦室内の状況等について明らかにしていきたいと考えております。
 先にも申し上げましたが、本重大インシデント発生前後のCVRの記録がなく、操縦室内の状況を示す直接的な記録がないことから、DFDRのデータ及びEGPWSのデータの解析調査、管制交信記録、レーダー航跡記録の解析調査、気象データ等の解析を進め、操縦士及び管制官の口述の内容とを慎重に突き合わせし、操縦室内の状況を確認する必要があります。
 現時点では、これら入手した資料、データを慎重に分析している段階であり、また、今後必要に応じて操縦士等から追加的な口述調査を行う可能性もあります。そのため、関連するデータや関係者の口述内容等、さらには、それらの突き合わせが済んでいない段階で、DFDRのデータのみを公表することは、誤った憶測を生むおそれもあり、現時点ではDFDRのデータをお示しすることは控えさせて頂きたいと考えております。皆様のご理解をお願い致します。

(調査の進捗状況一覧)

 続きまして、現在、運輸安全委員会が調査を行っている事故及び重大インシデントの調査の進捗状況についてですが、詳細は資料1をご覧ください。

2.勧告に基づき講じられた措置

 次に、勧告に基づく措置の状況について、航空関係2件をご紹介いたします。
 

(1)個人所属富士重工式FA-200-180型機の重大インシデントに係る勧告に基づく完了報告

 1件目ですが、平成24年11月25日に発生した個人所属富士重工式FA-200-180型JA3686の着陸時の滑走路逸脱による重大インシデントについてでございます。資料2をご覧ください。
 本重大インシデントは、個人所属機が鹿児島県の薩摩硫黄島飛行場着陸時に左ブレーキが効かなくなり滑走路を逸脱し、草地の中を進み前転して背面状態で停止したというものです。同乗者1名が軽傷を負っております。
 本重大インシデントの調査結果につきましては、平成26年1月31日に調査報告書を公表するとともに、原因関係者である富士重工業株式会社に対して勧告を行いました。
 今般、同社から勧告に基づく措置の状況として、ブレーキマスターシリンダを分解時にはOリングを交換すること、また、1000飛行時間または5年のいずれか早い方で交換することとし、サービスマニュアルを変更した旨の完了報告がありました。
   

(2)航空大学校帯広分校所属ビーチクラフト式A36型機の航空事故に係る勧告に基づく完了報告

 2件目ですが、平成23年7月23日に発生した航空大学校帯広分校所属ビーチクラフト式A36型JA4215の山腹への衝突事故についてでございます。資料3をご覧ください。
 本事故は、訓練飛行のため帯広空港を離陸し、訓練を実施中、北海道河西郡芽室町剣山の山腹に衝突し、機長を含む教官2名及び学生1名の計3名が死亡し、学生1名が重傷を負ったというものです。
 本事故の調査結果につきましては、平成25年12月20日に調査報告書を公表するとともに、原因関係者である航空大学校に対して勧告を行いました。
 今般、航空大学校から、勧告に基づく措置の状況として、
・ちゅうちょなく助言できる開かれた教育環境の構築のため、アサーションに関する教育を実施するとともに、操縦室内の状況を把握するため、機内の音声を録音するICレコーダーの持ち込み制度を実施するなど訓練の実施要領の見直しを行ったこと、
・三校の合同安全委員会や、ヒヤリハットレポートの報告を受け付ける専門のグループを設置するなど安全管理体制の強化を図ったこと、
・また、以上を踏まえた中期計画の改訂を行うとともに、安全目標値を設定するなど平成26年度計画に反映した旨の完了報告がありました。
 これらにつきましては、勧告の内容を反映したものになっておりますが、今後とも引き続き、より一層の安全性向上に努めていただきたいと思います。

