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委員長記者会見要旨(平成26年6月25日)

平成26年6月25日(水)14:00~14:44
国土交通省会見室
後藤昇弘委員長

発言要旨

 運輸安全委員会委員長の後藤でございます。
 ただいまより、6月の月例記者会見を始めさせていただきます。
 
 本日は、お手元の資料にありますように、進捗状況等報告として、航空事故調査に関する情報提供を1件、また、勧告に基づき講じられた措置として2件、次に運輸安全委員会ダイジェスト第14号の発行、さらに、運輸安全委員会年報の発行についてご報告いたします。
 

1. 事故調査の進捗状況等報告

 はじめに、6月21日(土)11時7分頃、JR九州指宿枕崎線薩摩今和泉(さつまいまいずみ)駅~生見(ぬくみ)駅間において、走行中の列車が、線路内に流入した土砂等に乗り上げ、脱線いたしました。
 この事故により、乗客15名、乗員2名が負傷されました。一日も早いご回復をお祈りいたします。
 運輸安全委員会としては、本列車脱線事故の調査を行うため、発生当日、現地に鉄道事故調査官2名を派遣し、事故発生現場の状況、車両の状況等を調査するとともに、関係者からの聞き取り調査等を行いました。
 また、6月22日(日)4時15分頃、JR貨物の列車が江差線札苅(さつかり)駅構内(北海道上磯郡木古内町)において、非常ブレーキが動作して停止したため、運転士が確認したところ、列車が脱線しておりました。負傷者はありませんでした。
 運輸安全委員会としては、本列車脱線事故の調査を行うため、発生当日、現地に鉄道事故調査官3名を派遣し、事故発生現場の状況、車両の状況等を調査するとともに、関係者からの聞き取り調査等を行いました。
 今後、これらの調査により収集した各種データ等を分析することで、早期の原因究明に努めてまいりたいと考えております。

(航空重大インシデントに関する情報提供)

  続きまして、昨年11月16日に発生しました航空重大インシデントに関する情報提供について、資料1のとおり、すでに公表しておりますが、改めてご説明いたします。
 本事案は、本田航空所属コンチネンタル式TSIO-520-M7型エンジン搭載のセスナ式TU206G型機が、航空測量のため秋田県能代市の写真撮影現場に向かっていたところ、エンジン油圧が低下した後、エンジンが停止したため、秋田県秋田市の旧秋田空港跡地に不時着したものです。
 これまでの調査の過程で、一部の部品がエンジン本体から外れていたこと及びその状態でエンジンを試運転すると潤滑油が漏えいすることが判明しましたので、国内には同じ構造のエンジンを搭載した機体があることから、6月11日、国土交通省航空局へ情報提供をいたしました。
 その内容は、エンジンの潤滑油量を測定する際に用いるオイルゲージを構成するオイルゲージハウジング・チューブのホースがエンジン本体側のチューブから外れており、オイルゲージハウジング・チューブとエンジン本体側のチューブとをつなぐホースを締め付ける金具の位置がずれて締め付け帯がエンジン本体側へはみ出すとともに、ホースの接合部分が緩んでいたということです。
 当委員会からの情報提供を受け、航空局では航空事故防止の観点から当該情報の周知徹底を図るように、全日本航空事業連合会及び日本航空機操縦士協会に通知したと聞いております。
 なお、当該事項が本重大インシデントにどのように関与したかについては、引き続き調査を行ってまいります。

(調査の進捗状況一覧)

 続きまして、現在、運輸安全委員会が調査を行っている事故及び重大インシデントの調査の進捗状況についてですが、詳細は資料2をご覧ください。

2.勧告に基づき講じられた措置

 次に、勧告に基づく措置の状況について、2件報告がありましたので、ご紹介いたします。
 

(1)北海道旅客鉄道株式会社石勝線の鉄道重大インシデントに係る勧告に基づく完了報告

 まず、平成23年6月14日から16日にかけて、北海道旅客鉄道株式会社石勝線追分駅構内で発生した鉄道重大インシデントについてでございます。資料3をご覧ください。
 本重大インシデントは、赤色に表示されるべき信号が、緑色のままとなる事象が複数回にわたり発生したものです。本件による負傷者はいませんでした。
 本調査結果につきましては、平成24年11月30日に調査報告書を公表するとともに、原因関係者である北海道旅客鉄道株式会社に対して勧告を行いました。
 今般、北海道旅客鉄道株式会社から、勧告に基づく措置の状況として、異常発生時における対応に関する教育訓練の実施、及び、信号工事の施工体制等について再点検の実施と安全対策を講じた旨の報告がありました。
 この報告につきましては、勧告の内容を反映したものとなっております。
 同社におかれては、今後も引き続き、安全を第一とする取組みの充実を心懸けていただきたいと思います。

