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委員長記者会見要旨(令和4年5月24日

令和4年5月24日(火)14:00~14:12
国土交通省会見室
武田委員長

発言要旨

 運輸安全委員会委員長の武田でございます。
 ただいまより、5月の月例記者会見を始めさせていただきます。

1.事故等調査の進捗状況  

 はじめに、4月23日に、知床半島沖の海域において発生した観光船「KAZUⅠ」(カズ ワン)の事故についてご報告します。

 まず、今回の事故について、お亡くなりになられた方々に心より哀悼の意を表しますとともに、ご家族の皆様に心よりお悔やみを申し上げます。また、現在も捜索が続けられておりますが、行方不明の方々とそのご家族の皆様に対しまして、心よりお見舞いを申し上げます。

 この事故に関しまして、当委員会では4月24日~29日までの間、及び5月3日~5日までの間において、船舶事故調査官を現地に派遣し、これまでに、本船の運航会社のほか、同地区の遊覧船事業者、漁協などから聴き取り調査を行うとともに、本船の運航、船体等に関する資料、情報等を収集してまいりました。
 また、現場海域の状況についても調査官が同業船に乗船して船上から調査を行っています。

 本事故につきましては、現在も調査を行っている段階であり、現段階で調査内容や事実関係、本事故の原因、報告書の公表時期等、そういった内容に関しまして、申し上げることはできませんが、今後、収集した情報を整理・精査し、更に所要の調査を行うとともに、沈没に至るさまざまな要因について分析を進めるなど、徹底した原因究明を行い、できるだけ早急に報告書を公表できるよう、努力してまいります。

 また、今後の事故防止や被害軽減を図るうえで有益な情報があると認めた場合には、事故調査の過程であっても、関係行政機関等に対して速やかに情報提供を行ってまいりたいと考えております。

 次に、前回の定例会見から新たに調査対象になった事故及び重大インシデントは、5月20日に百里飛行場西側滑走路付近において、フジドリームエアラインズ機が、他の航空機等が使用中の滑走路へ着陸を試みた航空重大インシデントの1件です。

 事故等調査の進捗状況については、資料1をご覧ください。
 本日、私からは以上です。
 何か質問があればお受けします。

2.質疑応答

(知床半島沖旅客船浸水事故関係)

問: 今、知床観光船の事故について委員長からお話しがありましたが、今後船体の引き揚げの作業も進んでまいると思います。引き揚げがあった後には、船体そのものをあらためて調査されるお考えがあるか、方針などありましたらお聞かせください。
答: 先ほど申しましたように、沈没に至る要因をつぶさに調査してまいるわけですけれども、本船の船体が引き揚げられて、調査が可能となるような場合には、関係機関と調整をはかりつつ、船体調査を実施したいと考えております。

問: 観光船を引き揚げる過程で、また深いところまで沈んでしまったという情報がありますけれども、その際に、まだ確認はできていませんが、新たな傷ができてしまったかもしれないということが考えられます。そうなったときに、今後の調査においてですね、ちょっと影響があるなというようなことを思ってらっしゃるのか、その辺は全く関係ないと思ってらっしゃるのか、どちらでしょうか。
答: もし船体に損傷があった場合、それがいつの損傷かということなんですけれども、得られている情報から、そこは考えるしかないかなというふうに考えます。船体もROVで撮影もされていますし、そういった情報も含みながら、事故時にどういう状況だったのかということを、今後調べていきたいと考えています。

問: ちょっと基礎的な事を教えていただきたいんですけれど、こういう沈没事故で小型船の船体を調べる場合、どういう点を主に、エンジンとかどういう点を主にポイントを置いて調べるんでしょうか。一般論で結構ですけれど。
答: 今回の場合も含め一般論でありますが、先ほど申しました“沈没に至るさまざまな要因”、人や組織、船体、設備、気象や海象、それからメンテナンスも含めて管理や手順、環境等、そういった幅広い情報を収集して、専門的知識を活用して、客観的でかつ科学的な分析をして原因究明にあたることが重要と考えています。幅広い観点から見て、さまざまな要因のうちどれが重要か、関係する要因であるかということを見極めていく必要があると思っています。

問: 今おっしゃったことの中で、船体調査に限るとどういうところがポイントになるのでしょうか。沈んでるときに。
答: 船体の構造がまだよく分かっていない部分があります。先ほども申し上げましたけれども、船体が損傷している、途中で損傷する場合もあるわけですが、それも含めて、浸水ということですので、船体外板の損傷というのはとても重要なファクターになると思いますが、さまざまなケースがございますので、そのへんは慎重に調査してまいりたいと思います。漠然とした言い方をしていますけれど、予断を持たず見ていかなければいけないというのが、我々の立場です。

問: 本日ですね、国交省の遊覧船の運航会社に対する監査の結果が公表されまして、業(ぎょう)の取り消し処分を表明しているところで、安全管理上の問題も複数指摘されたんですけれども、そのあたりっていうのは、今後、例えばその運輸安全委員会で事故に至った解析調査をする上で参考にしたりするんでしょうか、それとも、それとは別で、改めて関係者の聴取というかですね、そこの位置づけみたいな部分を教えていただければと思います。
答: 事実情報を集めて原因を調査するうえで、その因子が重要であれば当然調査することになると思います。さまざまな観点から調査をするわけですけれども、ハードウェアである船体、それと乗っていた方、それから組織、管理、当然運航管理、安全管理に関するところは調査の範囲に含まれておりますので、慎重に調査してまいりたいと思います。

資料

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