3.国際運輸安全連合(ITSA)委員長会議

 最後に、国際運輸安全連合(ITSA)委員長会議の報告を致します。
 先日、各有識者委員のご了解を得て、再改訂・公表しました業務改善アクションプランにおきましては、「事故等調査の更なる充実・高度化」、「事故等調査の成果の活用推進」、「事故等調査に係る国際連携・国際協力の推進」を、今後、重点的に取組むべき課題として追加しております。
 今般のITSA委員長会議では、この一環として、「船舶事故ハザードマップ・グローバル版」について、紹介してきましたのでご報告させていただきます。
 ITSA(International Transportation Safety Association)は、1993年にオランダ、アメリカ、カナダ、スウェーデンの事故調査機関により設立され、運輸全般の安全性向上等を目的とした運輸事故調査機関の国際組織であり、毎年、各国機関トップによる委員長会議を開催し、事故調査に関する幅広い意見交換、情報共有を行っています。
 2014年5月現在、ITSAには、16の国と地域が加盟しており、日本は2007年に加盟しております。
 今年の委員長会議は、5月4日から7日までニュージーランドのクイーンズタウンで開催され、アメリカ、イギリスの事故調査機関など、合計15の機関から27名の参加を得て会議が行われました。
 会議では、各国の活動状況についての報告が行われ、昨年の調査事例の紹介などについて、プレゼンテーションがあり、意見交換、情報の共有等が行われました。
 当委員会からは、航空・鉄道・船舶の各モードの事故調査件数、主要事故の紹介、英語版年報及びダイジェストの発行、踏切死亡事故に係る調査機能の拡充等について報告を行うとともに、先月の委員長会見でご紹介しました「船舶事故ハザードマップ・グローバル版」について、実際のデモンストレーションを交えながら、その機能等についてプレゼンテーションを行い、大変好評を得ることができました。
 「船舶事故ハザードマップ・グローバル版」につきましては、本年4月から運用が開始されたところですが、先月改訂された業務改善アクションプランにもあるように、今後とも、このような国際会議等の機会を利用して、海外の関係者にも積極的に紹介すること等により、更なる利用促進を図り、事故調査の高度化にも貢献するよう、取り組んでまいる所存であります。
 参考までに、4月における「船舶事故ハザードマップ」のアクセス数は4614でした。
 私からご説明するものは、以上です。
 何か質問等があればお受けします。

4.質疑応答

(ピーチ・アビエーション(株)所属エアバス式A320-214型重大インシデント関連)

問: ピーチ機の件で、2点お伺いします。今日でちょうど事故から一か月ということですけれど、調査の中で、操縦室内の会話が上書きされて、残っていなかったということなのですが、残っていなかったことによる調査への支障と、上書きされて残っていなかったという事態に対する委員長の受け止めについて教えて下さい。
答: CVRのデータが残っていないということについて、確かにCVRのデータが残っていれば非常に有用であると考えておりますけれど、一方、これがないと何もできないかというと、そういうことでもございません。今回、DFDRの記録は残っています。また、管制交信記録、乗務員の方からお話を伺っております。これらの情報を基にして、調査を進めていくということでございます。CVRが残されないというのは、時折ございます。例えば、国際線で長い時間飛ぶような路線で、途中で事故とか重大インシデントに遭遇した時に、緊急着陸する目的地まで距離が長い、時間がかかるということですと、CVRの時間というのは大体2時間というのが仕様になっていますので、それを超えたフライトがあると上書きされる可能性が高いということで、やむを得ないというケースも時折ございます。

問: そうすると、それほど大した支障はないという認識なのでしょうか。
答: 乗員の方がいらっしゃいますので、そういうところで追加的なお話を伺うとか、その他のデータを突き合わせすることで操縦室の様子は相当程度判明してくるのではないかと思っています。

問: CVRは当該重大インシデントのフライトに関しては、完全に残っていなかったのですか。
答: そのとおりです。

問: どの辺から入っていたのでしょうか。そのあと3回くらい飛んでいますが。
答: 調査に関係するかどうかというところに注目したので、どこから残っていたのかは把握していません。