(2)三岐鉄道株式会社三岐線の鉄道重大インシデントに係る勧告に基づく完了報告(中間)

 次に、平成24年6月27日に三岐(さんぎ)鉄道株式会社三岐線東藤原駅構内で発生した鉄道重大インシデントについてでございます。資料4をご覧ください。
 本重大インシデントは、18両の入換編成がセメント工場専用線から東藤原駅構内の本線へ向けて走行中に、2両目機関車の前台車第1軸が脱線したというものです。本件による負傷者はいませんでした。
 本調査結果につきましては、平成25年10月25日に調査報告書を公表するとともに、原因関係者である三岐鉄道株式会社に対して勧告を行いました。
 今般、三岐鉄道株式会社から、既に対策が完了したインシデント発生箇所以外の類似箇所に関する対応として、測量による曲線諸元の明確化やこれに基づいた曲線改良の実施状況について中間的な報告がありました。
 この報告につきましては、勧告の内容を反映したものとなっております。
 なお、引き続き全ての類似箇所について措置が完了するまでの間、順次報告を受けることとしております。報告が提出されましたら改めてお知らせしたいと思います。

3.運輸安全委員会ダイジェストの発行について

 当委員会では、同種事故の再発防止を目的として、事故事例、統計に基づく分析などをまとめた「運輸安全委員会ダイジェスト」を作成しており、隔月で発行しております。
 本日、第14号として「船舶事故分析集 輻輳海域における衝突事故の防止に向けて」を発行し、当委員会のホームページで公表しました。
 ご参考に、本号の掲載ページを印刷した資料5をお配りしております。
 このような船舶間の衝突事故をテーマに、各種統計資料とともに事故調査事例を4つ紹介しています。
 本号では関門航路や明石海峡航路など船舶が輻輳する主要航路の出入口付近の海域などを対象にしましたが、対象海域では一般海域に比べ、貨物船やタンカーによる事故発生の比率が高くなっています。
 また、その原因としては、他船はいないだろう、相手船が避けてくれるだろうといった思い込みが関与するケースが多いことなどが分かりました。
 関係者の皆様に周知することにより、同種事故の未然防止に資することを期待しています。

4.運輸安全委員会年報2014の発行について

 本日、「運輸安全委員会年報2014」を発行しましたので、ご案内いたします。
 お手元に年報を配布させて頂きましたのでご参照下さい。
 本年報は、昨年1年間の当委員会の活動状況をコンパクトに取りまとめたものでございます。国民の皆様には、当委員会のホームページから、全文ダウンロードできますので、各方面でご活用いただければ幸いでございます。
 昨年は7月に発行していたものですが、可能な限り早く公表したいとの思いから1ヶ月早く公表することといたしました。
 冒頭の特集では、「事故調査の成果活用による運輸の安全性向上」と題して、個別の事故等調査により得られた再発防止策等を広く社会に浸透させる取り組みとして、勧告、意見等の各種提言のほか、船舶事故ハザードマップ、ダイジェストや地方版分析集などの情報発信について特集しております。
 このほか、平成25年に発生した航空、鉄道、船舶の事故等の調査状況や公表した報告書の概要、事故防止への国際的な取組みなどについて紹介しております。
 平成25年に新たに調査対象となった事故、インシデントの件数についてみると、
 航空分野では、航空事故が前年比7件減の11件、航空重大インシデントが前年比2件減の8件でありました。
 鉄道分野では、鉄道事故が前年比5件減の15件、 鉄道重大インシデントが前年比3件減の2件でありました。
 船舶分野では、船舶事故が前年比35件減の946件、船舶インシデントが前年比14件減の151件でありました。
 これらの事故等につきましては、すでに報告書を公表したものもありますが、まだのものについては、早期の公表に向けて、現在、鋭意、調査を進めているところでございます。
 また、運輸関係の事故調査の分野は、国際的な調査協力や情報交換が進んでいます。国際機関である国際民間航空機関(ICAO)や国際海事機関(IMO)の取組みと我が国の関わり、各国事故調査機関との協力や意見交換、海外研修への参加などについても紹介しております。
 このほか、事故調査官の日頃の調査活動の苦労話などをコラム欄で紹介しております。是非、ご一読して頂ければと存じます。
 以上、概略をご紹介いたしましたが、本年報に関するご質問等がございましたら、当委員会事務局までお寄せください。
 なお、本年報の英語版についても作成し、ホームページで公表することとしておりますが、作成まで今しばらく時間がかかりますので、よろしくお願いいたします。
 私からご説明するものは、以上です。
 何か質問等があればお受けします。

