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委員長記者会見要旨(令和3年2月16日

令和3年2月16日(火)14:00~14:14
国土交通省会見室
武田委員長

発言要旨

 運輸安全委員会委員長の武田でございます。
 ただいまより、2月の月例記者会見を始めさせていただきます。

1.事故等調査の進捗状況  

 はじめに、前月の定例会見から新たに調査対象になった事故及び重大インシデントは、航空、船舶モード合わせて3件ありました。
 航空モードは、2月1日に日本貨物航空機の成田国際空港到着後の点検において、機体に損傷が確認された事故、2月3日に北九州空港で、海上保安庁の訓練機の機体の一部が地表面に接触した重大インシデントの2件です。
 船舶モードは、2月8日に高知県の足摺岬沖で、海上自衛隊の潜水艦「そうりゅう」と外国籍の貨物船とが衝突した事故の1件です。

 このうち、2月8日に発生した海上自衛隊潜水艦「そうりゅう」と貨物船「オーシャン アルテミス」との衝突事故について、当委員会は、10日及び11日に船舶事故調査官3名が高知県高知港で潜水艦「そうりゅう」での調査を実施するとともに、地方事故調査官3名が阪神港神戸区で貨物船での調査を実施しました。
 今後、収集した情報を精査するとともに、追加調査を行うこととしております。

 事故等調査の進捗状況については、資料1をご覧ください。

2.踏切事故防止対策情報のホームページ掲載    

 次に、踏切事故防止対策情報のホームページ掲載についてご報告します。
 本日、運輸安全委員会ホームページに、「踏切事故を起こさないために」と題して、踏切事故防止対策の情報をまとめたページを追加しました。
 お手元の資料2をご覧下さい。

 新たなページの内容は、これまでに当委員会が調査した遮断機のない踏切での事故の発生状況や関係の報告書へのリンクのほか、踏切に関するルールなどを紹介しております。
 また、事故後に踏切保安設備が整備されて第1種化された事例や廃止が実現した事例など、関係者の踏切事故防止に向けた取り組み例をフォローアップして、一般の方に読んでいただけるよう簡潔にまとめています。

 踏切は、日常の生活交通など、様々な方が利用されます。
 一方で、鉄道と道路が平面で交差する場所であり、安全に利用するためには、利用する側において「とまれ、みよ、きけ」と言われるように基本的な注意が必要です。
 このため、広く一般の方がアクセスできるHPに掲載することとしたわけで、いわば踏切事故防止に関する入門的な資料としてご活用いただければと思っています。

 また、踏切の事故防止対策の関係者も、鉄軌道事業者のほか道路管理者や警察、地域住民の方など幅広く存在します。これらの関係者の方々にも、対策や協議を進める上での基礎的な参考資料としてぜひご活用いただければと考えています。

 本日、私からは、以上です。
 何か質問があればお受けします。

3.質疑応答

(潜水艦そうりゅう衝突事故関係)

問: 先ほどご説明いただいた「そうりゅう」の事故に関して、現状で調査で分かっている点を、プラスアルファがあれば教えてください。
答: 「そうりゅう」につきましては、右舷潜舵の曲損等を認めましたが、詳細は引き続き調査中です。負傷者は、3名ですが、負傷状況等については、引き続き調査中です。オーシャンアルテミスにつきましては、本日、岡山県水島港で調査を実施しています。
問: 「そうりゅう」の事故に関連してなのですが、先般も公表があった広島の掃海艇の話だとか自衛隊の絡むような事故が発生していることを踏まえまして、今回は潜水艦で起きたということに関して、委員長としての受け止めと言うか所感ということと、今後の調査のポイントみたいなものがありましたら教えてください。
答: 当委員会の調査は、再発防止の観点から行っていますので、原因を究明したうえで、再発防止策を提言することが重要であると思っています。今後の調査について申し上げられることはそれほどありませんが、現在、潜水艦の露頂の手順等について確認を行っているところです。
問: 今の事故の報告書はいつ頃を目途にまとめられる予定でしょうか。
答: 社会的な関心が高い事故ですので、今後、追加調査、分析等を行い、早急に報告書を取りまとめて参りたいと考えております。

(福島県沖の地震による東北新幹線施設被害関係)

問: 先日の福島県沖の地震で、新幹線の架線を支える鉄筋コンクリートの柱が折れたというか曲がったということがありましたが、近くを高速走行の新幹線が通過していれば、建築限界をはみ出る可能性もある事案なので、大変な事故を引き起こす可能性もあるような状況だっと思います。これが、運輸安全委員会の調査の対象になっていないと承知していますが、なぜ調査をしないのか教えてください。
答: 当該の地震に伴い、鉄道局から当委員会の調査対象に該当する事故等の発生の通報は受けておりません。
問: 運輸安全委員会としては、調査の対象にしなくても妥当だと考えているというふうに考えてもよろしいですか。
答: 当委員会として調査対象に該当するとは考えておりません。
問: 散々再発を繰り返している事象なので、運輸安全委員会の意義というのは、物事の再発防止をするということで、過去に、直近を走っていて重大な事故に至ったケースが無いことは確かにそうですが、将来に渡ってもそうだとは分からないし、地震国でもあるしということからして、委員会の存在意義からしても、私は個人的に制度がそういうふうになっていることは承知はしているのですが、委員会が、通報が来ないからと言って、そのままその判断で良いかどうかということについて、個人的には疑問があるのですが。それに対して、何かコメントがあれば教えてください。
答: 今回の事象について調査対象に該当するとは考えておりませんが、地震の周期と構造物との関係など、定量的に分析できる部分はあると思います。そうしたところも踏まえ、これからも鉄道局と対話を続けてゆきたいと思っています。

資料

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