問: DFDRについては出せないということですけれども、ピーチ・アビエーションが公表している事実がありますが、10キロぐらい手前で着陸態勢となり、5キロぐらい手前で海上から100メートルぐらいでEGPWSが鳴ったとか、事業者が公表している事実と異なる部分とかありますか。
答: 報道では、そのように聞いていますが、それも含めて確認作業中でもありますので、申し上げることはできません。ご了解いただきたいと思います。

問: 管制交信記録というのは、管制官側がしゃべったこととパイロット側の両方が入っているのですか。
答: 両方入っています。

問: PARの場合、コールバックをするなと言われていますが、それでも操縦室内の状況をうかがう手掛かりとなるような、機長や副操縦士の声は入っているのですか。
答: 管制官が航空機に送信した内容と、航空機が無線で管制官に送信した内容は残されています。

問: 管制交信記録とかDFDRは、どれくらいの時間をさかのぼって調べられるのですか。
答: DFDRは仕様上25時間が要件です。管制交信記録は航空局のほうが管轄しているので定かでありませんが、今回の事案に関係する部分は十分にカバーしています。

問: DFDRも管制交信記録も十分ですか。
答: そうですね、25時間記録できるので、十分収まっています。

問: 委員会で調べるのは、およそ何時間分ぐらいですか。つまり、降下の開始何分前、30分とか10分とかですか。
答: 記録は、入手しています。あとは分析の中でどこまで、必要と見極めるかということになります。

問: 先程幹事社からの、CVRが消えたことの委員長としてのご見解といいますか、ご意見があればという質問がありましたが、改めて委員長として何かありますでしょうか。
答: 当事者のパイロットも含めて運航者がどのように認識していたかということですね。その辺が調査の対象になりますので、そこは私から直接答えられないということです。

問: トラブル後に長期間飛行しなければならず上書きがされるという、やむを得ない場合であれば別として、今回の件は必ずしも飛行を続けなければならない事情がなかったと思われるフシがありますので、そういったケースに関して、早期のCVRの保存などを一般的に業界なども含めて求めるようなお考えなどはありますでしょうか。一般的に、トラブルが起きた時には、CVRは2時間しかないので、極力早期にCVRを確保して欲しいというような意見を、運輸安全委員会なり委員長として出すお考えはないでしょうか。
答: 後で重大インシデントあるいは事故になっていたことが判明したところ、CVRは消えていたということがあります。長時間とることが現実的にどうかということもありますが、過去の調査での状況あるいは今後のあり方について考え方をまとめたいとは思っております。具体的に、そういうものが現場で長時間とっておけるものか、大変難しいと思いますし、そういうことを含めて、議論をしたいと思います。

問: 旭川空港で同様に地上に異常接近した例があったと思うのですが、その時もボイスレコーダーの記録が上書きされて消えているということがあったと思います。報告書を見るとそれで支障があったという内容だったかと思うのですが、全く同じような事案が今回続いているので、そうすると何らかの手立てが必要なのではないかと思います。また今から議論してというのは、前回のは何だったんだ、という気がします。何らか航空業界に対して、例えば今であればメモリは2時間とはいわず何十時間も残せると思うのですが、何か勧告を出すようなことはないのでしょうか。
答: そうですね。それも踏まえて検討したいと思います。何とも申し上げられません。ただ、コックピットのボイスレコーダーというのは、いろいろなものが入っています。事故調査あるいは操縦に関連するものだけでないものがありますので、どこまで議論できるかというのは、大変難しいものがあります。それも含めて検討の対象にしたいと思います。CVRは事故調査にとって非常に大事な情報源でありますので、事故あるいは重大インシデントが起こったら直ちに停止して保全措置をとってもらうようにというのは、基本的に我々の考えです。そして、航空会社の規程の中でそのように定められているわけです。ただ個別の事案では必ずしもCVRが停止して保全されないケースは時々ありまして、個別的な事案が今回どういった事情に基づくものかというのは、今後の調査の中で明らかにしていきたいと思います。その評価も含めて、まだ今日はお話しすることは控えさせていただきたいと思います。

