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委員長記者会見要旨(平成30年10月23日)

平成30年10月23日(火)14:00~14:10
国土交通省会見室
中橋和博委員長

発言要旨

 運輸安全委員会委員長の中橋でございます。
 ただいまより、10月の月例記者会見を始めさせていただきます。
 本日は、事故調査の進捗状況及び意見の提出に基づき講じられた施策について、ご報告します。

1.事故調査の進捗状況報告 

 はじめに、事故調査の進捗状況について、ご報告します。
 前月の定例会見から新たに発生した事故及び重大インシデントは、各モード合わせて8件です。

 航空モードは、9月26日に石川県能登市で発生した動力滑空機の不時着事案、10月20日に高知県長岡郡で発生したヘリコプターからの落下物事案の重大インシデント2件です。

 船舶モードは、9月29日に関門航路で発生した貨物船SM3と油タンカー幸徳丸の衝突事故、10月1日に川崎市扇島で発生した貨物船MARINAの護岸衝突事故、10月4日に福岡県宗像市で発生した遊漁船からの釣り客転落死亡事故、10月22日に山口県周防大島で発生した貨物船ERNA OLDENDORFFの橋梁損傷事故4件です。

 次に主な案件の調査状況について、ご報告します。

 本年8月10日に発生した群馬県防災航空隊所属のヘリコプター墜落事故について、10月15日及び16日の両日、航空事故調査官立会いのもと墜落現場から機体の回収が行われ、群馬県が管理する施設において、機体調査を行ったところです。引き続き機体の詳細調査を実施して参ります。

 また、同機のヘリコプター動態管理システムやビデオカメラについては引き続き解析中ですが、事故発生から二ヶ月が経過しておりますので、これまでの解析や当時の気象状況、目撃者への聞き取りなどから、調査で判明した事項について、以下の3点をご報告いたします。

 1点目として、同機は、当日9時58分頃に渋峠上空を通過した後、事故に至るまでの飛行において、雲から離れずに飛行するなど、有視界気象状態を維持して飛行することが困難な状態が発生していたと考えられます。

 2点目として、同機は、渋峠上空を通過した後、9時59分40秒と10時00分46秒に二度にわたり速度を大きく落としてUターンに近い右旋回を行うなど進路を大きく変更しております。同機が視界の開けたところを探しながら飛行していた可能性などが考えられますが、今後、更に調査分析する必要があります。

 3点目として、ビデオカメラに残っている音につきましては、同カメラの集音マイクを介して、主回転翼の回転音及びエンジン駆動系の作動音が記録されておりますが、これまでのところ機内の会話の内容などについては確認できておりません。今後、慎重に調べていきます。

 これらの情報が本事故にどのように関与したかについては引き続き調査中ですが、当委員会としては、同種事故の再発防止のため、原因究明を早急に行い、できるだけ早期に調査報告書が公表できるよう最大限の努力を行って参ります。

 一方で、再発防止につながるような事実なり知見が得られた段階におきましては、最終報告書のとりまとめ前でも積極的に情報提供していく考えです。

 その他の進捗状況については、資料1をご覧ください。

2.意見の提出に基づき講じられた施策

 続きまして、資料2をご覧ください。

 本年2月、当委員会は、過去26件の釣り客落水事故の調査結果を取りまとめ、水産庁長官に対して、遊漁船業者が船内にはしごを備えるなどの措置をするよう、都道府県知事に助言すべきなどの意見を述べました。

 昨日、水産庁から当委員会に対して、遊漁船業者が、釣り客の安全確保等のために定める「業務規程」の基となる「業務規程例」を改正したこと、都道府県知事に対し、遊漁船業者に速やかな業務規程の変更を指導するよう助言したことなどの通知がありました。これらの対応は、いずれも当委員会の意見に沿ったものとなっています。

 このような中、今月4日、福岡県で遊漁船の釣り客転落死亡事故が発生しました。詳細は調査中ですが、関係機関、関係団体等の努力とあわせ、遊漁船業者の方々には、今回の措置を踏まえ、釣り客の安全確保に一層努めていただきたいと考えております。

 本日、私からご報告するものは、以上です。
 何か質問があればお受けします。

 

3.質疑応答

(群馬県防災ヘリコプター墜落事故関係)

問: 1点目のビデオカメラの映像について、9時58分以降は、雲から離れない状態が続き、ところどころ見えるところがあったけれども、雲から離れることが出来なかった映像が写っていたということで良いですか。
答: 若干見える時もあったようですけれども、雲から離れずに飛んでいたという状況です。

問: 9時58分以前の映像では、雲の状況は如何でしょうか。
答: 有視界気象状態を維持することが出来ない、雲に非常に近い状態で飛行していたことが確認されたのが、9時58分頃に渋峠上空を通過したあたりからということです。

問: 2点目の進路の変更について、二度にわたり速度を落としてUターンに近い右旋回とありますが、これは回避行動と捉えてよいのですか。
答: 視界が開けたところを探しながら飛んでいた可能性などが考えられるところです。

問: Uターンをしてもなお、視界不良の状況が続いていたということですか。
答: そういう状況です。

問: 3点目のビデオカメラの音声について、異常音とか故障を示すような音は入っていたのでしょうか。
答: まだ、分析中ですので具体的なことを言える段階ではありません。

 

資料