5.質疑応答

(北海道旅客鉄道(株)石勝線重大インシデントに係る勧告の完了報告関連)

問: 石勝線の完了報告をもらったということですけれども、これについて、運輸安全委員会としては、特にこの内容について問題なり、瑕疵なりなどはないという判断でよろしいですか。
答: 講じた措置についてですが、図面の管理体制について指導を徹底するとともに、継続的な教育訓練の内容を新たに盛り込んだこと、また、施工の点検方法について、関係規程類を改正し標準化を図ったことなどが報告されております。今後とも、不断の見直しを実施していくことにより、本件のような事案を再び繰り返すことのないよう、私どもとしては、厳にお願いしたいと考えているところであります。

問: JR北海道のそれらの措置について、了であるということですか。
答: そういうことです。

(北海道旅客鉄道(株)江差線列車脱線事故関連)

問: 江差線の脱線事故について、何点かお聞きしたいのですが、これから原因究明に当たるということですけれども、昨日現地調査を終えられて、考えられる原因として、可能性の一つとしてあげられるものが、もしあればお願いします。
答: 江差線については、昨日、現地調査を終えて帰ってきたばかりという状態でありまして、現在、収集した資料、データの整理を行っているところであります。早期の取りまとめに向けて全力で取り組みたいと考えておりますが、現時点で発表する内容はありません。ご理解下さい。

問: 一部、積み荷の新聞用のロール紙に偏りがあったのではとか、いろんな可能性が指摘されていますけれど、積み荷の部分も考えられているのでしょうか。
答: その点も含めて調査をしているところであります。

問: 積み荷に絞ってとか。
答: 積み荷に絞ってということではもちろんありません。一般的にはレールの構造、あるいは車輪とレールの干渉、それからおっしゃるような積み荷の状態とか、いろんな点を考えなければいけませんので、それらを総合的に考えてということであります。

問: そういう点でいきますと、江差線で過去に2件、脱線事故が起きていまして、2件目が起きたときに、委員長会見の中で、「車両に何らかの関係があるかもしれない」というようなご発言を当時されていらっしゃるのですけれど、それについて、現状で、過去の例も踏まえていかがですか。
答: 過去の2件については、現在とりまとめているところですが、最初に起きた平成24年4月の事故につきましては、すでに調査報告書の審議中であります。早期の調査報告書の公表に向けて、全力で取り組んでいるところであります。もうしばらくお待ちください。内容については、今申し上げるわけにはいきません。
 それから9月の事故につきましては、事案自体が非常に複雑で、様々な要因が関与しているものと考えられることから、より多角的かつ慎重な調査・分析が求められております。そのため、現在、鋭意、調査・分析を行っているところでありますが、いずれにしましても、早期のとりまとめに向けて全力で取り組んでまいりたいと思っています。また、前の2件と今回の事故との関連等についても必要に応じ解析を進めていく予定であります。

問: つまり、過去の2例と今回の脱線の関連についても調べるということですか。
答: 関連があれば、そういうことです。

問: そもそも過去の2件の脱線ですけれども、1件目から2年を過ぎたのですが、調査報告書に時間がかかっているのは、難しさみたいなものがあるのですか。
答: そうですね、先ほど申しましたように、9月の事故については、事案自体が大変複雑なものとなっていますので、時間がかかっています。4月の事故についてはできるだけ早くということで、現在とりまとめておりますので、ご了解いただきたいと思います。
 一般的に言って、似たようなところで脱線事故が起きているので、これは関連があるのではないかということですけれど、我々からすると、個別に調査を進め、結果的に似たような点が出てくるということは理解できることもあるのですけれど、最初から関連があると決めつけてやるのはなかなかできないものです。そういう面でそれぞれ個別ということで扱っていって、結果として何か似たようなものが出てくるということはあるかもしれないということを、考えながらやっているわけです。基本的には個別に調べていくことになります。先ほど申し上げました通り、最初の件は近々公表できると思います。9月の件はもう少し待っていただきたい。
 今回、起こったものとの関連についても、ちょっと時間がかかるということになります。

問: 積み荷のロール紙が偏ったのではないかというところなんですけれど、原因に関連しているかどうかはこれからの調査になるかと思いますが、端的な事実関係として、右と左で荷物の重さに偏りがあったかどうかということは、あまり関係者に係らない事実だと思いますので、教えていただけますか。
答: 積載物の状況についても、もちろん調べてきておりますので、その点も含めて、現在、精査中であると理解していただきたいと思います。