問: おそらく2時間というのは、ICAOの規程で世界中で一緒なのではないかと思うのですが。
答: CVRは、元々30分タイプだったのですが、技術革新によって2時間に延長されています。それから、マレーシア航空のようなことがあり、それをさらに延長しようという話があります。技術革新とともにDFDRにしろCVRにしろ、記録時間はだんだん長くしていく方向にありますし、我々もなるべく早く実現して欲しいと考えています。

(全日本空輸(株)所属ボーイング式787型重大インシデント関連)

問: NTSBがFAAの787バッテリーの安全性を認可した時の審査が不十分という勧告を出しましたが、JTSBの所感をお願いします。
答: このたびNTSBから発表されたものは、米国ボストンで発生したバッテリーの損傷事案に対するものでありまして、これは最終調査報告書とは別に行われたものであり、ボーイング787型機の設計製造国の事故調査機関としてリチウムバッテリーの証明プロセスについて、改善を勧告したものと理解しております。我々が扱っています高松空港の事案について、まだ部会の審議が終わっておりませんので、これとの関係についてはお答えすることはできません。NTSBの件につきましては、調査に関しては当委員会と緊密に連絡を取り合って行っているところでありますけれど、調査実施国として米国NTSBが行っているボストン事案の調査に基づいて行われたこのたびの安全勧告についてですが、我々からコメントするのはどうかと思いますので、控えさせていただきたいと思います。ご了解ください。

問: 審議中ということですが、現在の状況と今後の見通しを。それからNTSBの場合は製造国なので特殊ですが、JTSBのほうでも、報告書の公表前にそういった勧告をするような可能性というのはあるでしょうか。
答: 今回NTSBは報告書を出す前に勧告を行ったわけですけれど、それはsafety recommendationでして、必要なことは早めにやるということで、彼らはそのようにやっているわけです。私どもは、意見照会あるいは意見聴取後にその結果を審議することになっておりますので、そういう意味で、先ほど申しましたとおり、公表時期については、なかなか答えられないところがあります。できるだけ早期に調査報告書の公表をすべく全力で取り組んでまいりたいとは思っております。
 従いまして、部会の審議はまだ終わっておりませんので、調査報告書の内容に関することに対しては、まだお答えできないということをご理解いただきたいと思います。

問: 日本の高松事案は審議中ということですが、進捗状況はいかがですか。
答: 現在報告書の翻訳作業が終わりかけている段階ですので、今から意見聴取、意見照会に回し、その結果を受けて、再び審議をして、公表ができるということになります。まだ、ちょっと時間がかかるかと思います。

問: 国内、国外それぞれ意見照会に当たられると思いますけれども、それはもうすぐそれにかかるという意味合いですか。
答: 基本的に、国内のほうは意見聴取でこれは少し早くできるかなと思っておりますけれど、意見照会、特に国外に関しましては期限が60日ありますので、2か月くらい待っていただかなければなりません。6月初めとして、60日くらい余裕を見ていただき、それから答えに関して審議をやりますので、もう少し時間がかかります。

問: 審議をして、意見照会をして、また審議をするということですか。
答: そうです。

問: 意見照会は6月頭からですか。
答: 現在、原因関係者に対する意見聴取と関係国に対する意見照会のための翻訳作業と校正作業をやっている段階です、これが完了すれば、速やかに送付します。その後の手続きについては、外国については60日という先方のコメント期間がありますので、それで意見聴取先、あるいは関係国等から意見があれば、それをさらに審議していくという予定です。

問: この調査の進捗状況を書かれるときに、調査中があって、審議中があって、意見照会作業中となるわけですよね。
答: 調査中というのは、まだ報告書ができていない段階です。審議中に入ると、報告書の一応のひな型はできている、中身について議論して意見照会・意見聴取をやって、その答えを受けて、さらに審議をするということです。

