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委員長記者会見要旨(令和元年11月26日

令和元年11月26日(火)14:00~14:13
国土交通省会見室
武田委員長

発言要旨

 運輸安全委員会委員長の武田でございます。
 ただいまより、11月の月例記者会見を始めさせていただきます。

1.事故等調査の進捗状況  

 始めに、事故等調査の進捗状況について、前月の定例会見から新たに発生した事故及び重大インシデントは、航空と船舶モード合わせて3件ありました。

 航空モードは、10月30日に仙台発福岡行きのアイベックスエアラインズ機が航行中、機内の気圧が異常に低下した重大インシデントの1件です。
 船舶モードは、11月2日に愛媛県松山港沖で遊漁船が岩場に乗り揚げ、乗組員2名と乗客5名の計7名が負傷した事故、及び11月16日に和歌山本港沖において、錨泊中の貨物船で作業にあたっていた乗組員が死亡した事故の2件です。 

 事故等調査の進捗状況については、資料1をご覧下さい。

2.最近の地方事務所の安全情報公表について   

 さて、今月は、運輸安全委員会の地方事務所の取組を報告させていただきます。
 お手元の資料2をご覧願います。

 先月のことになりますが、10月25日に神戸事務所が「琵琶湖船舶事故ハザードマップ」というリーフレットを作成して、関係の方々に配布しております。そのリーフレットに記載していますとおり、琵琶湖における過去10年間の船舶事故等を分析して、事故防止のポイントをとりまとめたハンドブックも作成して、事故防止に役立てていただくよう取り組んでいるところです。なお、今回のように湖に特化した船舶事故ハザードマップの作成は初めてのことです。
 運輸安全委員会と致しましては、このような地域に着目した安全対策の普及にも、引き続き取り組んで参りたいと思っております。 

 また、今月19日には、同じ神戸事務所になりますが、他船ブリッジへのレーザポインタ照射の危険性を呼びかけるリーフレットも公表しています。神戸事務所が行った船舶事業者などへのアンケート調査の結果、発光信号の代わりとしてレーザポインタを他船に向けて照射した事例が25件あり、実際に照射を受けた当直者の目が眩んだり、双眼鏡を使用中に照射され当直者に支障を来した例も明らかになりました。便利と思われる機器の安易な利用が思わぬ事故を引き起こすということがありますので、このような情報発信にも積極的に取り組んで参る所存です。

 他の地方事務所の取組もご参考として添付しましたので、ご覧願います。
 地方事務所の分析集については、その地域の傾向がよく分かり、有益なものですので、是非、皆さんに関心を持っていただければと思っています。

 本日、私からは、以上です。
 何か質問があればお受けします。

3.質疑応答

(最近の地方事務所の安全情報公表関係)

問: 地方事務所の分析集も、運輸安全委員会のホームページに掲載されていますか。
答: 掲載されています。なお、分析集については、今後、事故等の発生に合わせて、関連する分析集を紹介するなど、有効に活用できるよう工夫をしたいと考えています。

(JR福知山線脱線事故関係)

問: 2005年のJR福知山線脱線事故で、JR西日本が事故車両を研修施設で保存し、社員の安全教育に活用する方針を明らかにしました。委員長の受け止めをお聞かせいただけますか。
答: 事故の発生から今年で14年経過しました。改めて亡くなられた方々のご冥福とご遺族の皆様への哀悼の意を表します。また、怪我をされた方々に心からお見舞いを申し上げます。
 事故車両について、JR西日本が、社員の安全教育に活用するため研修施設に保存したいとする方針を明らかにしたことは承知しております。
 福知山線列車脱線事故から安全性向上のための取組について学ぶことは有意義であると思いますし、引き続き、ご遺族や怪我をされた方々のご意向にも配慮の上、安全輸送の取組を進めていただければと思います。
 こうした取組について、これまで同様の施設を見学して思うことは、事故の後、関係の皆様は大変な思いの中で再発防止に取り組んでこられた訳ですけれども、鉄道会社を含む各企業では、職員が当時を知らない世代へと替わっていきます。こうした安全教育施設があれば、若いエンジニアも啓発され、また、事故を起こさないといった心構えの育成などを進める上でも、非常に重要で、日本の安全文化に資することにもつながると思っております。

(京浜急行電鉄列車脱線事故関係)

問: 先日、京浜急行電鉄が脱線事故のことで会見を開き、再発防止策などを発表しました。運輸安全委員会としての受け止めを聞かせて下さい。
答: 11月12日に、京浜急行電鉄が、踏切の手前側に設置されている発光信号機の位置の訂正等について発表したことは承知しております。今回の発表において述べられている「発光信号機の位置」については、当委員会が把握している情報と相違ないものと認識しております。
 当委員会としましては、発光信号機の視認性についても調査を進めており、引き続き、当該列車の運転士が、発光信号機をどのように視認してブレーキ操作を行ったか等について調査・分析を進めているところです。可能な限り早期に報告書をとりまとめて、調査結果を明らかにして参りたいと思っております。
問: 京浜急行電鉄では、時速120キロと比較的早い速度で走行していることから、事故現場も含め、安全対策をどうするのか喫緊の課題だと思いますが、中間報告などの形で報告書を公表することはありますか。
答: 今後の調査の進捗状況によりますが、できるだけ早期に報告書を公表したいと思います。

資料

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