羽田の空の安全を守る「舞台裏」

管制の取り組み

2種の管制シミュレーター

空には「航空路」と呼ばれる航空機の通り道が存在します。主に東行きが1000フィートの奇数倍の高度を、西行きが偶数倍の高度を飛ぶなど、すれ違う航空機が空中で接触しないよう数多くのルールが決められています。そのルール通りに航空機が飛行しているかを監視すること等により、安全な飛行が確実に行われるように、管制官がレーダーや目視によって、管制業務を行っています。
「ターミナル・レーダー管制」では、空港から出発・到着する航空機をレーダーで監視し、飛行経路や高度等の管制指示を発出しています。「飛行場管制」では、管制塔から目視等で航空機の位置を確認し、滑走路や離着陸の順番や時機等の管制指示を発出しています。着陸の場合は「ターミナル・レーダー管制」から「飛行場管制」へ、離陸の際は、これと逆に「飛行場管制」から「ターミナル・レーダー管制」へと管制業務が受け継がれていきます。

■空港から遠い位置(約100km圏内)では「ターミナル・レーダー管制業務」が、近い位置(約9km圏内)では「飛行場管制業務」が提供されます。

その航空管制を行う管制官の訓練施設として、羽田空港には「ターミナル・レーダー管制シミュレーター」と「飛行場管制シミュレーター」を備えています。シミュレーターは、どちらも実際と同じ機器を使用しています。管制官はここで通常の訓練はもちろんのこと、濃霧や豪雨などの劣悪な気象条件下での対応や、離着陸が集中して飛行場周辺が非常に混雑した場合など、実際の運用で起こりうるさまざまな状況を模擬して航空機へ指示する訓練を行っています。

■「ターミナル・レーダー管制シミュレーター(パイロット側操作卓)」。画面に映っているのが出発、到着する航空機です。
■「飛行場管制シミュレーター」。360度全方位に設置されたモニターに映し出される外の景色から機器の配置まで、実際の管制塔と同じ状態を再現しています。

管制塔の働き

空港内で最も高い建物が管制塔です。ここは文字通り空港の司令塔。360度に開かれた大きな開口部を持つガラス窓を通し、空港全体と空港周辺の広大な空が見渡せる場所になっています。ちなみに羽田空港の管制塔は約116mと日本一高く、世界でも4番目の高さの管制塔です。
管制塔で勤務する管制官は離着陸する航空機だけでなく、着陸した航空機の駐機場までの経路を指示したり、誘導路等を横断する各種作業車両等への指示を行います。あらゆる国籍の航空機を取扱うことから、管制業務の共通語は英語。ですから管制塔内では、すべてのやりとりが原則英語で行われています。

  • ■羽田空港の管制塔。高さは115.7メートルで日本一の高さです。
  • ■管制塔から見ると、空港が隅々まで見渡せます。

管制塔での仕事には、滑走路を使う順番を決めて離陸や着陸の許可を出す「飛行場管制席」、地上の走行経路や待機場所を指示する「地上管制席」、飛行コースや高度が記載された飛行計画の承認を伝達する「管制承認伝達席」、ターミナル・レーダー管制室や航空交通管制部にいる管制官などとの連絡や調整をする「副管制席」等があり、それぞれを別の管制官が担当します。また、羽田空港には管制塔の四方に井桁状に走る滑走路が4本存在するため、360度を東西南北のエリアに分けて担当する「飛行場管制席」が4つあります。これらを滑走路の運用形態に応じて組み合わせて使用し、統括者である先任航空管制官以下約80名の管制官が昼夜交替で、互いに綿密な情報交換をしながら運用にあたっています。管制官の急病など万が一の事態にも対応できるバックアップ体制を整え、1日24時間365日、常に羽田空港の安全を監視しつづけているのです。

■離着陸から飛行場内の移動まで、複数の管制官が連携、協力して安全運航を支えています。
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