羽田の空の安全を守る「舞台裏」

整備の取組み

整備体制と整備士

航空機の整備は大きく2つに分かれます。1つは出発前の整備で「運航整備」と呼ばれるもの。航空機が到着してから次に出発するまでの間に飛行間点検(機体全般の外部点検、燃料補給、タイヤ圧点検、潤滑油点検など)を行います。また、約300時間(約1か月)の飛行ごとに約6時間かけて行うA整備(エンジン・タイヤ・ブレーキ・動翼関係及びそれらの収納部、胴体、操縦室、客室の状態点検など)も運航整備に含まれ、最終便が到着してから翌朝までの夜間にかけて行われます。
もう1つが「点検・重整備」と呼ばれる、航空機をハンガーと呼ばれる格納庫に入れて行う定期整備です。点検・重整備はさらに1〜2年ごとに約10日間かけて行うC整備、5〜6年ごとに約1ヶ月間かけて行うHMV(Heavy Maintenance Visit=いわゆるオーバーホール)にさらに分かれ、常に安全に運航できるよう万全の整備体制を整えています。
こうした整備を行う整備士には各航空会社で定めたさまざまな社内資格に加えて、「一等航空整備士」などの国家資格があります。技能と経験により担当整備範囲が決まっていて、高度で複雑な整備作業は高い技術レベルを持った整備士だけが行うことができます。さらに各航空会社は定期的に技量維持訓練を自社の整備士に課すことで、技量レベルが常に高いレベルで維持されるようにしています。パイロットの場合と同様に、資格取得後の二重三重のチェック体制によりお客様と航空機の安全・安心を保っているのです。

航空機の整備

羽田空港には整備ハンガーと呼ばれる航空機の整備工場(格納庫)が備わっています。
以前は、不具合が生じるまで、劣化箇所を特定することには時間がかかることがありました。しかし近年の航空機は技術の進歩により機体故障が少なくなっていることに加え、航空機から機体の状況、各機器の作動状況、不具合などのデータが自動的に整備担当部門に送信されており、それらの情報をもとに、機体の不具合をいち早く発見出来るようになっています。

■整備工場は航空機がまるごと格納できる想像以上に広大な空間です。

航空会社の整備の一例を紹介します。航空機の重要な部品の一つであるエンジンは分解整備はもちろん行いますが、日常的にはボアスコープという機器を使って目視による点検をしています。これは人体に使用する内視鏡カメラのような機器で、可動式のチューブの先端にカメラがついているもの。エンジンを分解することなく内部の詳細な点検を行う事が出来ます。録画もできるので、ボアスコープでの検査後に他のスタッフと情報を共有でき、より正確な判断に役立てることができます。
巨大な機体の整備の様子を見学できる「工場見学ツアー」は、各航空会社が実施していて、とても人気があります。ご興味のある方は各航空会社のホームページ等をご確認ください。

■エンジン内部を確認できるボアスコープ。胃カメラのように先端にカメラがついています。
■各航空会社が実施する工場見学ツアーでは、整備場の様子を見学することができます。※写真は関係者向け説明会の様子で、一般向けツアーではここまで近づいて見ることはできません。
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