問: 事故調査とは別に、運航再開されてから6月1日で1年になるわけですが、調査を進めている中、成田で同様の事案が発生した一方、トラブルも出尽くして安定してきているという意見も聞くのですが、この一年どのようにご覧になるでしょうか。
答: ボーイングは対策として改良を行いました。航空局でもそれを評価して運航再開が始まったわけです。その後、1件だけ成田でおっしゃるようなバッテリーのトラブルが起こったという以外には、今まで起こっていないわけです。
 ITSAの委員長会議の会場においてボーイング787型機の件でアメリカ側から特別な報告があるかと思っていましたが、進捗状況の報告のみであり、当委員会も進捗状況の報告を行いました。事故調査当局としては事故・インシデントの調査を進めていくしかないが、NTSBは最終的な報告書より先に勧告を行うことにより現状の改善に努めたのではないのかと思います。当委員会はできるだけ早く報告書を公表にすることに努めたいと思っております。
 当委員会は幅広く調査・審議を進めていますので、実際の事故の原因等や本質的な改善については、今後公表される調査報告書を見ていただきたいと思っております。

問: 安全勧告をJTSBでも出すということでしょうか。
答: NTSBで出された勧告の概要としましては、
第1.単一セルの過熱に起因する影響を正しく評価可能な試験方法の開発
第2.開発した試験方法を今後開発される航空機の証明へ適用
第3.第1での試験を行うに当たり、航空機に対する影響を最もよく模擬するようなセルの熱暴走を発生させる手法についてのガイドラインの作成
第4.リチウムイオンバッテリーを採用している現行機について証明内容をレビューし、必要に応じ第1の試験方法による再試験の実施
第5.リチウムイオンバッテリーに限らず、新技術の証明に当たって、第3者から構成されるパネル等の活用
との内容で5番目が最も重要だと思いますが、NTSBはボストン事案についてこのようにとらえていて、当委員会でも似たような事案についての議論をしているわけですが、今後の意見聴取、意見照会を経た審議後にどうするか決めることになると考えています。

問: 最終報告書の公表と同じタイミングで行うのですか。
答: 行うのであれば、そうです。

問: NTSBの安全勧告は抽象的で、FAA側も勧告を受け止め、進めていますという対応のようですが、このような内容であればもっと早い段階で勧告できたのではないですか。なぜこのタイミングで勧告をだしたのでしょうか。調査が難航しているということでしょうか。
答: NTSBの安全勧告に対しては、NTSBがボストン事案についての独自の調査に基づいて行ったものであり、一方、高松事案についての当委員会における調査及び審議は現在進行中であることから、当委員会からはコメントは差し控えさせていただきたいと思っております。

問: ボーイング787型機の件の意見照会先はNTSBだけですか。
答: NTSBを通して必要な関係機関へ照会します。フランスにも事故調査機関を通して意見照会を行います。

問: 当事者としてボーイング社や航空会社などに対しても行いますか。
答: お答えできません。

問: 高松事案に対しての関係先のみですか。ボストン事案に関連してJALなどには意見照会をしますか。
答: ボストン事案はNTSBが調査することですので、当該案件の意見照会はNTSBが決めることです。

問: 意見照会はまとめた報告書案について異議がないか聞くのですか。
答: 事実関係の内容の確認を含め行います。

問: NTSBを通して関係先に意見照会を行うということは、FAAやボーイング社からは意見の回答は来ますか。
答: MD-11機の事故の例でいいますと運輸安全委員会はNTSBに対して意見照会を行ったら、NTSBがFAAやボーイング社に意見照会を行い、NTSBが意見を集約して回答しています。ボーイング787型機も同じようなプロセスになると思います。

問: MD-11機の場合はFAAに対して安全性などについて意見照会をすべきとしたのですか。
答: MD-11機の場合はFAAに意見照会をすべきことがあったからですが、ボーイング787型機の件については公表前につき詳細の意見照会先は差し控えさせていただきます。