問: 進捗状況一覧にある調査中の23件のうち、江差線の過去の2件は古い方から2番目と3番目で、4月の方は報告書案審議中ということですが、発生から2年以上経っていて、初動報告は出ているようですが、1年を経過した段階での中間報告も出ていないと思います。関連性はわかりませんが、もっと早く報告書が出ていて何らかの再発防止策がとれていれば、今回の事故は防げたのではないかという見方もできると思うのですが、報告書の遅れについてはどのようにお考えでしょうか。
答: 続けて起こったこともありますし、9月の事故の方が複雑な事案であったということもあり、また、2件の関連性についても意識しながら調査を進めてきたことから少し時間がかかっているということはあります。内容については今申し上げることはできませんが、中間報告を出すかどうかという点については議論の必要はありますが、中間報告を出すこととしないという判断をしているわけであります。できるだけ急ぎたいとは考えております。

問: 今回発生直後で、昨日戻ったばかりということはあると思いますが、前回の時は何らかの進捗の報告がありましたが、今回について出されるお考えはあるでしょうか。
答: 今回現場調査をして調べた結果によって、状況について何か言えるようなら進捗の報告を出すということも考えられると思います。これから検討課題です。

問: JR貨物の会見で、今回の件と計3回脱線事故が起きていて、再発防止策については事故原因がわからないので回答は控えると発言したのですが、言い換えると運輸安全委員会の調査報告書ができていないから再発防止策が立てられないともとれるのですが、このことについてどのようにお考えですか。
答: 委員会の調査は独立した立場で行うものであり、JR貨物等の原因関係者が当該事故の当事者として行う調査やその結果を踏まえて実施する再発防止について、当委員会として直接言及する立場にはないと考えます。それぞれが独立して調査することは重要で、調査母体がそれぞれの調査をした結果、一致しない見解が出たとしたら、何故一致しなかったのかなどについて新たに調査の手法や調査すべきものが発見できるかもしれません。他の調査母体の意見は参考にはしますが、委員会の調査はあくまで独立して行う基本的立場にご理解願いたい。

問: 原因がわからないから再発防止策について取り組めないというものではないのですね
答: そのようなことはありません。JRが独自に調査し、再発防止策を行ったとしても、我々の調査がその内容に追加するような内容や、補充するような内容となるかもしれないし、まったく一致することもあるかもしれません。それぞれが調査を行い、調査結果が絡むようなこともあるかもしれませんが、それぞれが独立した調査母体であることと理解していただきたい。

問: 委員長は2年間のうちに江差線で3回脱線事故が発生していることについてどう思いますか。
答: 事故にはそれぞれ固有の状況や背景があり、それぞれの事故について個別調査を行い、その結果3件に共通する要因が出てくるかもしれません。

問: 今までの調査で提出された検査データの改ざんが函館線ではありましたけど、今回の事故で収集したデータで改ざんした痕跡などが伺えるようなことはないですか。
答: データを収集し、解析を行っているところですが、慎重に解析に取り組みたいと考えています。

問: 改ざんがあるかもしれないということを念頭においていますか。
答: 事故発生から3名の調査官を派遣し、現場調査、車両調査、関係者からの口述等を行い得た情報をまとめている最中で、今のところ改ざんされているということは見受けられないということです。

問: 函館線の事故のあと鉄道局の処分の中で運輸安全委員会に提出したデータが一部改ざんされていたと発表した経緯から、データは慎重に取り扱うべきだと思いますが。
答: データの取り扱いは慎重に行います。事故はいつどこで起きるかわかりませんから、事故が起こる前のデータは関係者から提出してもらわなければならないので、そのデータについては調査を進めるうちに確認していくことになります。

(九州旅客鉄道(株)指宿枕崎線列車脱線事故関連)

問: 現場の近く約5メートルくらいのところで、以前にも土砂崩れがあったということなのですが、今回の豪雨で点検の対象に入ってなかったようですけれども、そういう点検の体制についての調査もかなり調べるのですか。
答: 体制についても調べるつもりです。現在、運輸安全委員会から2名派遣して調査解析しているところです。引き続き車両の損傷状況、斜面の状況や運転規制の状況等を含めまして調査していく予定としております。

問: 運転規制のあり方ということについては、昨今豪雨が増えていますけれども、過去に遡ってどういう規制をどういう場合にひいてきたということを調べるのでしょうか。
答: 一般的に最近の状況につきまして調査するということです。

問: 最近というのはどれくらいの期間でしょうか。
答: 期間も含めまして、精査したいと思います。

(輸送艦おおすみ小型船とびうお衝突事故関連)

