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委員長記者会見要旨(令和元年9月24日

令和元年9月24日(火)14:02~14:13
国土交通省会見室
武田委員長

発言要旨

 運輸安全委員会委員長の武田でございます。
 ただいまより、9月の月例記者会見を始めさせていただきます。

1.事故等調査の進捗状況  

 はじめに、事故等調査の進捗状況について、前月の定例会見から新たに発生した事故及び重大インシデントは、各モード合わせて7件ありました。

 航空モードは、8月27日に愛知県西尾市の河川敷で離陸滑走中に発生した動力滑空機の機体損傷事故、9月16日に石川県の小松飛行場上空を飛行中の滑空機から曳航索が落下した重大インシデントの2件です。
 鉄道モードは、9月5日に京浜急行電鉄、神奈川新町駅付近の踏切道において、快速特急列車とトラックが衝突して、列車が脱線した事故の1件です。
 船舶モードは、9月2日に明石海峡航路で貨物船と漁船が衝突した事故、9月9日に横浜港で貨物船が南本牧はま道路に衝突した事故、同じく9日に舞鶴港着岸中の貨物船内でハッチ閉鎖作業中の船員が死亡した事故、それから9月17日に北海道納沙布岬の東方沖で漁船第六十五慶栄丸が転覆した事故の4件です。

 なお、第六十五慶栄丸の転覆については、船長1名の死亡が確認されておりますが、他の乗組員の行方が分からない状況になっています。亡くなられた方のご冥福をお祈り申し上げるとともに、他の乗組員7名の方々が発見されることを願っております。
 本件については、多くの方が行方不明になっていることから、運輸安全委員会としましては、東京案件として、9月19日に船舶事故調査官2名を派遣し、気象、海象などの情報を収集するとともに、当該船舶が所属する大樹漁業協同組合、僚船の所属する落石漁業協同組合の関係者から聞き取りを行っております。今後、収集した情報の分析を進め、原因を究明して参ります。

 事故等調査の進捗状況については、資料1をご覧下さい。

2.ダイジェスト第33号の発行について 

 次に運輸安全委員会ダイジェスト第33号について報告致します。
 当委員会では、漁船が網や錨を巻き上げる時に使用する揚網機等への巻き込まれ事故を特集した船舶事故分析集を8月29日に発行し、ホームページでも紹介しております。

 漁船の乗組員が揚網機等に巻き込まれて死亡あるいは負傷した事故は、平成26年から平成30年の5年間に100件以上発生しており、そのうちの約7割は、漁網や錨などを揚げている作業中に発生しています。
 これらの事故調査結果を分析したところ、揚網機等への巻き込まれ事故を防止するためには、「作業をする体制」、「作業時の服装」及び「機器の使用方法」について確認を徹底することが重要です。

 本ダイジェストの最後のページにこれらの防止対策をわかりやすくまとめておりますが、このような基本的な安全事項を徹底することによって、毎日厳しい環境の中で漁業に従事されている方々が、ケガなくご家族のもとへ帰ることにつながります。
 また、最近、電車内で漁師募集の車内広告を見かけます。特に都会から漁師を目指す方々にとって、職場の安全というのは非常に重要なことだと思います。委員会のこうした取組が漁業における安全性の向上につながることで、漁業就業支援の一助にもなればと思います。

 来月10月は、当委員会も後援する「全国漁船安全操業推進月間」であることから、本ダイジェストを漁業関係団体や船舶免許の更新関係団体へ配布し、安全講習会などで同種事故等防止の教訓として活用していただきたいと思っております。

 本日、私からは、以上です。
 何か質問があればお受けします。

3.質疑応答

(京浜急行電鉄列車脱線事故関係)

問: 京急電鉄の事故について、現段階で報告できるようなことはありますか。
答: 当委員会では、これまでに車両及び施設の損傷状況の確認、当該列車の運転士や車掌等の関係者からの聞き取りなどの調査を行いました。また、当該列車の運転士が、踏切の手前側に設置されている発光信号機をどのように視認してブレーキ操作を行ったか等について調査・分析を進めています。これに関しては秒単位の分析が必要で慎重に行っているところですが、速やかに調査結果を明らかにできるよう努めて参りたいと考えております。

(南海電鉄車両障害関係)

問: 南海電鉄の重大インシデント調査について、今回、調査対象となった理由を教えて下さい。
答: 調査対象となった理由は、定期検査ではなく臨時検査で亀裂が発見されたからです。
問: その後、在来線でも見つかっていますが、それは調査対象になっていないということでよいですか。
答: そのとおりです。

(漁船第六十五慶栄丸転覆関係)

問: 慶栄丸の事故について、現時点で事故原因として何が考えられますか。
答: 一般的に転覆というのは、船体のバランスと重心位置の問題が大きいと思いますが、今回、転覆した原因については、これから、気象、海象などのデータや聞き取り内容を基に科学的な視点から分析を行いたいと考えております。

(ダイジェスト第33号の発行について)

問: 揚網機の事故防止について、先月公表された報告書でも水産庁に対し意見をされていましたが、その後、何か進捗はありますか。
答: 現在、水産庁で対応されていると聞いておりますが、現時点での進捗状況については把握しておりません。

資料