(沖ノ鳥島港湾工事作業員死傷事故関連)

問: 今日の夕方に沖ノ鳥島の事故で桟橋が鹿児島のほうに入ると第三者委員会から聞いているのですけれど、JTSBでは何か検討しているのですか。
答: 桟橋が錦江湾に曳航されているとの情報を、当方も入手しております。詳しい到着時間等がはっきりしておりませんので、すぐ調査ができるかどうかわかりません。桟橋のレグの取り外し作業等もあると聞いておりますので、作業状況を把握し、適切な時期に調査官を派遣して調査を行いたいと考えております。

問: 錦江湾での調査については、今後必要に応じてと言われましたが、例えばレグを外すとか何らかの分解作業に入ってしまうと、調査できなくなってしまうということも出てくるのではないかと思うのですが、早いうちに調べておく必要はないのでしょうか。それとも、現地であらかた調べているので、そこまでの必要はないということでしょうか。
答: 現地では洋上調査ということで、桟橋になかなか近寄ることができずに外見調査になりました。今回、錦江湾に入りますので、できる限り近づいて調査ができるのではないかと期待しております。また、レグの取り外し等いろいろな作業が入ってくると聞いていますので、それらの作業の進捗状況に合わせ、可能な範囲で調査を行いたいと思います。その後、北九州の方に桟橋を移動させるようなので、その際にも調査を続けていきたいと考えております。いずれにしましても、作業の進捗状況がはっきりわかりませんので、情報を入手して適切に調査官を派遣したいと考えております。

問: 気がついたら分解されていて調べられなくなっていた、というような事態にならないのでしょうか。
答: そのようなことのないように対処してまいります。

(JR京浜東北線列車脱線事故関連)

問: 川崎駅での京浜東北線の追突脱線事故について調査中ということですが、JR東日本が再発防止策を策定して、工事を再開したということですが、運輸安全委員会はどうお考えですか。
答: 当該事故につきましては現在調査中であるのでコメントは差し控えさせていただきます。

問: JR東日本の再発防止策や工事再開の安全性について運輸安全委員会は問題ないというような立場で意見交換などして関わりましたか。
答: JR東日本が独自に策定したものであって運輸安全委員会は関与していません。当委員会としては当該事故については調査、分析中です。

問: 工事再開の是非や再発防止策が十分なものかについての評価は委員長いかがですか。
答: 当委員会は実際に起きた事故やインシデントをもって評価していくのですが、JR東日本側は早く再開したいとの意向を持っていたと思います。運輸安全委員会としては詳細に調査を進めていき、現行の体制・手続きに改善が必要なのかも含め調査報告書の作成に努めたいと考えています。

問: 工事再開について問題とは思いませんか。
答: 調査報告書の公表を早くして工事再開前に指摘できればいいのですが、詳細に調査を進めていることから難しいところです。我々としてもできるだけ早く調査報告書を公表できるよう努めたいと考えています。

(航空大学校帯広分校所属ビーチクラフト式航空事故に係る勧告に基づく完了報告関連)

問: 航空大学校に対する勧告の件ですが、勧告の中でビデオカメラの設置を求めているのに対し、今回はビデオカメラの設置は難しいということで、ICレコーダーなどで代替することに、安全は担保されているという考えでいいですか。
答: 訓練中の音声をICレコーダーで録音する制度を開始していると報告され、ビデオカメラについても年度計画の中で調査・研究を行い、可能なものを取り入れていきたいとのことです。機内の広さ、ビデオカメラの重さ、大きさなど検討課題が多く、なかなか設置には時間がかかるのではないでしょうか。今般、当面の対応としてICレコーダーで録音する体制が整えられました。航空大学校では勧告を重大に受け止めていただいておりますので、今後の安全性を十分に考慮した教育に期待しております。

資料

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