問: 1月に起きた自衛艦おおすみの事故ですが、今月海保の方からは双方の見張り不十分ということで処分が出たのですが、運輸安全委員会の調査の進捗状況はいかがでしょうか。
答: 現在調査中で、関係者から話を聞いているところです。お二人が亡くなられた事故ですので、早期の原因究明も必要ですが、慎重に調査をしている段階です。海上保安庁が見張り不十分と判断したことは承知していますが、当委員会としては予断を持たずに慎重に調査を進めているところです。

(沖ノ鳥島港湾工事作業員死傷事故関連)

問: 沖ノ鳥島の桟橋建設転覆事故ですが、問題の桟橋が鹿児島に曳航されたのですが、その調査は、運輸安全委員会として行うのでしょうか。
答: 桟橋の調査を行いました。現段階で、調査の内容についてお話しできる状況にはありません。

問: 現地調査といいますか、桟橋の調査は終わっているのでしょうか。
答: 調査は継続中です。

問: だいぶかかるのでしょうか。
答: 調査がまとまるのは、まだ少し時間がかかる見込みです。

問: 関東地方整備局は7月上旬にも中間とりまとめを出すらしいですが、まだ調査が終わらないということであれば、桟橋をそのまま残しておくとか、今後の工事の再開に影響が出ると思うのですが、いかがでしょうか。
答: 現場の行政的な立場で調査をされるのとは別に、我々は原因究明、再発防止のための調査を行っておりますので、その点で立場が違うということは ご承知のとおりです。我々の調査は時間がかかるということをご承知いただきたい。どういう日程になるかということは申し上げられません。鹿児島においては調査を行い、損傷箇所は凹損等が数カ所ありましたが、そこから水が入ってはいないとの報告を受けております。桟橋はひっくり返ったままですので、それを元に戻すのかという予定は聞いておりませんが、今後どういう調査できるのか、調査に何が必要かということも含めて検討しているところです。

(小田急線車両脱線関連)

問: 先日、小田急線で回送列車が脱線する事故がありましたが、営業線ではないということで委員会の調査対象外となりましたが、それなりに影響も大きかった事故だったかと思いますので、対象にしなかった判断についてはどのようにお考えでしょうか。
答: 小田急線の件については、車庫から出て行くところでした。そばにいくつか線路があるのですが、本線に影響を与えなかったこと、客が乗っていなかったこと、そういう事例についてはインシデントとしての扱いとなり対象とはならず、今回調査をしておりません。先程勧告に対する完了報告で申し上げた 三岐鉄道の事故についても、2件続けて起こっていました。4月に続けて9月に起こっています。4月に起こった時は、調査の対象ではないということで外したのです。しかし2件続けて起こったので、それぞれはインシデントの扱いではありましたが、これは調査の対象にして、特殊な点があるだろうということで調査の対象として調べたのです。小田急線に関しても、今後続けてそういうことがあれば調査の対象となり得ることもあると思いますが、本件については現在調査の対象とはしておりません。
 本日公表の年報の42ページと44ページに調査対象の表がありますが、この表に記載していますような法令に基づいて調査を行います。車庫内の脱線は列車脱線事故ではないので事故調査の対象とはなりませんが、車庫内での脱線でも重大インシデントの調査対象となる場合もあり、脱線により本線の列車と衝突する恐れがある場合などの特に異例の場合に調査対象となります。委員会の調査対象とするのはこのような法令に基づいて判断していますが、この特に異例となる場合の判断が変わる余地はあり、見直すことも必要かもしれない。今回の小田急線の脱線は今までの事例から調査対象となりませんでした。

(全日本空輸(株)所属ボーイング式787型重大インシデント関連)

問: ボーイング787の件では前回の会見で意見照会を行うとのことでしたが進捗状況はどうでしょうか。
答: 現在フランス、アメリカへ意見照会を行い、原因関係者へ意見聴取を行っています。意見照会の回答期限は60日間となっていますので、もう発送していますが8月あたりには戻ってくるのではないでしょうか。回答が戻ってくればその意見を踏まえ審議します。

問: 回答期限は8月の上旬、中旬、下旬いつですか。
答: いつ発送したのかなど具体的日にちは差し控えさせていただきます。できるだけ早く報告書の公表をすべく取り組みたいと思っています。

問: フランスはタレスで、アメリカはFAAやボーイング社に意見照会を行っているのですか。
答: その関連機関ということです。

問: NTSBには意見照会を行いましたか。
答: NTSBを通して関連機関へ照会を行い、フランスも事故調査機関をとおして関連機関へ意見照会を行っています。

資料

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