本日、横浜市が所有し、帆船日本丸記念財団・JTBコミュニケーションデザイン共同事業体で管理運営する「帆船日本丸」を国の重要文化財に指定することについて、文化庁文化審議会から文部科学大臣に答申されました。
「帆船日本丸」は、国土交通省所管の独立行政法人海技教育機構で乗船実習に、現在、用いられている日本丸の先代であり、1984年まで実習に使用されたのち、横浜市に引き渡され、横浜みなとみらいにおいて係留保存されています。
帆船は、明治時代、商船に乗り組む日本人船員養成の黎明期にその礎を築いた船であり、戦後の船員養成においては、帆船としては日本丸と海王丸の2隻が名を継いでその任を果たしてきました。この度の「帆船日本丸」の指定理由のひとつには、船員養成の任を担い、四方を海に囲まれた我が国の海運業の発展に貢献したことが含まれています。
練習船としての現役の役目を終えた船ではありますが、今回の重要文化財への指定をきっかけにさらに「帆船日本丸」に足を運んでいただき、一般のみなさまの海や海の職業への親しみや関心の喚起につながることを期待しています。指定答申を記念して3月20日(月・祝)には、「帆船日本丸」及びみなと博物館の入場が無料となります。ボランティアにより行われる総帆展帆(掲載写真のように帆を広げます。)は次回4月16日(日)を予定しております。昭和期船員養成の歴史と技術の探訪に、是非、横浜みなとみらい「帆船日本丸」に足をお運びください。
※今回の答申に際し、海運史、造船技術史上において以下の点が評価されています。
[1]戦前期及び戦後の昭和期の長い期間にわたり、様々な状況下において一貫して船員養成の任を担い、四方を海に囲まれた我が国の海運業の発展に貢献したこと。
[2]船舶へのディーゼル機関導入期において国内技術により開発した舶用ディーゼル機関を搭載して建造した大型帆船の横肋骨方式リベット構造、艤装をよく伝え、外板も建造時の鋼材を多く残していること。
[3]帆船日本丸に残された航海日誌、機関長日誌等の日誌類や建造時の図面類、加えて船体・機関の来歴や検査記録に依り、運航や修繕の内容を体系的に知りうる資料が存在していること。
船種 練習船 鋼製帆船 4檣バーク型
竣工年 昭和5年3月31日
全長 97.05m
幅 12.95m
総トン数 2,278.25トン